3月15日の朝日新聞の天声人語は見事だった。
概要
仏道を歩むものが、酒のことを「般若湯」(はんにゃとう)と呼んだ。
肉食がはばかられた時代は、しし鍋を「ぼたん鍋」、馬の鍋を「桜鍋」と呼んだ。
今はマスクの符丁が「ホチキスの芯」となってインターネットで売買されている。
少量のホチキスの芯が1万2千円。「コロナの影響で余りました。」「女性用サイズはありますか」などのやり取りがされている。
転売が禁止される中、不足する物資をめぐり「闇経済」が消えない。
北海道では、国から家庭にマスクが配布され「配給経済」である。
輸入に頼る商品は、流通が途切れると回復は容易ではない。
ウイルスは世界に広がっている。
「遠くよりマスクを外す笑みはれやか」富安風生
古い句だが、今心にしみる。マスクを外して笑いあうそんな日が早く来てほしい。
最後に締めくくったこの俳句は本当にいいな。
一時的ではなく、「もうマスクは要らない」という安全安心な時が一日も早く来てほしい。
この句は古いというが、いったいいつのものだろうと調べてみた。
富安風生(とみやすふうせい)
1885(明治18)年4月16日~1979(昭和54)年2月22日。
愛知県出身の俳人。高浜虚子に師事した。
東京帝国大学法科卒業。逓信省勤務。逓信省次官。
(逓信省とは、現在の総務省。日本郵便、NTT。)
年齢を計算すると93歳まで長生きされたようである。
この句はいつ作られたものなのかわからないが、明治~昭和の時代に作られたものだ。
ちなみに師であった高浜虚子もマスクの句を詠んでいる。
マスクして我を見る目の遠くより
マスクをすると目の印象が強くなるのかな。
京極杞陽という人の句
美しき人美しくマスクとる
なんか、美しい人の、しぐさが見えるようだ。
マスクは冬の季語らしい。
ところで、この日の新聞には朝日俳壇歌壇が載っていた。
私はこの3つを選んでみました。
- いつ死んでもいいと言いつつ恐れてる新型コロナ迫りてくれば(伊藤紀美子)
- テレビへも感染したか新型のコロナウイルス日すがら映る(和田行男)
- この国は「想定外」に弱きことフクシマでもう知っていたのに(中原千絵子)
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