★二輪車新聞が送られて来た。モータ―ショーの特集号である。
二輪部門担当の太田和男常務のご挨拶を1950年代のカワサキ二輪事業スタートから担当した一人として、読まして頂いた。
製品開発について語られているその内容は、非常に確りとカワサキのコンセプトを把握認識されていて、素晴らしいなと思ったのである。
太田さんとは面識もないのだが、つい先日こんなカワサキの二輪事業の創世期の仲間たちが集まって会食をしたのだが、その時も『太田さんの話』は出て、非常に評判がよかったのである。
いろんな話になったのだが、『川崎重工業は基本的に受注産業体質だから、どうしてもマーケッテング分野の人が育ちにくい』と言う話になって、その辺の事情をよくお解りの田崎さんなどは、『ホントは販売が他人だったら、受注産業としてはその希望通りに動くのでいいのだが・・・』などと本質的なことを仰ったりしたのである。
1950年代カワサキが二輪事業をスタートした時は、メイ発を吸収したカワサキ自動車販売(カワサキ自販=現KMJの前身)と言う会社があってその社長は当時の川崎航空機の専務が兼務で担当されていて、当時の明石工場と販売会社のとの会議では、圧倒的に販売会社が強くて、工場サイドはいつも文句を言われていたのである。
当時は販売会社は受注先のような力を持っていたが、当時はトヨタもトヨタ自販とトヨタ自工があった時代である。
そのあとアメリカのKMCがリードした時代が続いて、当時は常に明石サイドは販売サイドの意向にそった商品開発であったし、販売サイドが工場をリードした時代が続いたのだが、いつの間にか事業本部が開発したものを販売会社は売るという『販社は子会社』と言うような感じになってしまったのである。
少なくとも私が責任者だった当時は社長は高橋鐵郎川重専務が兼務されていたし、販売サイドの意見は常に受け入れてもらったものである。
★ 販売網政策については、いまカワサキもホンダもいろいろと新政策を実施中なのだが、それに対し末端ではいろんな声が出ていたし、ごく最近もたまたま、昔のカワサキのことをよくご存じの二輪車新聞の衛藤誠さんがかってのカワサキの販売網政策について二輪車新聞のネット版に寄稿されたのでその感想をこのように書いたりしたのである。
http://blog.goo.ne.jp/rfuruya1/e/7f618fc43cc8bcd90a2f10a66484bf6e
衛藤さんの記事の中には、現在カワサキも新政策を実施中だが、その進め方は当時の『カワサキ特約店制度の時とは全く違う』とこのように指摘されているのである。
カワサキが現在取り組んでいる新しい販売網政策の「カワサキ・ネットワーク」と、46年前に取り組んだ「カワサキ特約店制度」は、新しい販売網を構築しようという狙いは共通している。しかし、唯一異なる点を挙げると、現在進めている制度は、寺西猛社長、清水泰博取締役を中心に、本社で綿密な計画を練り、これを全国展開している点と、46年前の制度は、販売店の声などを汲み入れる形で地域の営業所長などが考え、これを可能な地域から全国的に拡大しようとした点だと思われる。
販売網についての私見としてこのように書いている。
★ 販売網と言うのは単にメーカーの所有物ではなくて、それは勿論メーカーや販売会社が色濃く関与するのは勿論だが、同時にそれは販売店自らのものでもあり、そのネットワークを利用するユーザーにとっても、充分納得でき満足する内容であることがMUSTだと思っている。
何度も言っているが、日本の顧客満足のCSは、Customer Satisfaction 顧客の満足=取引先である顧客の満足 であることが多く、本来のCS Consumer Satisfaction 顧客の満足=末端消費者の満足 になっていないことが多いのである。
そのあたりの基本コンセプトが新しい施策を実施する時、最も留意されるべきことではないかと思っている。
★ 何故こんなことを書いているのかと言うと、
実は昨日、Facebook に前全国オートバイ協同組合連合会会長の吉田純一さんがこんな記事をアップされ、それに対して沢山のコメントが寄せられているのである。
吉田純一さんは、カワサキOBで且つカワサキの正規販売店のオールカワサキのオーナーでもある。
そんな方がこんな発言をされているのを看過することは、なかなかできないので、すでに公のネット上に公開されていることなので、敢えて私はこのブログでカワサキの現役諸君にも見て欲しいし、出来れば太田さんもご覧になって、何らかの対策を講じられるべきではないかと思うのである。
高速道路の二人乗りなど二輪業界の発展に長年尽くしてきて、国や議員さんからも業界からも信望厚い吉田純一さんにこんなことを言わしてはダメだと思う。
この文中に書かれているマイスターもカワサキのOBで、いまのマイスターの店の構えもカワサキの新政策がMUST条件で求めている社屋の統一改装案よりはよほどスマートで立派なのに、なぜ何千万も改装費を掛けねばならぬのか?と言う不満なのだと思う。息子が継ぐと張り切っていたのにホントに辞めたのだろうか?
この記事に寄せられている沢山のコメントである。 こういうのが末端の声なのだが、果たして太田常務はご存じなのだろうか?
★私もカワサキのOBだから、こんなブログをアップするのは辛いのだが、国内の販売網をかって担当した責任者として、何十年もカワサキ一途に頑張っていた仲間をたくさん知ってるものだから、そんな仲間たちが自らの事業を放棄していくのを黙ってみていることもできないのである。
カワサキの新政策の中で最大の問題は、『店舗の改装』がMUST 条件であることだと思う。
今更店舗改装に何千万円も投資するのは大変なのである。そしてその改装した店舗が昔と違って そんなに目立つほど立派でもないのである。
かって20年以上も前の1990年代の カワサキの新宿のショールームや岡山や札幌のショールームに比べたら格段落ちるレベルだし、現在のマイスターの店舗の方がいいに決まっているから、マイスターの息子さんも辞めてしまうのである。
末端のホントの意見をもっと聞くべきだし、特に吉田純一さんなど二輪業界に尽くしてきた人の意見ぐらいは聞くべきで、一度吉田さんを入れて『話し合いをしませんか』とはもう何ヶ月も前にKMJ TOPに申し入れて『やります』とのご返事を頂いているのだが、それが実行されないので吉田純一さんも辛抱しきれなくなったのだと思う。
これはカワサキにとっても大きな問題で、このままだと問題はこじれるばかりだし、何よりも国内市場がダメになってしまう。
★ここまでくると、太田常務がホントにいい判断をされるべきだと思っているので、敢えてブログにアップしました。
今ならまだ間に合うと思います。
具体的な対策案は私なりに持っていますので、ぜひ吉田純一さんを入れての会社側との話し合いを持って頂きたいと思っています。
40年間、国内の販売網を創り育ててきたものの一人としての意見です。
カワサキの販売網は、一言で言うなら販売店やユーザーと一緒に創った『共感ネットワーキング』が伝統の基本コンセプトだったのに、伝統のそれが消え失せようとしています。
開発に対する基本コンセプトはちゃんとお持ちなのに、販売に対するそれは『皆無に等しい現状を憂うOB』の意見です。