日本語を味わう名詩入門シリーズ第1期第2巻
金子みすゞ
画:高橋和枝
編集・解説:矢崎節夫・萩原昌好
あすなろ書房
最初に読者の皆さんへと題して、次のようなことが書かれています。
詩は、「言葉の音楽」「言葉の絵画」ともいわれます。
たとえば、喜びや悲しみ、怒りなど、さまざまな感情を感じたとき、私たちの心はどんな音楽を奏でようとしているのでしょうか? どのような色に染められ、どんな絵を描いているのでしょう? 心の音楽を、言葉という音符で表現したり、心の絵画を、言葉という絵の具で描いたもの、それが詩です。……
限られた言葉から想像し行間を読むのは、音の流れから作曲家の思いを想像し汲み取る作業と同じだなぁと思ってきた気持ちと合致。
積もった雪
上の雪
さむかろな。
つめたい月がさしていて。
下の雪
重かろな。
何百人ものせていて。
中の雪
さみしかろな。
空も地面(じべた)もみえないで。
みえない星
空のおくには何がある。
空のおくには星がある。
星のおくには何がある。
星のおくにも星がある。
眼には見えない星がある。
みえない星はなんの星。
お供の多い王様の
ひとりの好きなたましいと
みんなに見られた踊り子の、
かくれていたいたましいと。
優しさと洞察力、すごいですね。
過不足のない素敵な挿画が詩によく似合っています。