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今年の5月1日に施行された新「会社法」。
その平易な解説本として、この本はかなり売れたらしい。
自分も、ちょうど法施行された直後くらいに読んだ。
「会社法」は、旧「商法」の「会社」部分を独立して新たな法律とし、内容も新たに定めたものである。
株式会社の機関(組織)、資金調達(株式など)、設立・組織再編・事業譲渡などに関わるルールを定めている。
自分は大学時代法学部だったが、入学後に法律の勉強に向いていないことに自ら気づき、そこから「なんちゃって法学部」に転向、憲法や民法などの必修単位を別にすると、政治学や経済学系の科目で単位を稼いだ。
「商法(会社法)」も、最初のほうだけ授業に出たが、何となく敷居が高い気がして、結局単位を取らなかった。
でも、実社会に出てから最も役に立つ法律科目は、実はこの「商法(会社法)」である。
法曹界に進路を選んだ同級生たち(進む方向にもよるが)が最も熱心に勉強していた法律の一つでもある。
憲法や民法が法律学の「王道」だとすると、商法(会社法)は法律学の「花形」というイメージである。
素人の自分が、ここで本の内容に踏み込んで紹介しても仕方がないのでやめておくが(半年以上前に読んだので細かくは忘れてしまったというのもある)、入門書としてはとても平易でかつ退屈もせず、お勧めできる。
普段から経済関連のニュースに興味をもっていれば既知の内容もけっこう含まれているが、今日的なトピックも含め体系的に知識を得られるので、これを一回読んでおけば、日経新聞のコーポレートファイナンスやM&A絡みの記事なんかもより頭に入りやすくなる。
それから、内容的な話ではないが、この筆者の文体が非常に気に入った。
非常に論理的で客観的な文体なのに、どこか親しみがわく印象もあるのだ。
何と言うか、ロジックツリーをそのまま文章に落とした感じというか、問題提起→論じるプロセスを提示→個々の要素を説明→まとめ、といったサイクルを淡々と繰り返している。
シンプルに徹している分、親しみやすいのかもしれない。