「かんぽの宿」売却に始まった鳩山前大臣vs西川日本郵政の対立問題は、どうもよく分からないことだらけ。
このブログに何回か書いたとおり、自分はそもそも発端となった「かんぽの宿」売却に対する鳩山前大臣の批判はかなり乱暴なもので、到底納得しかねると思っています(収益を生まない資産に安い値段しかつかないのは当たり前)が、一方で日本郵政側の売却手続きに不透明な点があるなら、それはそれで問題だと思う。
よく分からないのは、鳩山氏も西川氏もどうしてこれほど意固地なまでに退く姿勢を見せないのか、ということ。
鳩山前大臣は、巻き返しを図る旧郵政勢力と結託し、利用されているのではないかという気はするものの、彼自身にそこまでする理由があまりないような気がする(特に郵政族というわけではないようだし)。
また、巷間言われているように、これが小泉構造改革路線の推進派と否定派の路線対立・抗争だとして、政治家でもない西川氏がここまでボロクソ言われて、地位に留まり続ける理由もよく分かりません。
やっぱり美味しい利権があるのではないか、と穿った見方をされてしまうのもある意味仕方がないのでは、などと考えてしまいます。
…といった印象を持っていたら、ダイヤモンド・オンラインで山崎元氏が同趣旨のことを書いていました。
西川・日本郵政社長は、本当に辞めないつもりなのか?(山崎元のマルチスコープ2009年6月17日)
同コラムでは、以前にもこの問題が採り上げられていましたが、この記事がなかなか秀逸。
頭の整理をするのにかなり役立ちました。
「かんぽの宿」勝負は西川社長の負け。但し、勝者は“総務省”(2009年4月8日)
特に卓見だなあと思ったのが以下の部分。
それにしても、今回の問題の大元は何だったのか。ここから先は少し推測が混ざるが、恐らく「かんぽの宿」は、従業員の雇用を重視したことで、売却条件が悪くなったのではないだろうか。
個別に売った方が高く売れたが、従業員の雇用をより広く、より長く保ちたかったということが優先したのではないか。メルパルクの事業譲渡の問題にも同様の傾向が見てとれるが、これが「日本郵政側の本音」だったようだ。そしてオリックスがこの本音を(新組織のポストも含めて)一番よく満たす相手だったというのが現実的なところではないのか。
雇用へのこだわりは、総務省側にもある。日本郵政は従業員の雇用を重視してオリックスを選んだと言っているが、一方の総務省もオリックスへの売却について十分な雇用確保が達成されているとはいえないとし、競合相手の条件のほうがいいように見えると指摘している(読売新聞の記事による)。つまり、両者とも雇用維持に高い優先順位を付けている。率直に言って、筆者は、この雇用維持への過剰なこだわりが、今回の問題の大元にあると思う。むろん、通った法律には、雇用に留意するという付帯条件が付いているし(雇用を未来永劫守れとは書かれていないが)、雇用に手を付けると事前に宣言していたら、現場の抵抗で、郵政民営化自体がうまくいかなったのかもしれない。当時者として民営化に苦労した人なら、そう言うのかもしれない。
ただ、雇用の現状維持が一つの保証条件のような形になっていることが、民営化の不徹底を招いているのではないか。業績次第でリストラも減給もある民間企業のスタンダードとはあまりにもかけ離れている。これでは、郵政民営化は形だけの民営化で、実質的には「親方日の丸」の無駄を、そのまま国民に転嫁しているのではないか。「雇用を重視したから、売却条件が悪くなった」という言い分の意味はそういうことだ。
ところで、麻生首相は何ゆえ鳩山氏を切ったんですかねぇ。
小泉・竹中サイドの巻き返しが利いたと言われているけど、麻生さんにそれに乗る義理はないはず。
それで支持率落してますます窮地に陥ってるってんだから。
単に情勢が読めない、判断が悪いということなのかもしれないけど、まったくもって分からんことだらけですわ。