“一反木綿(もめん)”(@『ゲゲゲの女房』<『ゲゲゲの鬼太郎』)ってどこのローカルの、どんな由来で誕生した妖怪か寡聞にして未知ですが、“布”“反物”に抱く日本人のリスペクト、特別な神聖視的視点が感じられて興趣尽きないですね。なにしろ日本史における最古の国税=律令制による租庸調の“調”は、絹で納税する“調絹(ちょうきぬ)”と、絹以外の布で納める“調布(ちょうふ)”だったというくらい。純白の木綿には、“死者”“納棺”“お清め”“弔い”のイメージも重なります。
…それを図像化、ヴィジュアル化した水木しげるさんが、他ならぬ東京都“調布市”のヌシ的住人だというのもおもしろい。
城西映画船山P(風間トオルさん)から『墓場の鬼太郎』映像化のオファーを受け「お任せします、映画ではなく(長く稼げる)テレビで」と承諾したしげる(向井理さん)と布美枝さん(松下奈緒さん)、船山の提案が、まだアニメではなく実写映画ですから、「(『三匹のこぶた』の)ブーフーウーみたいに、役者さんが鬼太郎の人形の中に入るんでしょうか」「一反木綿はどげするのかな、フンドシでも飛ばすのか」「フンドシですか」と言われちゃ、茶の間の一反木綿も真っ赤になって怒るわけです(20日放送)。
「オレ、フンドシじゃないし!」みたいな。
夜の暗闇をひらひら飛ぶ白い布のイメージを超自然視、妖怪視する視点は、日本の土俗社会に伝統的にあったのではないかと思います。布って、怖いですもんね。人の怨念を宿してそうで。
ドラマ中の時制は昭和41年春になっていますから、もうTVでは地方でも『鉄腕アトム』のアニメが視聴済みだったし、この前の年ぐらいには映画館で『風のフジ丸』『狼少年ケン』が観られたはず。確かカラー作品でした。『鬼太郎』に「ピーンと来た、これはイケる」と反応した船山さんが“アニメ”を切り出さないのは、やはり昭和41年時点でのコストパフォーマンスとスタッフ集めの問題なのかもしれませんね。
とりあえず19日(月)からの週は、柄本明さんジュニア=柄本佑さん扮する菅井のどヘタ押しかけ干瓢(かんぴょう)アシが席捲。
だって本当に、掛け値なしヘタなのな。
ゼタ新人賞の看板屋出身=倉田(緒方洪庵で本物ゼノの窪田正孝さん)、お堂境内でしげるみずからスカウトした失業貸本漫画家=小峰(オトコマエで不毛地帯息子でチェイスな斎藤工さん)と、態度、語り口、風貌、それぞれのベクトルで濃厚なオトコたちがなぜか村井家に一挙集結しちゃって、プロダクション化で郁子さん(桜田聖子さん)に「奥さんが経理を担当されますか、簿記の知識はお持ちカシラ?」と攻勢かけられて、“どうしよう、役に立つこと何もできない、私の居場所は…”と戸惑い気味な布美枝さんの心理がじわっと描かれていました。
でも第2子妊娠。こればっかりは雇われじゃ代われないからねー。貧乏を脱出、夫の仕事面ではわかりやすく日の目をみる場所に出た、これからが夫婦としての本当の正念場です。頑張れ布美枝。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます