1964年
巨人に敗れたとはいえ、平野克は新人らしくキビキビとしたプレートさばきで「今シーズンのローテーションにいれるメドがついた」と別所コーチを喜ばせた。初回いきなり王に2ランをかまされながらも、おめずくせず長島と勝負した。川上監督も「初めて見たがいいピッチャーだな。球も速いしホップする。若手では図抜けているよ。とくにどんどん向かってくるところなど大崎などより上ではないか」とその積極的なピッチングをほめた。王に打たれた2本の本塁打は「どうしてだがあのときだけ高めに球がいってしまった」とくちびるをかむ。当たっていないとはいえ、長島を切れのいいシュート、カーブで4打席とも凡打に退けていただけに「なぜなのか」と自分でも合点がいかなかったようだ。「右足を少し痛めてますが、そんなことは負けた理由にはなりません。打たれたのはやはり力がないからです」ときっぱりとした態度。プレートさばきそのままで「ぼくとしてはきょうが精いっぱいのピッチングなんです。とにかく思い切って投げたんですよ」という。「真正面からONと勝負していたし、ベンチからみていても、少しもおじけづいていないのが頼もしい。あれでいいんだ」と別所コーチも合格点を与えており「持てる力をふりしぼって実力どおりに投げた。じゅうぶん使えるメドができた」と三原監督のおメガネにもかなった。あとは実戦の経験を一歩一歩積んでいくだけ「負けたんですから自信なんか…」といいながらも「別に巨人打線をこわいとは思わなかったです。こんどは…」と不敵な笑いを浮かべた。
川上巨人監督の話 大洋の平野という投手はいいね。コントロールもいいし、大きくくずれることはないだろう。大崎、峰、佐々木らより格が上だ。大洋の内野もきょうは失策がなかったが、いつかは出そうだね。しkしあの打線は二線級投手をもっていったらとんでもないことになりそうだ。長島が打てない?そう心配することはないだろう。
三原大洋監督の話 平野はよくやった。実力のほどをはっきり示してくれた。大熊のピッチングは予想外によかった。ウチのバッティングはいま一つだったが、この三連戦を通じてすべてに順調だった。チームのムードもよくなったし、これで本番への手はずば万事OKというところだ。
大量点があったとはいえ、西鉄打線を三回投げて無失点、4三振と牛耳った。大洋での紅白戦でも、4回投げ被安打1というピッチング。身長1㍍74、体重68㌔ー稲川を少し大きくした体つき、というより藤田(巨人)に少し肉をつけた感じの体つき。投げ方も藤田に似てキビキビしたピッチング。オーバー・ハンドに属するが、大きなカーブ、切れのいいシュート、伸びのあるストレートというのがその持ち球。特徴はすごいという感じではない。まとまっていること。とくに外角低めに投げるストレートの伸びとコントロールはいい。上手から投げるシュートは落ち気味になり、巨人用としても通用するという。もう一つの特徴は、その闘志と心臓である。「プロはこわいと思いました。力いっぱい投げたのをバーマに軽く塀ぎわにもっていかれたですからね。ボクのスピードはこんなものですよ」これが平野の初登板の感想。言葉は一見謙虚だが、その胸の中には、何するものぞがあったに違いない。ノンプロ時代ー弱いせいもあったが、負けてくると、カッカしてくるほうだった。そのため、ヒラカツというアダ名があったほどだが、もっていかれたというその胸の中にはこんどは、もっていかれない球…というのが描かれていそうに感じられる。
巨人に敗れたとはいえ、平野克は新人らしくキビキビとしたプレートさばきで「今シーズンのローテーションにいれるメドがついた」と別所コーチを喜ばせた。初回いきなり王に2ランをかまされながらも、おめずくせず長島と勝負した。川上監督も「初めて見たがいいピッチャーだな。球も速いしホップする。若手では図抜けているよ。とくにどんどん向かってくるところなど大崎などより上ではないか」とその積極的なピッチングをほめた。王に打たれた2本の本塁打は「どうしてだがあのときだけ高めに球がいってしまった」とくちびるをかむ。当たっていないとはいえ、長島を切れのいいシュート、カーブで4打席とも凡打に退けていただけに「なぜなのか」と自分でも合点がいかなかったようだ。「右足を少し痛めてますが、そんなことは負けた理由にはなりません。打たれたのはやはり力がないからです」ときっぱりとした態度。プレートさばきそのままで「ぼくとしてはきょうが精いっぱいのピッチングなんです。とにかく思い切って投げたんですよ」という。「真正面からONと勝負していたし、ベンチからみていても、少しもおじけづいていないのが頼もしい。あれでいいんだ」と別所コーチも合格点を与えており「持てる力をふりしぼって実力どおりに投げた。じゅうぶん使えるメドができた」と三原監督のおメガネにもかなった。あとは実戦の経験を一歩一歩積んでいくだけ「負けたんですから自信なんか…」といいながらも「別に巨人打線をこわいとは思わなかったです。こんどは…」と不敵な笑いを浮かべた。
川上巨人監督の話 大洋の平野という投手はいいね。コントロールもいいし、大きくくずれることはないだろう。大崎、峰、佐々木らより格が上だ。大洋の内野もきょうは失策がなかったが、いつかは出そうだね。しkしあの打線は二線級投手をもっていったらとんでもないことになりそうだ。長島が打てない?そう心配することはないだろう。
三原大洋監督の話 平野はよくやった。実力のほどをはっきり示してくれた。大熊のピッチングは予想外によかった。ウチのバッティングはいま一つだったが、この三連戦を通じてすべてに順調だった。チームのムードもよくなったし、これで本番への手はずば万事OKというところだ。
大量点があったとはいえ、西鉄打線を三回投げて無失点、4三振と牛耳った。大洋での紅白戦でも、4回投げ被安打1というピッチング。身長1㍍74、体重68㌔ー稲川を少し大きくした体つき、というより藤田(巨人)に少し肉をつけた感じの体つき。投げ方も藤田に似てキビキビしたピッチング。オーバー・ハンドに属するが、大きなカーブ、切れのいいシュート、伸びのあるストレートというのがその持ち球。特徴はすごいという感じではない。まとまっていること。とくに外角低めに投げるストレートの伸びとコントロールはいい。上手から投げるシュートは落ち気味になり、巨人用としても通用するという。もう一つの特徴は、その闘志と心臓である。「プロはこわいと思いました。力いっぱい投げたのをバーマに軽く塀ぎわにもっていかれたですからね。ボクのスピードはこんなものですよ」これが平野の初登板の感想。言葉は一見謙虚だが、その胸の中には、何するものぞがあったに違いない。ノンプロ時代ー弱いせいもあったが、負けてくると、カッカしてくるほうだった。そのため、ヒラカツというアダ名があったほどだが、もっていかれたというその胸の中にはこんどは、もっていかれない球…というのが描かれていそうに感じられる。
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