『炎神戦隊ゴーオンジャー』は前からたびたびここで書いているように、“次回楽しみの要素が多い”高原状態の曲線を、うまいことここまで引っ張ってくれているのですが、若干「例年の東映戦隊に比べて、これでいいのか?」と思うふしもないではない。
強化変身フォームが登場せず、外見的にも内面的にもメンバーのパワーアップが実感できないまま“現有戦力に武器アイテム数、合体パターン数だけオン”のまま後半に突入していることもそうですが、“大人の顔出しレギュラー”が、悪のケガレシア様(及川奈央さん)だけで、ヒーロー側の師匠格や後方支援役には大人無しというのは、ちょっと作品として心細い気も。
『ハリケンジャー』での西田健さん、『アバレンジャー』での奥村公延さん、『ボウケンジャー』での大高洋夫さんといった、東映の脇ベテラン、舞台の重鎮格がいないと、特撮抜き・戦闘外のドラマ部分の画面、特に“本拠地ないしベースキャンプでのオフタイム”に、何と言うか“重石”が足りないんですね。ふわふわしている。
GP‐8で走輔(古原靖久さん)の師匠格で真夏竜さん、同13で菅田俊さん、同27で木野花さん、同32で『相棒』組織犯罪対策5課の“小さいほう”志水正義さん等々、敵方ではなくゴーオンジャーと融和する役で、ゲストではユニークな人選がなされいちいち嵌まっているだけに、なぜ1年間呼べなかったかな…と思う。
レギュラー戦士役は例年新人・準新人の起用と決まっていますから、大人向けドラマや映画でおなじみの俳優さんのレギュラー参加は、たとえ1話当たりの登場場面は少なくても、大人世界との架け橋、「(悪い意味での)子供騙しじゃないよ」という“了解のとりつけ”でもあるし、醒めた見方をすれば“大人中心社会であるTV局が、どの程度の予算を割いたか”の指標でもある。
そう、身も蓋もなく言ってしまうと、“正義の顔出し大人”のいない戦隊は、どこか“安上がり”“節約”の匂いが漂うんですな。
『ゴーオンジャー』の場合、炎神たちも“エコ・カー”だから、ちょうどいいのか。省資源、ついでに省“資金”ってことで。
……………うまくまとまらないにもほどがありましたが、動植物系モチーフの戦隊より、どちらかというとメカ系戦隊のほうが好きな月河、たまに『デカレンジャー』『ボウケンジャー』の録画再生して観ると、ドラマやキャラ造型はともかく、やはりスケール感とか、舞台や背景の何とはなしの宏壮感、“手が込んでる”感において『ゴーオンジャー』は薄いし、軽いなと思う。
否応なく進む少子化で、玩具メーカーも市場開拓や商品戦略が一段と厳しくなっています。輪をかけて“予算の窮屈さ”が絵ヅラに出てしまうと、さなきだに絶対数が減っている小さなお客様に「安っぽい」とますますそっぽを向かれかねない。
『ゴーオンジャー』の終盤の展開以上に、いろんな意味で来年以降も目が離せないスーパーヒーロータイムです。
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