1965年
巨人はどたん場で広岡、長島の長短打で逆転サヨナラ勝ちした。5安打ながらとにかく苦手のバンサイドから連続安打を奪ったということが、今夜のバンサイド攻略の一つの研究資料となったことはたしかだ。試合前、南村、牧野両コーチにバンサイド攻略法をきいた。南村「いままではバンサイドに対して苦手意識をもちすぎていた。吉田勝がこんなことをいっていた。バンサイドと思うからいけないんだ。バンサイドの顔を、うちの連中が打った中日の中山、近藤の顔におきかえて、バンサイドだ、という意識をなくすことだと。ボクはなるほどと思った。これがバンサイド攻略のカギだな」牧野「バンサイドは打者の心理を読むのがうまい。打つと思えばスローカーブでかわす。だから外角直球がねらい目だ」だが、試合は八回までにヒットはわずか3本。一回、広岡の安打を足場にした一死一、二塁は長島が三ゴロ併殺。長島の打ち気を読みとった0-1後の内角カーブ。それだけに吉田勝の七回の遊撃右を抜いた安打はバンサイドの読みより、彼のいう顔のおきかえが誘った一番。しかし、ここでぜひ考えてみたいのが、広岡の好打である。このカード五回戦に巨人は、バンサイドに5安打散発のシャット・アウト負けを喫したが、その5安打のうち2本を打ったのが広岡だった。その実績をかって、この日二番に起用したベンチの読みも、結果的に勝利につながったが、それよりバンサイドに2試合で7打数4安打した広岡の読みが大きい。「一回の右前安打はシュート、九回の同点左翼線二塁打は内角へはいるカーブ。とにかくバンサイドを打つには、低めをねらうべきだ。それとモーションが普通の投手より二呼吸おくれる。そのベースを読んでかからなくては・・・」という広岡。「タマの投げ方は打者次第である。打者の構え、心理を読みとって、一番いいと思う投法を私は常に用いた」と米大リーグの大投手サイ・ヤングがいっているが、バンサイドもそのピッチングの読みを実行した。しかし、その読みにうちかったのが、この日の広岡のバッティングの読みだったのである。
巨人はどたん場で広岡、長島の長短打で逆転サヨナラ勝ちした。5安打ながらとにかく苦手のバンサイドから連続安打を奪ったということが、今夜のバンサイド攻略の一つの研究資料となったことはたしかだ。試合前、南村、牧野両コーチにバンサイド攻略法をきいた。南村「いままではバンサイドに対して苦手意識をもちすぎていた。吉田勝がこんなことをいっていた。バンサイドと思うからいけないんだ。バンサイドの顔を、うちの連中が打った中日の中山、近藤の顔におきかえて、バンサイドだ、という意識をなくすことだと。ボクはなるほどと思った。これがバンサイド攻略のカギだな」牧野「バンサイドは打者の心理を読むのがうまい。打つと思えばスローカーブでかわす。だから外角直球がねらい目だ」だが、試合は八回までにヒットはわずか3本。一回、広岡の安打を足場にした一死一、二塁は長島が三ゴロ併殺。長島の打ち気を読みとった0-1後の内角カーブ。それだけに吉田勝の七回の遊撃右を抜いた安打はバンサイドの読みより、彼のいう顔のおきかえが誘った一番。しかし、ここでぜひ考えてみたいのが、広岡の好打である。このカード五回戦に巨人は、バンサイドに5安打散発のシャット・アウト負けを喫したが、その5安打のうち2本を打ったのが広岡だった。その実績をかって、この日二番に起用したベンチの読みも、結果的に勝利につながったが、それよりバンサイドに2試合で7打数4安打した広岡の読みが大きい。「一回の右前安打はシュート、九回の同点左翼線二塁打は内角へはいるカーブ。とにかくバンサイドを打つには、低めをねらうべきだ。それとモーションが普通の投手より二呼吸おくれる。そのベースを読んでかからなくては・・・」という広岡。「タマの投げ方は打者次第である。打者の構え、心理を読みとって、一番いいと思う投法を私は常に用いた」と米大リーグの大投手サイ・ヤングがいっているが、バンサイドもそのピッチングの読みを実行した。しかし、その読みにうちかったのが、この日の広岡のバッティングの読みだったのである。