イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

谷間のユリ

2007-03-15 15:02:28 | テレビ番組

今朝のテレ朝系『スーパーモーニング』。70年代の双子少女アイドルだったリリーズ、お懐かしい。財政破綻・再建問題ですっかり全国級の素材になってしまった夕張、ご当地有名人、しかもこの時期に現地訪れて、顔出しでルポして喋って一曲なり歌ってくれて絵(=TV放送)にできるとなると、やっぱりココに落…いやその、来ちゃいますか。

75年、14歳でデビューした真由美さん・奈緒美さん、双子ですからともに46歳。真由美さんは結婚されたとのことですが、まぁその、全盛期も、可愛いことは可愛いんだけどとりたてて特徴のない、良く言えば庶民的って言うんですか?アバウトな顔立ちだったので、30余年を経たいまも変わらないと言えば変わらないし、大人っぽくなったと言えば大人っぽくなった、しかもどっちを言ってもさほど褒めてることにならないという、微妙な外見になってます。

とりあえず、同年代、46歳日本女性の平均値からするとかなり上級の、劣化の少ない部類なのは確かでしょう。当時渡辺プロダクションが双子女性デュオの大先輩・ピーナッツの引退後を担う新人として押していたのですが、“双子だからザ・○○ズ”という命名センスが当時からすでに古かったし、雌伏の長かった同事務所先輩キャンディーズがやっとブレイクして後発のピンク・レディーと丁々発止始めた時期と、ちょうどデビューが重なる不運もあって、70年代後半~80年代前半をこぢんまり飾った“愛すべきB級アイドル”の地位を超えられませんでした。

実際、いま激励ライブとか開いてもらっても、デビュー2作目シングル『好きよキャプテン』の冒頭 ♪好きよ好きよキャプテン/テニス焼けの笑顔 しか思い出せるフレーズがない(爆)。放送で流されたのもこの部分だけ。実際、彼女たちの顔を見て歌声を聴いて「懐かしい」「俺、ファンだったんだよ」と素直にリアクションできる層と言ったら40代の働き盛り、子供に教育費かかる盛りのお父さんたちで、いちばん先に夕張に見切りをつけた層じゃないのかなぁ。アイドル時代の再現ではもちろんなく年相応の、コーラスのお姉さん風ステージ衣装で♪好きよキャプテン をハモるおふたりを客席から見る子供たちの反応をとらえたシーンは、残念ながら朝食の支度に取りまぎれて確認できませんでした。

結局“東京でメジャーになった芸能人が、斜陽にあえぐ生まれ故郷に凱旋エール”という美談仕立てだったんでしょうか。そういうベタなしつらえでも主演がリリーズ、というところに夕張の現況の厳しさが垣間見えるような気がします。

それより気になったのは、『スパモニ』のこのコーナーを通じて、ナレーターが「ゆーり」と、微量2音めの“ば”にアクセントを置く平板アクセント(=“ばいく”“どらむ”と同じ)で語り続けていたことです。北海道の地元住民は“夕張”をこれ式で発音する人はほとんどおらず、NHK北海道などのローカルニュースでも「うばり」です。

コーナー中、リリーズのおふたりが幼少の思い出や懐かしスポット再訪の感想を話すときも一貫して「うばり」だったので、なんだかナレーション部分だけが、外国のTV局のレポートのように他人行儀で冷淡。

北海道の地名の発音が地元と東京で違うことは、『北の国から』シリーズが放送されるたび、周期的に「ふの」「らの」問題として当地のラジオ番組で話題になっていました。月河は倉本聰さんのドラマが苦手で『北の…』も一度も観たことがないので、小っちぇーこと気にしてんじゃないよ同じ日本人同じ日本語じゃん、ぐらいに思っていたのですが、今朝はさすがに、右耳から左耳にスルーとはいきませんでした。

基幹産業(石炭鉱業)の衰退を尻目にバブル景気に甘えて大形ハコモノやイベント誘致にうつつを抜かし、赤字をさらに違法起債で埋める放漫財政で破綻した夕張の問題は、日本中どこの地方、どこの自治体でも明日、明後日同じ事が起こってもおかしくない切実な問題です。

にもかかわらず在東京キー局が極北の衰退地方都市に向ける視線なんて、B級懐かし芸能人を取っ掛かりにしてこの程度さ…という冷たい現実を思い知らされる1コーナーになってしまいました。

コメント (1)
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