「恐竜・怪鳥の伝説」
1977年 日本 92分
■監督:
倉田準二
■出演:
渡瀬恒彦
沢野火子
林彰太郎
野口貴史
●あらすじ
日本全土を震度100で突き上げる驚異の大パニック巨編!
プレシオザウルスVSランホリンクス!
神秘の富士五湖に潜む前世紀の謎!
1977年夏。
神秘のベールに包まれた富士の青木ヶ原樹海で事件は起こった。
やがて巻き起こる異変の数々…。
化石収集家・芦沢節(渡瀬恒彦)が見たものは果たして何か?
雄大な富士を舞台に展開するミステリアスアドベンチャー。
パニック映画ブームに沸く70年代に空前の巨費と時間をかけ、
世界市場をターゲットに製作した神秘と驚異の特撮巨編
「恐竜・怪鳥の伝説」、ここに大公開!(昭和52年4月公開)
(東映ビデオより)
★感想など
この映画はヒドイ!
どれくらいヒドイかと言うと
今まで観た邦画の特撮・怪獣映画で一番ヒドイ出来だ!
まずこの映画については、子供の頃に読んだ本にボロクソに書かれていたのが気になってたんだよね。
その本の冒頭には、以下のように書かれていた。
昭和五二年、米映画「ジョーズ」の大ヒットに便乗して「恐竜・怪鳥の伝説」が登場する。
東映のゴールデン・ウィーク超大作は制作費七億五千万を投入した大失敗作映画であった。
この映画が興行的にも作品的にも失敗した原因はいろいろ考えられるだろう。
特撮の貧弱さ、主人公ともいうべき恐竜の造形の悪さ、
「ジョーズ」を悪い意味で真似たストーリーのまずさ等々、数え上げればきりがない。
しかし、何にもましてこの映画を失敗させた原因は実はその演出の稚拙さにあったと言える。
とまあ、紹介文の最初からこの有様。ボロクソである。
褒めるところなぞ一つも無いと言った感じであったが、この紹介文で決定的だったのは、
以下の恐竜たちについての文章であった。
物語も半ばをすぎた頃やっと恐竜が画面に現れるのだが、これが前半の演出に輪をかけてひどい出来なのである。
首長竜の首が生物というよりも神の筒を折ったようにペコッとへこんで曲がるところなど
特撮映像としては最悪である。
怪鳥の方はまったくグライダーが飛んでいるという感じで、これで一体どこに七億五千万をかけているのだろう。
クライマックスの両者の対決はもう見なくても大体わかると言うものだ。
恐竜の描写については、さらにボロクソに書かれていたりする。
だが逆にここまで書かれると、一体どこまでヒドイのかこの目で確認したくなるのも世の常。
そう思って大人になってから観たハズだが、あまり記憶に残っていない。
中古でVHSを買ったくらいなのに。
だがあんまり面白いとは感じなかった程度の事は覚えているが、今回はなんだか面白いんじゃないかと
何かよからぬ期待をして久々に鑑賞してみたのだが
まさかここまでこちらの予想を大きく超えてヒドイとは!
まあ恐竜については、上記の通りだった。
1976年版の「キングコング」ばりに、等身大の恐竜を作って俳優たちとの撮影を合成無しでやりたかったんだろうが
如何せん特撮技術には弱い東映の弱点が出ている。
しかしそれ以外にヒドイのが演出で、全体的に抑揚がない感じで、観ていて何度も眠りに落ちそうになった。
話自体はシンプルなはずなのに、何故か話が全然頭に入ってこない。
まあ脚本も割とヒドくて、細かな整合性は全然取れていないし、何よりヒドイのがキャラクターの喋り方とか
性格が途中でガラっと変わってしまう事だ。しかも何でそうなったのかの説明は一切ない。
これだけでも頭痛が痛いのに、
絶望的にヒドイのが音楽だ!
音楽担当がジャズの人かどうか知らんが、恐竜が登場して人を襲うシーンなのに、のんきにジャズ。
これ程気の抜けたシーンを見た事がない!
それ以外のドラマパートでも、緊迫したシーンとかでも、当時の二時間ドラマみたいなのんきな音楽を流しやがる。
おまけにオープニングでは、全く意味不明の歌詞な「遠い血の伝説」と言う歌も流すし。
もうとにかく、音楽が場面に何一つあっていない。
音楽があっているシーンが一つもない。
この辺が観ていて苦痛な、最大なポイントかも。
とにかくこの映画は絶対に観ない方が良いだろう。
長年持っていたVHSも、今度ゴミの日に処分しよう。