『爆笑オンエアバトル』第11回チャンピオン大会セミファイナルBブロックはin宮崎(3月12日放送)。
それにしても、都城総合文化ホールで収録しているのに、“in宮崎”ってステージ上にも掲示しちゃって、都城の世論的にはオッケーなんでしょうか。行ったことないけど、地図で見ると宮崎県の県庁所在地の宮崎と、都城、結構距離ありますよ。「宮崎県内ならぜんぶ宮崎だ」みたいな感じで失礼に当たらないでしょうかね。前週放送のAブロックでは“in尾張旭”と銘打っていて、in愛知ではなかったですけど。
都城と言えばプロ野球のキャンプ地としても有名じゃなかったかな。“in都城”と謳ってあげましょうよ。たとえば、千葉県銚子市で収録があって、「オンエアバトルin千葉」と掲示されたら、銚子市民、怒るでしょう。怒らないまでも釈然としないでしょう。
それはともかく、このBブロックは、出場10組中上位2組がover1,000(満点は1,090kb)というところまではAブロックと同じでしたが、3位から5位はすべて900kb台。900台が一組もおらず3位がいきなり822kb(ギャロップ)だったAブロックと、ある意味対照的な結果になりました。
毎年、セミのブロックごとの結果を見て言われ、言いながら言ってる本人も「不毛だなあ」と思うことを今年も言いますが、Bブロック6位不通過のラバーガール834kbがもしAブロックだったら3位で楽勝通過になったわけです。
言い換えればBは粒が揃っていたから900台僅差の競り合いになった………ってほどの満腹感も、実はあんまり感じられなかった。本当にラバガが、5位通過のハマカーン938kbと100以上の差がついたのは、演順トップと2番手の差としか言いようがない。確かにハマカーン、ノーミスだったけれど、ミスがない代わりさしたる盛り上がりもなかった。ちょっと地方の客席審査員が「本当に玉、流したらバケツに入るかどうか見てみたい」と思ってお試し的に流したふしはないかしら。
……冒頭クドクド書いたわりには、月河も地方に失礼だな。
ハマカーンに関しては、浜谷が得意のロボットネタを封印しつつ、微妙にロボット風味をトッピングしてバッティングセンターに持ってきた、ファイナルまで視野に入れたセンスとしては認めていい。
ラバーガールの敗因をムリヤリ探すとすれば、“2人定位置に座ったきりでアクション無し”のネタは、『エンタの神様』や『爆笑レッドカーペット』ではともかく、地方回向きでないと言えばない。後で述べるようにもともと地方回に強いタイプではなく、本人たちも承知のはずですが。
初見いきなりはっきりファイナル進出無理とわかったほうから順に行くと、井上マー、鎌鼬、トップリードはネタの選択でしくじった感があります。
マー10位562kbは、オンバトでもレッドカーペットでもなく、エンタでもギリギリで、完全に営業向きのネタでしょう。過去のオンエアを思い出しただけでも、声優ネタや深夜ラジオDJネタなど、オンバトの視聴者層にもっと合ったネタをいくらも持っているはずなのに、セミが地方回ということをちょっと考え過ぎたか、舐め過ぎたか。
鎌鼬8位682kbは、“部活最後の試合で負けて泣く”という、地合いが湿っぽいネタを長く引っ張り過ぎた上、締めに「汗くさ」「ベタベタ」を何度も言って後味を悪くした。お笑いの客は意外に“キモさ”“不潔さ”“不快さ”にナーバスなところがあり、こういうことで印象がずいぶん違ってくるものです。笑かしの力量はあると思うので、鳥の目=ステージ上の演者の目をちょっと脇に置き、虫の目=客席で見る客の目でもってネタを考えてみるといい。
トップリード9位634kbも、過去のオンエア回に比べて力量的に本当にもったいない。新妻が陣内智則のプロジェクターに当たる役をしているのですが、観客からすると和賀のクチキャプションを笑ってから、実体の新妻を笑い、新妻を笑ってからまた和賀を笑い…と、笑いが二つに分散してしまうのです。前週のパップコーンの低調さとよく似ている。前回オンエアの張り込みネタのように、“2人でよってたかってたたみかける”くだりがほしい。“実はイジっていたほうが嫌われていた”というブラックなオチは月河、好みですが、ストンと気持ちのいいブラックさではなかった。
それでもこの組、一時はオンバトで8連敗していたのだから、ずいぶん受け入れられて来たし、自分たちのパターンも掴みつつあると思う。
笑いが分散と言えば、ローテーション漫才の我が家は982kb3位通過と高評価。これは同じコント勢のラバガやトップリードに比べて、「地方回における“お約束”」の強みがもろに出たと見たい。
地方では、“いつもTVで見ている持ちギャグ”“お約束フレーズ”“決めポーズ”をナマで見られたという感激で、それだけで玉10個や20個余分に入る。悔しいけれどそれが地方というものなのです。従って、“お約束”“持ちギャグ”を持っている組と持っていない組とでは前者のほうがくっきりはっきり分がいい。デブキャラ杉山が「オリコンチャート」で噛んだときの客席の妙な歓声が、地方回独特の沸点低さを如実に物語っている。何しろ出場してなかったAブロックのほうでもパップコーンに「言わせねーよ?」を引き合いに出されていましたからね。
お約束持ちと言えば、もうオンバト常連では鉄板でしょう超新塾が堂々1,042kbを叩き出して1位通過。ここのところのオンエア回での好調さを存分に出しました。特別いままでと違ったことやってるわけじゃないんだけど、とにかく好調オーラが出ている。ここでのメタボ“不摂生”キャラ・マンモスが、今回はみずからフッてお腹ぽっこりやったところとか、気弱キャラのコブラを前半のキメに使ったところなど、小さく新味を入れた箇所がいちいち“野手の間を抜く単打”になっていて、“ボールがよく見えている”“バットが振れている”感じ。
まあ厳しく見れば、演順がラストだったので客席審査員も心おきなく流せたということもあるか。「どげんかせんといかん」は東国原知事の宮崎県なのでサービスのつもりだったのでしょうが、確信ベタくすぐりとしても、ちょっと芯に当たらなかった。
ボールが見えていると言えば、流れ星962kb4位通過もそう。ネタ終了後の袖でのインタヴューを見ても、特にツッコミ瀧上が落ち着いていて、ひとつひとつきっちりツッコミ切れているのが大きい。美少女顔の瀧上が「ちょっと恥ずかしいですね」と全裸でゴルフカートに乗り「赤信号です」で慌てて戻ったり、衝突事故で「この展開なんだオイ!」と転がったりの後半は、このブロック出場者中でいちばん笑いました。昨年のマグロ少年ツナンやゲートボーラーヨネゾウに続いて、今期もちゅうえいのヘンテコ“クソゲーキャラ”が冴えているし、正直ここまで安定感のある組に成長するとは思いませんでしたよ。こうなると“安定感以上の何か”もほしいところ。
そして今ブロック、フラミンゴの1,010kb2位通過にも小さくびっくり。地方回向きの芸風ではないと思っていたし、テンポも決して抜群に良かったわけではない。アメリカンジョークの辺りまでは正直寒めだなと思ったのですが、振られてない刑事のほうが郷ひろみを続けたところから、めきめきノリが良くなってきた。これね、武田鉄矢とかB’z稲葉とか、モノマネが容疑者も刑事もものすごくうまいわけではなく、「誰のモノマネしてるかはわかる」程度の微妙さだということが笑いにつながっているんですね。谷原章介の次に堺雅人って、振りからして“微妙の教科書”的なとこをついてきましたな。
締めに古畑任三郎のテーマを持ってきたことで、直球でわかったのですが、この人たちは三谷幸喜さん脚本のコメディがかなり好きそうです。月河も古畑は好きだけれど、方向性として“三谷系”の笑いはオンバトの、とりわけチャンピオンとは相性がもう一つだと思うがなあ。
最後になりましたがえんにち710kb7位は、ネタ自体も古くさくて魅力に乏しかったけれど、いつまでたっても助走のような空気感でずっと行ってしまったのは、特にアイパー滝沢のバイオリズムが良くなかったのかもしれない。小松アナとのネタ後トークでの顔汗が酷かっただけではなく、ネタ中のボケの声も通常のオンエア回より小さかった。
この組も現場に行っての客席好感度や「お勤めご苦労さんです」などのお約束認知度は目覚ましく上がってきているのですが、ネタっきりでチャンピオンを目指すのには色モノ感が強すぎるし、一ネタ見た後、もう一ネタ見たい気持ちにさせるだけの引き出しがない感じ。
さあ、前週5日放送のAブロックとあわせて、これでファイナル進出10組が出揃いました。10組+ディフェンディングチャンピオンのトータルテンボス。
競馬においては「的中時、回収を抜きでも喜べる馬券しか買わない」「好みでない馬が来る予想しか立たないレースは買わない」を旨としている月河、ズバリ第11回チャンピオンは「トータルテンボス防衛」「新王者誕生ならパンクブーブーか流れ星」。これで行きたいと思います。
ただ、流れ星優勝ならトタテン・パンブーは2位はないと思う。パンブー優勝トタテン2位はあり得る。逆にトタテンがかなり水をあけての防衛なら、流れ星は3位までに来ないでしょう。どう買えばいいんだ(売ってないか)。