私は自分の写真が上手いとは思っていないし、会心の作なんて滅多に撮れません。
そんな中で記憶に残っているのは添付の写真です。
高校の同級生が市会議員に立候補するのでと、リーフレットやポスターの写真を依頼された時のものです。
男性を撮る時は立派に見えるように少し下から撮ります。でも偉そうに見えては駄目で親しみやすくなければいけません。
そんなことを思いながら撮影を進めていると「良し、今のは良い表情だった!撮れた!」と思う瞬間がありました。
そうは言っても現像が上がってくると、あれ?と思うことが多いのですが、この時は仕上がりも満足いくものでした。
そして何より嬉しいのは、彼がそのコマを選んでくれたことです。
(ポジは彼に渡したので、見出し写真は印刷物から取り込んだものです。)
これには後日談があって…
実はこの時には既に癌に侵されていて、長い命ではないことを彼は知っていたのです。
当選後43歳で亡くなりました。
撮影地は彼の事務所の近くの河川敷、背景に写っている黄色いボケはカラシナ。
麗らかな春の日でした。
私は彼の心の内を見えていたんだろうか…
いや、分からなかった。
でも良い表情には違いなかった。
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