JR中央線では、頻繁に人身事故が起きて、電車が止まってばかりいる。
これは異常なことだ。数日に1人、1か月に数人の割合で、都内の人間が電車に轢かれて死んでいるなんて、いったいどういうことなのか。こんなことを知ったら外国人観光客は驚くであろう。当然のことながら、都民だってちょっと考えれば「これは異常な社会だ」と思わない人はいないはずである。
ところが、人間がバタバタ死んでも、多くの都民は慣れてしまっていて何も感じない。電車が止まって迷惑だ、くらいにしか思わない。
中央線だけではなく、他の路線もいれたらさらに人身事故の数は多くなるわけだが、とにかく中央線は人身事故が多い。
「人身事故」って簡単に言うが、これは「鉄道自殺」を意味しているのだ。そうして、それを起こした当事者の肉体は、短時間のうちに片づけられて、また何事もなかったように電車が走るのである。
人身事故を減らすためには、駅のホームドアが効果的だ。だから一刻も早くホームドアを設置してほしい。中央線で人身事故が多いのは、特快や快速電車が通過する駅があるからである。
ホームドアに関しては、JR東日本は2030年までに、首都圏330駅に設置する計画だそうだが、半導体や人手不足のためになかなか進展しないのだそうだ。そして、ホームドアというのは、あくまでも乗客の転落防止のためで、人身事故を防ぐ目的ではないので、鉄道自殺が多いからといってホームドアの設置を急ぐという方向には進まないのだそうだ。
これって変ではないだろうか?意図しない転落事故なら防ぐが、生きているのが辛くて飛び込む人は対象外なんておかしいのではないだろうか。人を救うことに変わりはないはずである。
そして、一方で進められているのは、2024年度以降導入の中央線二階建てグリーン車両の計画である。中央線快速電車は現在10両だが、二階建てグリーン車両が連結されると12両になるとのことで、ホームの延長工事なども始まっているらしい。
二階建てグリーン車両ができると、遠距離通勤の人などが、座って通勤できるなど疲れないで東京近郊から移動できるとのことである。
こちらも半導体不足などの影響で車両の製造部品の調達が難しく、計画が遅れていたそうだが、ホームドアよりも、こちらが優先に進められるようである。
ここで、思うのは、二階建てグリーン車両の運行は、さらに東京を過密へと加速させるのではなかろうか。電車の過密を解消するためには、人を減らすことがあるべき姿だと思うのだが、運ぶ人間を増やして電車の中の過密を緩和するだけのことであり、さらに多くの人間を東京に運び込むことになるわけだ。
そんなことよりも飛びこみ自殺をする人を減らすほうが先なのではないだろうか?
このあいだ、中央線の某駅の乗り換えで、並んで歩いている会社員風の男性2人の会話が聴こえてきた。
「ああ、ついに着いちゃった。いやだなあ。また仕事だ。昨日は一睡も寝てないよ」
と言っていた。
まだ電車に乗っていたときは良いが、降りたらまた戦いの場所である仕事場に行かなくてはならない。そこにはパワハラ上司がいるのか、何か過酷な状況が待っているのか。この人たちは、仲間同士で本音が言えるからまだ良いだろうけど、月曜日の朝に人身事故が多いのはこういうことなのかもしれない。
ちなみに、中央線でどのくらいの人身事故が起こっているのか、現状を書いておく。
6月3日国分寺・5日高円寺・8日高円寺・12日三鷹・18日西荻窪・23日東小金井・24日西荻窪・26日八王子・7月2日三鷹・9日高尾と相模湖間。
こんなに生きにくい世の中なのだ。東京はどうなってるの。
これで、首都東京が良い都市だって言えるのですか?
二階建てグリーン車なんて走らせないで、一刻も早くホームドアを作ってください。