総理の値打ち文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
伊藤博文から小泉純一郎まで、56人の歴代総理大臣を100点満点で採点するという試み。
筆者の福田和也氏について、自分はよく知らなかったのだが、保守の論客として定評のある人物で(Wikipediaの人物紹介はこちら)、最近では「とくダネ!」のコメンテータとしても出演してるらしい(出勤してしまってるので見たことないが)。
かつて「作家の値打ち」という本で100人の現代作家を採点し物議を醸したことがあるそうだが、同趣旨の総理大臣版がこの本である。
で、気になる採点結果。
評価が高い人物としては・・・
まずは、近代国家としての日本の諸制度を創り上げた世代である伊藤博文(91点<最高点>)、山県有朋(85点)。
そして、大正デモクラシー期、政党政治時代の名宰相、原敬(73点)、加藤高明(72点)。
終戦への道を切り開いた鈴木貫太郎(71点)。
戦後では、岸信介(81点)、佐藤栄作(72点)兄弟の評価が高い。
一方で、評価が低い方には、大きく二系譜ある。
一つは、太平洋戦争開戦への道を押し留める術もなく無為に過ごしてしまった面々・・・林銑十郎(41点)、近衛文麿(17点<最低点>)、平沼騏一郎(39点)、阿部信行(32点)。
もう一つは、平成に入ってからの小粒な首相群・・・宇野宗佑(35点)、海部俊樹(36点)、宮沢喜一(38点)、細川護熙(31点)、村山富市(28点)、森喜朗(30点)。
橋本龍太郎(47点)、小渕恵三(49点)両名を除けば、下位に名を連ねている。
そして、小泉純一郎。
この本は当初2002年に書かれているが、その時点で29点。
2005年(郵政解散前)の文庫化のタイミングで再採点しているが、27点とさらに点は辛くなっている。
小泉の無為無策ぶり、バランス感覚の欠如、不勉強ぶりを酷評している。
大学受験では日本史を選択したし、近現代史は特に好きなので、各総理の歴史上の位置付けなどのだいたいのイメージはあったが、さすがに掘り下げた知識や歴史観までは持ち合わせていないので、明治以降の政治史を大局的に改めて眺めてみるという点で興味深く読んだ。
その後、八幡和郎氏の「歴代総理の通信簿」というほぼ同じ趣向の本が出たことを知り、そちらも読んだので、両者の比較を後日書いてみたい。