「憲兵と幽霊」
1958年 日本 73分
■監督:
中川信夫
■出演:
天知茂
中山昭二
久保菜穂子
三原葉子
●あらすじ
軍の機密文書が何者かに盗まれた。
波島はそれを田沢の仕業であると断定、田沢は無実にも関わらず自白を強要された末射殺される。
だが全ては田沢の妻に目を付けた波島の謀略であった。
田沢は亡霊となって甦り、その怨念に悩まされた波島は破滅の道を歩んでいく。
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
「憲兵とバラバラ死美人」とあわせて、新東宝憲兵二部作と言われている作品。
一般的にはこちらの「憲兵と幽霊」の方が評価が高いようだが、
私は「憲兵とバラバラ死美人」の方が好みであった。
まずストーリーや話の構成は、圧倒的に「憲兵と幽霊」の方が上。
話の骨格がブレてなく、一本道のストーリーは観ていて安心感がある。
また前作ではチョイ役だった天知茂が、今回は最初から最後まで出ずっぱりなところもポイント高し。
ただ随分と小物な悪役だが、それでも本作の話の中心に座っているのは、天地茂で間違いない。
タイトルにあるような幽霊物としては、結構弱いかなと言う気はする。
だがラストの墓場でのシーンは、公開当時としては相当怖かっただろうなとは思う。
何せ1958年と言えば、まだ昭和33年だからね!
昭和33年当時の本物の国鉄列車が走る街並みで撮影されている本作。
それだけでも堪らん魅力だが、中国の街を再現したセットも中々雰囲気が出ていて
話がきちんとまとまっているから、安心して楽しめる一本と言える。
ただ前作の「憲兵とバラバラ死美人」が持つ荒々しさとか、結果的に複雑化したプロットとかの
怪しげな雰囲気も、捨てがたい魅力がある。
果たしてどちらの方が良いのかは、それぞれ見比べてみて下さい。