1988年
右の本格派中村が190㌢の長身から投げ下ろす速球は140㌔。カーブ、スライダーの制球もよく、1試合平均10奪三振。
杜若は主戦中村を中心に良くまとまっている。中村は長身から投げ下ろす速球には、かなりの威力を秘める。スタミナの不安もなさそう。
「スピードよりもコースを丁寧につくようにしました。強気で攻めたのが良かった。きょうは二百点。高校三年間で最高の出来」と杜若のエース中村佳広(3年)は胸を張った。杜若は昭和五十年の創部以来、初のベスト4進出。「きょうの享栄戦が決勝のつもりだった」という中村。今までになく気合が入り、球もよく伸びた。高めの速球と大きなカーブで強豪の享栄から9三振を奪う快投。四回戦の一宮興道、五回戦の三河戦とは別人の投球だった。葛原美峰監督(32)も「今年はベスト 8からが本番だと言い聞かせてきた。享栄に勝って4強に進めてうれしい。中村が首相としても本当によくやってくれた」とナインの奮闘に目を赤くしていた。七月十三日の誕生日以来、「大会が終わるまで」とひげを伸ばしているが、そり落とす日がまた延びた。
ドラフト3位指名した愛知・杜若高、中村佳広投手(18)=190㌢、87㌔、右投げ右打ち=と入団交渉を行い、契約金四千万円、年棒三百六十万円で仮契約した。同投手は右の本格派で、将来性が買われている。