「飢餓海峡」
1965年 日本 183分
■監督:
内田吐夢
■出演:
三國連太郎
左幸子
加藤嘉
伴淳三郎
八名信夫
高倉健
●あらすじ
水上勉の同名推理小説を内田吐夢が映画化。
「砂の器」と並び、日本映画の傑作と称される。
東映が監督に無断で編集した167分版と、監督自身の手による183分の完全版がある。
昭和22年に青函連絡船沈没事故と北海道岩内での大規模火災が同時に起きる。
火災は質屋の店主を殺害し金品を奪った犯人による放火と判明。
そして転覆した連絡船からは二人の身元不明死体が見つかった。
それは質屋に押し入った三人組強盗のうちの二人であることが分かる。
函館警察の弓坂刑事は、事件の夜に姿を消した犬飼多吉という男を追って下北半島へ赴く。
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
「砂の器」と並び、日本映画の傑作と称されると紹介されているので、観てみた。
なお「砂の器」も観てみるつもり。
制作年度がかなり前と言うのもあり、当時の日本の風景も、物語の設定である昭和22年当時を良く再現している。
この時代特有のものかもしれないが、恐山とかお経のようなBGMに、モノクロ映像で反転処理とかされると
凄くおどろおどろしい感じになり、非常に土着的な恐怖心を煽ってきて、結構怖い。
まるで横溝正史の世界観を濃く煮詰めた感じ。この頃の邦画と言うか、日本はこういった描写が当たり前だったのかな?
物語の方は、基が推理小説と言うのもあってきちんと進んでいくが、正直3時間は長いかな。
もっと削って2時間強くらいにしてもらった方が、観易くて良かった感じ。
と言っても別につまらないと言う訳ではなく、ちょっと長いなと感じつつも最後まで引っ張る力強さはある。
三國連太郎がとくに強い男像ではないのだが、骨太な演技は魅力がある。
一方不器用過ぎて家族と上手くコミュニケーションが取れず、成長した息子からバカにされながらも
執念の男を演じた伴淳三郎も素晴らしかった。
だが高倉健の刑事役は、ちょいと頂けなかった。
物的証拠もないのに自分の思い込みだけで恫喝まがいの取調べを行う姿は、正直嫌な気分になった。
まあ最後の方の展開には納得がいかなかったが、ラストシーンは凄い衝撃的だった!
これだけでも本作を語れるかもしれないくらいであった。