いやぁ、出先のTVで音声無し画面だけしか見ていませんが、大変なことになっていますな沢尻エリカさん。エリカ“様”と言及しないと社会通念に反するのかな、いまや。
宝塚娘役さん10人分くらいの、ショートケーキみたいなヘアデコレーションで神前結婚式挙げたかと思うと、ハネムーン出発時はツバ広ハットにブラチラルック。やはり念頭にマライア・キャリーとかブリトニー・スピアーズ、いっそパリス・ヒルトン、古くはマドンナ辺りの国際お騒がせセクシーアーティストのイメージがあるんでしょうね。一方新郎の高城剛さんだかは“Yes,we did”のTシャツ、まあ就任ほやほやのオバマさんは忙しくて抗議の電話もかかってこないとは思いますが、実にわかりやすい筋金入りのお品のなさで、こちらも期待を裏切りません。
夜のドラマや邦画には縁があまりないので、沢尻エリカという名の女優さんがいるのだなあと媒体を通じて知ったのは、以前もここで書いたと思いますが、2005年の『パッチギ!』公開直前に、当地のFMラジオ番組の映画紹介コーナーに、共演の塩谷瞬さんとともにナマ出演されたときです。後にも先にもこの一度だけ、もちろんラジオなのでお顔はわからないまま。
月河はハリケンレッド塩谷さんの生ヴォイス目当てで周波数を合わせていたのですが、沢尻さんがむしろ会話のイニシアチヴを取り、普通にハキハキさわやか元気な若手女優さんという感じ。同FM局で当時いちばんヤングだった男性DJが“カワイイ!”という好感度全面出しでインタヴュアーをつとめていましたが別に難儀する場面もなかった。
ただ、いま思えば(いま思えばですが)、若干言葉遣いや語尾が、よく言えば男っぽい、意地悪に言えばがらっぱちな感じではありました。“笑いを取りに来ない土屋アンナさん”というのが当時の月河の印象です。
タイトルとうわっつらな世評しか知らないけど『1リットルの涙』や『タイヨウのうた』でのけなげな逆境少女のイメージで見ていたファンからすれば、“親子ほども年の違う(挙式時点で沢尻さん22歳高城さん44歳)ヤクザなPなんかと付き合うからああなっちゃったんだ”という気持ちにもなるかもしれませんが、月河の経験と見聞上、“オトコで180°変わってしまう女”なんて、安手の小説ドラマ、演歌の歌詞の中にしか存在しません。沢尻さんの現在の言動やファッションセンスも、高城さんとやらの影響はごくわずかで、もともと沢尻さんの中に眠っていた要素が、時が熟し諸条件(ブレイクに伴う露出量、浴びる視線量の増大、厚遇され有難がられおもしろがられ方の体温、年収上昇による服飾美容状況の変化など)が満たされるとともに自発的自律的に開花してきたと見るのが正解でしょう。
それにしても、動く歩道の沿道にびっしり並んだレポーターや、スタジオキャスター・コメンテーターの声が聞こえない状態で画面だけ見ていても明らかなくらい「もうデキちゃってるんじゃないの」、もしくは「いつまで(結婚)続くんだか」「次はいつ離婚するかだな」というハラでカメラマイク向けられ続け、それがお茶の間にも公共の場所にも流され続けているというのも、ご本人たちは覚悟の上、どんな動機でも注目されてりゃ快感なのかもしれませんが、傍目からは“しらけしんどい”話です。
この際、思いっきり期待を裏切って、末永く添い遂げてくれたりなんかしたら逆に意外性があってウケるのではないかと思いますが(ウケの問題かい)、媒体の世界では“添い遂げる”“平穏”ということは“フェードアウト”に等しいからなあ。