リベラ（阪神）

1997年
2㍍、110㌔の巨体。夜道で顔を合わせば黙って謝ってしまいそうな風ぼうの持ち主は、意外にも小鳥がさえずるような小声で話し始めた。同席した和信の李来発監督が「女の子みたいな声でしょ」と笑顔を見せた。巨体とミスマッチな可愛らしい声。しかし内容は力強かった。「フィリーズでは、最下位の翌年（94年）に優勝できた。一人のスーパースターがいたのではなく選手が日替わりで活躍するチームだった。阪神も、みんなが力を合わせればチャンスはあると思う」来季の守護神は、誕生と同時に小声ながらV宣言だ。MAX156㌔の右腕は、セールスポイントを聞かれても「それは敵が考えることであって、言いたくはない」と拒んだ。ただ、セーブ王と最多ＳＰのタイトルをほぼ確実にした台湾一年間の実績ではリーグトップの奪三振率を誇り、同時に与四球9個と果敢に内角を突く、ケンカ投法が売り。李来発監督は「性格は声と同じ。おとなしくてまじめ。でも投げるとき性格、違います」とマウンドに上がると人格が変わる二面性を証言した。二面性を持つのは性格ばかりではなく、何と投球も同じだった。「彼、左でも投げます。左の方がコントロール、いいです」と李来発監督は信じられないような新事実を明かした。和信の練習では左投げでも投球練習をしているという。130㌔ほどのスピードで、さすがに試合で投げた経験はなく、リベラも「あれは遊び」と言うが、左右投げとなれば助っ人史上初。阪神の来季は新守護神の右腕にかかっているが、左腕にもちょっとだけなら期待してもよさそうだ。