5月。金沢市内の「懐石 つる幸」さんでお昼を頂きました。
個室のテーブル席に案内されました。
あたたかくてフワフワなおしぼりと、あられがはいっている白湯。
お酒を頼むつもりでしたが、車の運転があるため、お互いに遠慮して結局お茶になりました。
八寸は「フォアグラとレーズンのにこごり」「カタクリの白和え」「「鱚寿司」
凌ぎは「豆腐田楽二色味噌」(柚・山椒)
この山椒から立ち上がる華やかな香りが、極上の気分にさせてくれます。
造りは、あおりいか、鰹、鯖じめ、鱸の昆布締め、はまち(金沢では「がんど」という呼び方をします)鮪の浸けのアボガド包み。
「あおりいか」はトロトロと濃厚な味わいで、イカのイメージを変えるような美味しさでした。
鮫板ですりおろしたわさびの新鮮な香りも良く、さしみ醤油も上質です。
蒸し物は「はす蒸し」。
「はす」といえば、加賀蓮根。
九谷焼の器が上品で、蓋を開けるとアツアツの餡がかかっています。
まずは雲丹。
さらに食べ進めると、ペースト状に固まった蓮の中に、穴子、大きな銀杏、白身魚、きのこ、百合根がゴロリゴロリと・・・
その具材のひとつひとつが美味。
特に百合根はホクホクして、濃厚な味わいでした。
この「はす蒸し」は毎日欠かさず食べたいと思うほど絶品です。
「はす蒸し」で体がポカポカになったところで、次は揚げ物です。
衣のかかった「こごみ」は、ちょっと山菜らしいエグミが。
貝柱が醤油が隠し味に付いて、甘さと醤油の旨味が。
サツマイモは加賀野菜の「五郎島金時」美味しさはもちろんホクホクで甘みたっぷり。
「河豚」は粕づけのような下味がついていて、濃厚な味にまとまって。
白身魚のあられ揚げは、サクッと軽い歯触りもまた粋です。
「赤玉ねぎ」は濃厚。その他「島らっきょ」など。
素ものは3品。
「もずくとホタルイカ」のホタルイカは、ギュッと濃縮したカニみそのような濃厚な味わい。
毛ガニは三つ葉の香りと共に、カニみその味がしつつ身があま~い。
感動したのは、金時草、大根、人参を千切りしたお浸し。
胡麻の風味と加賀野菜が口の中で一体となり全く違う野菜になっていく・・・そしてふわりと胡麻の残香。
単純であるがゆえに、驚く美味しさでした。
最後は香の物と炊き込みご飯、お味噌汁。
炊き込みご飯は「イカと筍」。
筍が紙吹雪のように薄く小さく切られ、グリンピースはホクホクした歯触り。
アオサの味噌汁は、思わず頭に青い海が浮かぶほど磯の濃い香りが。
香の物は、りんご、胡瓜、茄子は糠づけ。沢庵は燻した香り。キャベツは浅漬け。
菓子は、イチゴのシャーベットにキウイ、パイン、マンゴー、ブルーベリーのフル―ツ添え。
最後にお抹茶とお菓子。
お菓子は軽い歯触りで、和三盆が可愛らしく乗っています。
加賀野菜の妙に触れ、豊かな能登の海の物を味わい、九谷などの器の美しさとともに、繊細で味わい深く、まことに丁寧なお料理でした。
本当に素晴らしかったです。
帰りに厨房から店主の河田さんが慌てて走ってこられて、お見送りして下さった真摯さも、心にあたたかく残りました。
感謝!感激!
■懐石 つる幸
住所 石川県金沢市高岡町6-5
TEL 076-264-2375