イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

和尚さまー…南無

2009-03-15 16:11:19 | お笑い

『爆笑オンエアバトル』11回チャンピオン大会セミファイナルBブロックはin宮崎(312日放送)。

それにしても、都城総合文化ホールで収録しているのに、“in宮崎”ってステージ上にも掲示しちゃって、都城の世論的にはオッケーなんでしょうか。行ったことないけど、地図で見ると宮崎県の県庁所在地の宮崎と、都城、結構距離ありますよ。「宮崎県内ならぜんぶ宮崎だ」みたいな感じで失礼に当たらないでしょうかね。前週放送のAブロックでは“in尾張旭”と銘打っていて、in愛知ではなかったですけど。

都城と言えばプロ野球のキャンプ地としても有名じゃなかったかな。“in都城”と謳ってあげましょうよ。たとえば、千葉県銚子市で収録があって、「オンエアバトルin千葉」と掲示されたら、銚子市民、怒るでしょう。怒らないまでも釈然としないでしょう。

それはともかく、このBブロックは、出場10組中上位2組がover1,000(満点は1,090kb)というところまではAブロックと同じでしたが、3位から5位はすべて900kb台。900台が一組もおらず3位がいきなり822kbギャロップ)だったAブロックと、ある意味対照的な結果になりました。

毎年、セミのブロックごとの結果を見て言われ、言いながら言ってる本人も「不毛だなあ」と思うことを今年も言いますが、Bブロック6位不通過のラバーガール834kbがもしAブロックだったら3位で楽勝通過になったわけです。

言い換えればBは粒が揃っていたから900台僅差の競り合いになった………ってほどの満腹感も、実はあんまり感じられなかった。本当にラバガが、5位通過のハマカーン938kb100以上の差がついたのは、演順トップと2番手の差としか言いようがない。確かにハマカーン、ノーミスだったけれど、ミスがない代わりさしたる盛り上がりもなかった。ちょっと地方の客席審査員が「本当に玉、流したらバケツに入るかどうか見てみたい」と思ってお試し的に流したふしはないかしら。

……冒頭クドクド書いたわりには、月河も地方に失礼だな。

ハマカーンに関しては、浜谷が得意のロボットネタを封印しつつ、微妙にロボット風味をトッピングしてバッティングセンターに持ってきた、ファイナルまで視野に入れたセンスとしては認めていい。

ラバーガールの敗因をムリヤリ探すとすれば、“2人定位置に座ったきりでアクション無し”のネタは、『エンタの神様』や『爆笑レッドカーペット』ではともかく、地方回向きでないと言えばない。後で述べるようにもともと地方回に強いタイプではなく、本人たちも承知のはずですが。

初見いきなりはっきりファイナル進出無理とわかったほうから順に行くと、井上マー鎌鼬トップリードはネタの選択でしくじった感があります。

マー10562kbは、オンバトでもレッドカーペットでもなく、エンタでもギリギリで、完全に営業向きのネタでしょう。過去のオンエアを思い出しただけでも、声優ネタや深夜ラジオDJネタなど、オンバトの視聴者層にもっと合ったネタをいくらも持っているはずなのに、セミが地方回ということをちょっと考え過ぎたか、舐め過ぎたか。

鎌鼬8682kbは、“部活最後の試合で負けて泣く”という、地合いが湿っぽいネタを長く引っ張り過ぎた上、締めに「汗くさ」「ベタベタ」を何度も言って後味を悪くした。お笑いの客は意外に“キモさ”“不潔さ”“不快さ”にナーバスなところがあり、こういうことで印象がずいぶん違ってくるものです。笑かしの力量はあると思うので、鳥の目=ステージ上の演者の目をちょっと脇に置き、虫の目=客席で見る客の目でもってネタを考えてみるといい。

トップリード9634kbも、過去のオンエア回に比べて力量的に本当にもったいない。新妻が陣内智則のプロジェクターに当たる役をしているのですが、観客からすると和賀のクチキャプションを笑ってから、実体の新妻を笑い、新妻を笑ってからまた和賀を笑い…と、笑いが二つに分散してしまうのです。前週のパップコーンの低調さとよく似ている。前回オンエアの張り込みネタのように、2人でよってたかってたたみかける”くだりがほしい。“実はイジっていたほうが嫌われていた”というブラックなオチは月河、好みですが、ストンと気持ちのいいブラックさではなかった。

それでもこの組、一時はオンバトで8連敗していたのだから、ずいぶん受け入れられて来たし、自分たちのパターンも掴みつつあると思う。

笑いが分散と言えば、ローテーション漫才の我が家982kb3位通過と高評価。これは同じコント勢のラバガやトップリードに比べて、「地方回における“お約束”」の強みがもろに出たと見たい。

地方では、“いつもTVで見ている持ちギャグ”“お約束フレーズ”“決めポーズ”をナマで見られたという感激で、それだけで玉10個や20個余分に入る。悔しいけれどそれが地方というものなのです。従って、“お約束”“持ちギャグ”を持っている組と持っていない組とでは前者のほうがくっきりはっきり分がいい。デブキャラ杉山が「オリコンチャート」で噛んだときの客席の妙な歓声が、地方回独特の沸点低さを如実に物語っている。何しろ出場してなかったAブロックのほうでもパップコーンに「言わせねーよ?」を引き合いに出されていましたからね。

お約束持ちと言えば、もうオンバト常連では鉄板でしょう超新塾が堂々1,042kbを叩き出して1位通過。ここのところのオンエア回での好調さを存分に出しました。特別いままでと違ったことやってるわけじゃないんだけど、とにかく好調オーラが出ている。ここでのメタボ“不摂生”キャラ・マンモスが、今回はみずからフッてお腹ぽっこりやったところとか、気弱キャラのコブラを前半のキメに使ったところなど、小さく新味を入れた箇所がいちいち“野手の間を抜く単打”になっていて、“ボールがよく見えている”“バットが振れている”感じ。

まあ厳しく見れば、演順がラストだったので客席審査員も心おきなく流せたということもあるか。「どげんかせんといかん」は東国原知事の宮崎県なのでサービスのつもりだったのでしょうが、確信ベタくすぐりとしても、ちょっと芯に当たらなかった。

ボールが見えていると言えば、流れ星962kb4位通過もそう。ネタ終了後の袖でのインタヴューを見ても、特にツッコミ瀧上が落ち着いていて、ひとつひとつきっちりツッコミ切れているのが大きい。美少女顔の瀧上が「ちょっと恥ずかしいですね」と全裸でゴルフカートに乗り「赤信号です」で慌てて戻ったり、衝突事故で「この展開なんだオイ!」と転がったりの後半は、このブロック出場者中でいちばん笑いました。昨年のマグロ少年ツナンやゲートボーラーヨネゾウに続いて、今期もちゅうえいのヘンテコ“クソゲーキャラ”が冴えているし、正直ここまで安定感のある組に成長するとは思いませんでしたよ。こうなると“安定感以上の何か”もほしいところ。

そして今ブロック、フラミンゴ1,010kb2位通過にも小さくびっくり。地方回向きの芸風ではないと思っていたし、テンポも決して抜群に良かったわけではない。アメリカンジョークの辺りまでは正直寒めだなと思ったのですが、振られてない刑事のほうが郷ひろみを続けたところから、めきめきノリが良くなってきた。これね、武田鉄矢とかB’z稲葉とか、モノマネが容疑者も刑事もものすごくうまいわけではなく、「誰のモノマネしてるかはわかる」程度の微妙さだということが笑いにつながっているんですね。谷原章介の次に堺雅人って、振りからして“微妙の教科書”的なとこをついてきましたな。

締めに古畑任三郎のテーマを持ってきたことで、直球でわかったのですが、この人たちは三谷幸喜さん脚本のコメディがかなり好きそうです。月河も古畑は好きだけれど、方向性として“三谷系”の笑いはオンバトの、とりわけチャンピオンとは相性がもう一つだと思うがなあ。

最後になりましたがえんにち710kb7位は、ネタ自体も古くさくて魅力に乏しかったけれど、いつまでたっても助走のような空気感でずっと行ってしまったのは、特にアイパー滝沢のバイオリズムが良くなかったのかもしれない。小松アナとのネタ後トークでの顔汗が酷かっただけではなく、ネタ中のボケの声も通常のオンエア回より小さかった。

この組も現場に行っての客席好感度や「お勤めご苦労さんです」などのお約束認知度は目覚ましく上がってきているのですが、ネタっきりでチャンピオンを目指すのには色モノ感が強すぎるし、一ネタ見た後、もう一ネタ見たい気持ちにさせるだけの引き出しがない感じ。

さあ、前週5日放送のAブロックとあわせて、これでファイナル進出10組が出揃いました。10組+ディフェンディングチャンピオンのトータルテンボス

競馬においては「的中時、回収を抜きでも喜べる馬券しか買わない」「好みでない馬が来る予想しか立たないレースは買わない」を旨としている月河、ズバリ第11回チャンピオンはトータルテンボス防衛」「新王者誕生ならパンクブーブー流れ星。これで行きたいと思います。

ただ、流れ星優勝ならトタテン・パンブーは2位はないと思う。パンブー優勝トタテン2位はあり得る。逆にトタテンがかなり水をあけての防衛なら、流れ星は3位までに来ないでしょう。どう買えばいいんだ(売ってないか)。

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ピリッパキッキリッ

2009-03-14 17:12:41 | デジタル・インターネット

根が出不精かつ引っ越し嫌いなもので(関係ないか)、ブログの外枠とかウツワ部分を動かすのもできればあんまりやりたくないのですが、06年秋からこのブログも2年半やってる間に、大家さんであるブログサービス“OCNブログ人”(ウチのURL↑↑↑でもわかる通り、magazine”から取ったネーミングでしょうね)もサービスが少しずつ充実してきまして、きれいでカッコよく、しかもさほど難しくもない操作でお着替えできるデザインテンプレートの選択肢もずいぶん増えてきました。

んで、ヒマなときヒマにまかせて、新しいテンプレを自分のブログに当てはめていくつか試し見してみたのですが、やはり相性っちゅうものがあるらしく、適用はできるけどどうにも読みづらくなるデザインが多いんですね。

……ご覧の通り記事自体が毎度毎度長文な上、あとから自分で自分の書いた要点を探しやすいように文字をお色違いにしたりしているので、“地”の文が暗色に白抜きになるタイプのテンプレは使えません。この系統はスタイリッシュなデザインが多くて心惹かれるのですがね。試しに1ページ適用してみたのですが、紫や緑や紺のお色違い文字にした箇所が、暗色に埋もれて、何のご縁でかこんなネットの片田舎にまではるばる来てくださった読者のかたにアンフレンドリーであるばかりでなく、書いたテメエが「この記事そもそも何が言いたかったのか、ドコに眼目が書いてあるのか」とわからなくなる。

だいたい、愚痴るわけじゃありませんが一日のうちブログ投稿に集中できる30分なり40分なり、早朝でも深夜でも決まって取れれば、逆にもっと毎エントリをコンパクトにスパイシーにまとめることができると思うんですよ。細切れ時間でちょこちょこ書き足してはスタンバイモードに切り替えたり、また起こしてパラグラフを入れ替えたり、入れ替えついでに書き直したり、またスタンバイにしたり、うっかり保存せずに閉じてパニクったりしつつ、出来上がったところでやおら投稿画面にコピペするので、1記事コンプリートするのにヘタしたら半日かかることもあるわけです。

一事が万事踏ん切りのつかない、未練がましい性格が記事の長さにも現れてるということでしょうな。いつの日かピリッと短いフレーズでパキッと本質を衝く、キリッとクールでクレバーなブログを書いてみたいものです。

まぁそれはともかく、最近ブログ人で見つけたデザインテンプレの中で、ほどほど季節感、模様替え感があってまあまあ読めるヤツということで、一週間ほど前から適用してみました。ブログ自体のタイトルがタイトルなので、色調的にあまりかけ離れた外観にしたくない気持ちもあります。

ちょっと春らしくなったでしょうか。秋の衣更えシーズンになる頃には、選択可能なテンプレもまた増えているんじゃないかと期待を寄せています。

月河はもうずっと前に自己確認の意味でここに書いたように、ものを書く場所を持つためだけの別建ての出費は、たとえ僅かな月額でもすべきでないと思っているため、“無料”にこだわっていますからデザインの選択も限られますが、ブログ人の有料コースを選択すればレディメードのテンプレだけでなく、“この世にひとつだけのオリジナルデザイン”も作れるそうです。

月河が“無料”にこだわるのと同様“オリジナル”にこだわっているブロガーも多いことでしょう。ブログサービス、“どこが痒くなっても手が届く”ようにはできてますな。

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コジャレたオサーン

2009-03-12 20:09:21 | 夜ドラマ

「↑↑↑↑↑(=記事タイトル↑↑)だったヲ」と掲示板にカキコされちゃ、日本一の窓際族・杉下右京警部殿もカタナシですな。『相棒 Season 7“悪意の行方”(311日放送)は、匿名性によって無名の人々の小さな潜在悪意が連鎖増幅する、ネット社会の負の部分にフォーカスしたエピソードでした。

Season 6“陣川警部補の災難”以来1年半ぶりに登場の、捜査一課の経理マン陣川公平警部補(原田龍二さん)が右京さん(水谷豊さん)と一緒に拉致監禁された、ツカみのキレがまず良かったですね。誰が、なぜ?season31エピ分しか特命係に在籍しなかった陣川が巻き込まれた理由は?と、物語本編への興味をつなぐとともに、空き缶ガンガンで陣川を起こしてからは、「あそこ(=天井の採光格子)を壊しましょう(←“ましょう”と言いつつ自分はやらない)」「これ(=廃ロッカー)に乗れば済むことではありませんか」「さあ!」とバリバリ人使いのあらい右京さん、「一発で(発煙筒投げ)成功させますから」とかクチのわりに体力が追いつかない陣川くんのコントも楽しい。亀山くん(寺脇康文さん)去りし後、右京さんひとりきりの特命係になってからは、事件や語り口は水準の緻密さを保っていても、どこか暗くなってしまっていたのは否めないですからね。

三度目参戦の原田さんも『相棒』ワールドの間合いを覚えてきたのか、鑑識米沢さん(六角精児さん)や角田課長(山西惇さん)、“花の里”のたまきさん(益戸育江さん)を間においての、右京さんとのやりとりがいままででいちばんテンポがよかったと思います。現場に落ちていた携帯電話を素手で拾おうとしたり、逃走しかけた容疑者に掃除ブラシで対抗したり(主婦か)、言わなくてもいい場面で警察を名乗ってしまうなど、現場捜査慣れてないのまる出しな一挙手一投足ですが、“プロ刑事だけど、警察の論理一辺倒でなく一般市民目線”だった亀山が不在になった相棒ワールドには久々新鮮でした。

season監督作こちらも三度目の登板・東伸児さんも、いままでの2話(“沈黙のカナリア”“髪を切られた女”)に比べて出色の冴えだったと思います。CM込みで51分の本編放送時間が短く感じられましたから。演出力量云々ではなく、脚本及び脚本との相性の差でしょうね。

学校裏サイトを立ち上げネットいじめを煽ったかどで退学になった中学生と、学生時代ネットいじめの標的になり実家が万引き攻撃に遭って廃業に追い込まれた経験のある、いまはソーシャルネットワークシステム(SNS)管理スタッフになっている女性の、眠らせていた悪意が匿名掲示板の上で偶然つながり、あわよくばと書き込んだ個人情報が、警察や学校に対して漠然とした反感を抱きつつネットに集った無名の人々の悪意・攻撃性を磁石のように引き寄せ、雪だるま式に膨張させて、名も素性も知らぬひとりひとりが寄ってたかって“特命係”暴行拉致監禁事件に至ってしまった。ネットの匿名性は怖いね、世の中すさんでるね嘆かわしいねというだけのお話なら、こう言っちゃなんですが当節バカでも書ける。

今話の秀逸なのは、SNS監視中、女性教師真央(金子さやかさん)を自分の実家廃業の張本人と確信し、彼女の個人情報を退学中学生の立てたスレッドに書き込んだ張本人であるSNSスタッフ優子(原史奈さん)に、通報者と特定した陣川くんが例によって一目惚れしてしまう側線を入れたことです。

優子は自分の書き込み後スレに盛り上がる悪意がどんどんエスカレートしていくさまに怖れをなし、特命係警官2人を「監禁しますた」と書き込まれた貨物船の異常を匿名110番通報。「通報のおかげで救出されたのだからひと言お礼を言いたい」と、お節介にも通報者特定して「ボクその警官です」とアプローチしてきた陣川には優子は個人情報書き込みの一件はもちろん、そんなことを思い立つに至った学生時代の暗い経験についてもニコニコ沈黙していました。

ネットは匿名で顔が見えないから怖くて危険、直に顔を見てナマで会話し交流してこそ健全な人間関係やマナーも成立するのだ…と学校の教師や父兄、識者は強調しますが、リアルの交流でも人間は平気で嘘をつくし隠し事をするし、顔を見て会話しても結局は自分にとって都合のいい情報(たとえば“若く美しい愛想のいい異性だ”)しか取り入れず、自分に心地よいように翻訳して理解するばかりなのです。畢竟人間は、“見たいと思うものしか見えず、聞きたいと願うことしか聞こえない”。

人間が人間と接触しつながるということにおいて、匿名のネットにはネットの、顔と肉声のあるリアルにはリアルの、リスクがありコストがあり、恐怖も不安も陥穽もある。全幅の信頼や誠実さなど、どこにも求めようがないのが人間の社会です。“美人の愛想”というリアル生身情報にことのほかガードの甘い陣川くんを登板させたことが見事に活きた。陣川ほどではなくても、見てくれや肩書き、学歴などに目眩まされて相手の本質を理解できていないまま上辺でサークルだ親友だと盛り上がっては、些細なことで傷つき傷つけたり逆恨みしたりの人間関係が、リアル社会にこそ山ほどある。

ネットの怖さを取っかかり口にして、ここにまで言及したところが『相棒』の、事件・犯罪ものドラマとしての秀逸さです。

“至るところ陥穽だらけ”の現実を、高校時代軽い気持ちで、いじめられている同級生の実家家業の個人情報を書き込み万引き攻勢に遭わせた真央先生の後悔と、いま教師として裏サイト対策に取り組むポジティヴな姿勢で掬い上げた。「ネット蔓延社会お先真っ暗」という結論では終わらせなかったのも陣川くんの人徳でしょうか。

結局真央先生は優子の実家曝し上げとは学年的に無関係でした。ネットで細切れに露出される情報の、如何に信頼できないことか。如何に人間が、個人的な経験やトラウマに縛られてしか情報を咀嚼理解できないものか。

ネット犯罪を採り上げながら、51分一話完結でここまで提示(すべて解決救済なわけではない)し切るドラマはやはり他にはないでしょう。

ネタとしては、ネットといちばん無縁そうな内村刑事部長(片桐竜次さん)と中薗参事官(小野了さん)が「ウヒョー、怖ス」「まじワクテカなんですけど」と、捜一ヤング芹沢くん(山中崇史さん)の指南よろしく掲示板のレスを読んで「…世の中どうなってるんだ」と嘆息するくだりが笑えましたね。この劇中掲示板を見るに、『相棒』スタッフも匿名掲示板の用語、語法、相当読み込んで、精通してますな。

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ギャギャギャギャギャ

2009-03-11 21:30:46 | 特撮・ヒーロー

『仮面ライダーディケイド』龍騎の世界後編(38日)、〆方はあれでよかったのでしょうかね。ナイト=レン(北村栄基さん)がヘロヘロになりながらオーディンからタイムベントカードを奪い、龍騎=シンジ(水谷百輔さん)と士(井上正大さん)が玲子編集長変死前に時間移動。真犯人は中庭にいたアビス鎌田(入江雅也さん)と判明、夏海(森カンナさん)の容疑も晴れ、シンジが根に持っていたレンの他社転職の真相と真意も編集長の口から明らかにされて、カメラのシンジとライターのレン最強チーム復活でめでたしめでたし。まだ龍騎の世界に来たばかりだと思っているユウスケ(村井良大さん)と夏海キョトンの間に、士は「この世界での用事はもう終わった」と余裕の笑み。

…しかし、オリジナル『龍騎』のように、神崎士郎が醸成したミラーワールドが消滅してライダーバトル自体が“なかったこと”になったわけではないので、今回のような事件が起きたらまた検察、弁護、事件関係者が変身して入り乱れて戦うんじゃないのかしら。それとも鳴滝(奥田達士さん)が、実はまさかのパラドキサアンデッドだった鎌田を連れて次週からの剣(ブレイド)世界に行ってしまったので、龍騎の世界はもう無事なのかな。何かあったら、死ななかったことになった桃井編集長のAtashiジャーナルが書いてくれるわけだし。

もともと人類の平和と幸福のために戦うはずだった“仮面ライダー”が“テメエひとりのために”戦い出したらこんなんなっちゃいましたという『龍騎』物語の一側面をフィーチャーし、ミラーワールドの成り立ちどうこうはほぼオミットしたのは成功だったのかな。

オリジナル『龍騎』視聴の間、特に秋からの後半戦は「何をどうすればあのミラーワールドは解消されて、いい人たちみんな死なないで済むんだ?」と悩み続け、“いい”人じゃないけど死なないでほしいと思う人物がどんどん増えていってますます悩ましくなった日々を思うと、ずいぶん簡単に「終わった」ことにされちゃったなという気がしないでもありませんが、それでもレンが命がけで奪取したタイムベントカードにシンジが「その身体じゃ無理だ、俺が行きます」とライダーバトルのルール破りを買って出る場面や、「僕は1人で戦ってるんじゃない!」、士との「いまは、僕たちがチームだ」など、理屈はどうでもぞくっとしましたね。

ヒーローものの場合、設定→展開→回収の整合性が多少アレでも、局面局面の“燃え”で取り返してお釣りが来てしまうことがたまさかあるんです。

逆に言えば、ヒーローもの以外の普通の実写ドラマは、この“燃え”という情緒のゲタをはかせてもらえない分、いろんなことを隅々整合取らないと杜撰呼ばわり、欠陥作呼ばわりされるのでつらいのだな。

オリジナル最終話、“花鶏”に一見さんとして入って来る真司と、出て行った蓮との間に、ライダーバトル抜きで友情が芽生える未来がありますように…と思ったので、“シンジ”と“レン”の“最高のチーム復活”は素直に嬉しかった。設定も、役者さんも変わっているんですけどね。先週放送の前半しか登場がなかった脇役ライダーたちの扱いや、人間体のキャスティングを含めて、「こんなんで終わり?」と不満なオリジナル『龍騎』ファンも少なくはないでしょう。

昼ドラウォッチャーとしては、06年『美しい罠』の水谷百輔さんが、素朴でほどほど山だしやんちゃな味を保ったまま“ライダーが似合う”若者に成長して出てきてくれたのも収穫でした。82年生まれ、草太の頃は20歳、いま23歳。オリジナル『龍騎』の真司に扮した須賀貴匡さんが当時24歳でしたから、水谷さんはうまいこと“シンジ適齢期”にはまったわけです。ファイナルフォームでアビスファイナルベントを両断するとき、オリジナル真司の「しゃーー!」も再現してくれましたね。

草太時代共演の芳賀優里亜さんが『龍騎』の翌クール作555と、『ディケイド』の前クール作『キバ』でヒロインを演じているのも、「世間って狭いものだ」感あり。ちょっとしたすれ違いメロドラマ。

士とユウスケが、ライダー世界をひとつ訪ねるごとに互いへのリスペクトを深め合っている様子も微笑ましい。ユウスケは龍騎世界では、変身しての見せ場は一度もなく、ひたすら士ディケイドの忠実なサポーターに徹していましたが、こういう方法論でもユウスケのキャラは成立し得ることがわかってしまうと、ちょっと複雑な気もしますね。『555』の啓太郎、『剣(ブレイド)』の虎太郎といった“ヒーロー側の、変身しないサポーター”役って、人物としてどんなに明るくても、奥行きがあっても、結局はもの悲しいんですよ。『龍騎』以降特に、ライダー造形の哲学というかスタンダードが一変したので、00年造形のクウガが入ってくると若干ヴィジュアルが古く見えてしまうかもしれないけれど、ユウスケ版クウガの再変身参戦はもうないのかな。前枠の『侍戦隊シンケンジャー』同様、若手レギュラーの中でいちばん演技が安定していて、リキんだり見得切ったりでない日常の芝居の引き出しもより多く持っている人=村井良大さんが、クレジット2番手にいることで『ディケイド』も見やすくなっている。

ディケイドが各ライダーをファイナルフォームライドゥするときの「ちょっとくすぐったいぞ」は小さな男子諸君が学校でやりまくっていそうだな。演出的には、せっかくオリジナルで輝ける主役だった各ライダーが、ディケイドのツールにされたみたいで釈然としなかったりしますが、ライダー→変形→ライダーフォーム復帰のCGアニメがあまりにきれいなのでつい楽しみになってしまうんですよね。

次週から剣(ブレイド)の世界。今週ラストシーンの4ライダー並列は、オリジナル『剣』の前期OPに直結する色合い、照明具合でした。4ライダー全員に見せ場と、カッコいい変身前俳優さんを…なんてセコいことを願うより、“給料取りの職業ライダー”“冒頭で組織崩壊”“生物種ごとの祖の封印=種の地上覇権”というオリジナルの基本アイディアがどう換骨奪胎されるかに期待です。

やっぱりあれかな、ディケイドにフォームライドされると「ブブブブブレイド」の声が流れるのかな。

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断断

2009-03-10 20:47:56 | 朝ドラマ

NHK『だんだん』3月いっぱい放送が続くようですが、もう別に双子でなくてもいい、宍道湖と祇園ふた手に分かれた普通の家族親戚・ご近所ドラマになりましたね。結局、双子ヒロインであることが意味を持ったのは“双子ならではの奇跡のハーモニー”デュオ歌手デビューまでだけでした。こうなると、番組公式の人物相関図に、セーフティネットのように張りつけたあの人この人を順に繰り出し、1人ずつ何かしらやらせたり問題提起させたりして、エピソードをこしらえて引っ張って行くしかない。

生き別れの双子と言えば“偶然の遭遇で仰天”“生別の理由の謎解き”“人違いされる”“入れ替わって気づかれなかったり、別の人には気づかれたり”“育ちの差からくる気質や価値観の相違で思いがけず摩擦”→………(いろいろあって)“でも双子の絆は永遠よ”ぐらいまでは誰でも思いつきますが、誰でも思いつくレベル以上には、双子設定がお話を広げる起爆性を持てなかった。

と言うより、昨今の連続ドラマでいちばん頻繁に見られる、“話数をもたせるだけのネタがない”という欠点が見事に露呈した感です。

先週発売の週刊新潮の記事で、「三倉茉奈・佳奈姉妹の歌唱力がプロレベルにない(=“奇跡のハーモニー”ヒットチャート№1歌手としてリアリティを持ち得ない)ことが途中でわかったため、早めに歌手篇を切り上げて介護福祉士志望に戻したり、看護師を目指させたり迷走し出したのではないか」との識者の推測も出ていましたが、NHKの番宣サイトではかなり早い時期に「2人は人気の絶頂で引退を表明、それぞれの育った家庭、支えてくれる人々の中へ帰って行きます」との大筋が明らかにされており、歌手篇が短期間で終了したこと自体はさほどのぶっつけ想定外、アクシデント的なものではなかったように思います。

この『だんだん』、あるいはNHK朝ドラに限ったことではなく、最近のドラマで不出来なものは例外なく、視聴者をなめ過ぎだと思う。

先週7日(土)付けの日本経済新聞土曜版“PLUS 1”のコラム“裏読みWAVE”に、「出版不況のさなかでも、児童書の売り上げだけは99年以降一度も一千億円割れしたことがなく、少子化でパイが縮小していく一方のはずなのに、各社が新文庫を立ち上げるなど活況を呈している」との記事がありました。

児童書好調理由として、『ハリポタ』シリーズなどのヒット作があったこと、両親のほか祖父母、伯叔父母がひとりの子供に寄ってたかって買い与える、所謂“マルチポケット化”、大人が自分向けに買う“大人買い”の増加が挙げられていましたが、業界最大手とされる講談社児童局によれば「活字離れが叫ばれているが、特に女児の活字離れは進んでいないとのこと。

考えてみれば児童に限らず、ここ当節話題のケータイ小説にしても、書くのも読むのもほとんど女性です。

朝ドラの視聴者も、再放送を含めて90パーセントは女性とみて間違いないと思う。女性が“女児”の頃から、朝ドラ視聴年代になるまで、上は世界の古典名作文学から下は近所のおネエちゃんのモテ自慢、おばちゃんたちの町内会デマゴシップ大会まで、“物語”“作ったおはなし”にどれだけ、擦れっからしなくらい目が肥え舌が肥えているか、ドラマの作り手はあまりに甘く見過ぎです。

昨日の記事で言及した小林靖子さんもそのひとりですが、TV脚本界で活躍し結果も出している女性脚本家さんは数多い。しかし各局のP、エグゼクティヴプロデューサー、制作統括クラス、あるいは現場の演出チーフクラスになると圧勝で男性社会ではないでしょうか。よく言われる放送業界の長時間労働や出産子育てとの両立難のしからしむるところかもしれない。国策企業であるNHKでは特にその傾向が強いと思われます。

男性P陣が女性ライターたちの創造力、着想力をシールドしているなんてことは考えたくも言いたくもありませんが、女性視聴者がちょっとやそっとの、生半可な“作り”では“おはなし”に乗ってくれないという峻厳な事実が身にしみている制作統括がどれだけいるか。実際、玄関先の通りすがりに小耳に挟んだご近所夫婦の会話の一端、女子更衣室のブランド口紅の忘れ物一本から、足かけ2年ほどもにわたる想像と憶測の大フィクションを紡ぎ出して造形、放出する主婦、OLさんたちのイマジネーションというか妄想力というか、生涯に読んできた小説本の冊数なら女性の中でも平均は上回っていると思う月河をもってしても舌を巻くほどです。

「高齢者中心に認知度好感度の高い三倉姉妹を出して、満面笑顔や涙をこらえるせつない顔を見せておけば」「そういう顔が出てくるような筋立てを作り、高校制服姿やアイドル衣装やナース白衣や浴衣姿、舞妓姿をはめ込んでおけば、客は喜ぶ」程度の、タカくくった読みでは、どっこい誰も騙せなかったということ。

 ネット時代になって、特定分野の特定マターへの“調査”“取材”の敷居が格段に低くなっていることも、ドラマ製作陣が認識をおろそかにしていることのひとつで、これも『だんだん』の敗因です。素人の女の子が若手スカウトひとりの押しで歌手デビューするということ、楽曲選定やプロモーション、チャート1位までの道程、売れてからの日常の変化、売れてる最中に勝手に自己都合引退するということ、あるいは医師志望の医大生がいきなり音楽事務所社員になり、これまたいきなり退職して再び医師養成レールに戻ることの難しさなど、「こんなチョロいものであるはずがない」「しっかり取材して書いてないだろ」とシロウトでもわかってしまう。

TVドラマのリアリティが、当該業界の実態ありのままである必要はいまも昔もないのですが、“上手なウソ”で“騙し通す”スキルのハードルは、取材の敷居とは反比例して高くなっていることを肝に銘じなければ、大勢が甘んじて騙されてくれ得る“おはなし”は作れません。

商業的視聴率競争から自由であるはずのNHKが手がける朝ドラ、大河ドラマ、30分枠になってしまったけれど金曜時代劇、土曜ドラマなど、他の民放局に比べて企画の時間もじゅうぶんにあるし各大手芸能事務所への義理立ても必要ないし、傑作・秀作か佳作にならない理由を探すほうが難しいくらいだと思っていたのですが、『だんだん』に代表される、客筋読みの適当さ甘っちょろさ、作りに腰の入ってなさ具合。はしなくもTV連続ドラマ界全体の低落を映し出すモデルケースになってしまいました。

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