★『岩手県』いま、コロナウイルス感染者ゼロで、話題である。
そんな『岩手県』など東北6県を私は担当していた。
旧い旧い時代だが、『実用車のカワサキの時代』
こんな車だった。
当時、東北6県が最大の市場だったし、
岩手カワサキはダントツの『全国1位』の販売台数を誇っていたのである。
1972~76までの4年間、私も未だ、30代前半、初めての営業経験だった。
実用車も売れたが、こんなC2SSもめちゃくちゃ売れたのである。
なぜ?
それは当時東北6県は全国で最もモトクロスが盛んで、
このC2SSの仕様に関しては、
当時の東北の意見が大いに取り入れられていたのである。
当時のカワサキのモトクロスのファクトリーライダーたち、
山本・歳森・梅津・岡部・星野などは毎月のように東北にやってきていたのである。
★そんな東北6県の中でも『岩手カワサキ』は群を抜いた実績だった。
その岩手カワサキの社長が久保克夫さんで、
私は久保さんから学んだことは多い。
なぜ岩手県などの田舎県が日本一を続けたのか?
まさに、その販売システムというか、『久保克夫さんの力』だったと言っていい。
それはなんだったのか?
ひとつは 『久保克夫さんと販売店の信頼関係』
もう一つは 『岩手カワサキ独特の仕組み』 だったと思う。
若い時に、私は久保克夫さんに会えて本当によかったと思っている。
1976年以降はカワサキも『スポーツのカワサキ』に脱皮して
私は大阪市場を担当することになるのだが、
そこで創った『カワサキ共栄会』や、日本で初めての『特約店制度』など
すべて『久保克夫さんから学んだもの』なのである。
★仙台時代、私は岩手カワサキの久保さんと一緒に行動することが多かった。
久保さんは運転がダメで、私が運転手で岩手県内の販売店廻りを一緒にして、
久保さんが、販売店に対してどのように対応されるのかを見せて頂いた。
久保さんは販売店を訪問しても雑談ばかりで、
『売ってください』などとは全く仰らないのである。
『売りたい』のは販売店の方だと言うのだが、これは間違いない。
人間関係は『貸し>借り』の関係でないと、その逆ではうまくいかないのである。
一般に『お願い』などするものだから、『借り>貸し』になってしまうのである。
販売店にはお願いなどせずに、
相手が『望むこと』を支援するのが、『いい信頼関係』を創る鉄則なのである。
そんな久保さんの販売店との対応場面を数多く見て、
こんな対応はその後の私の『人間関係の基盤』になっいて、
『頼まれたこと』はどんなことでもまず『断ること』はないように心がけている。
ところが、岩手県は南北200キロ、東西100キロもある大県なのである。
販売店を訪問するといっても、そんなに簡単ではないのである。
そんな販売店に社長が突然訪問するものだから、
販売店の方が恐縮してしまうのは、ヨコで見ていてよく解かった。
間違いなく『貸し>借りの関係』が成立するのである。
★ もう一つの『仕組み』の話だが、
ちょっと専門的で、お解り難いかも知れぬが・・・
●当時は全て『委託販売』の時代である。
●今のような回収システムではなくて、なかなか現金にはならない時代
●委託-販売ー売掛金ー手形ー現金化 と結構時間が掛かる
●数を売ろうとすれば、普通では大量の資金が寝る
●そのための『資金繰り』が大変で、
●ちょっと油断すると営業外で赤字になってしまうのである
そんな時代岩手カワサキは独特で、
●実際は『委託』なのだが、
●委託すると同時にその月から『売り上げに計上』し
●毎月『請求書』を発送する
●販売店としては即支払う訳ではないが、ずっと『貸して貰っている』ことになる
●従って売れると即『手形支払い』となるケースがほとんどで
●大量に売るのに結構『実質回転』はよかったのである
岩手カワサキ側の経理処理としては
●売上が経つので『利益が計上』されるのだが
●それは『引当金』を計上して相殺する
●売り上げが経っているので在庫からは消えているのだが
●在庫が『極小』になっても一切気にしない
そんな『仕組み』になっていた。
そんな『岩手カワサキ独特の仕組みの創造』を非常に興味深く思っていて、
私の二輪経営は常に『独特の仕組み』の上に成り立っていたのである。
★ 『いい仕組み』さえ創れたら、殆どいろんなことは解決できるのだが、
一番大事なのはTOPの立場での『全体最適値』を求めることである。
現在の国の『コロナ対策の仕組み』など見ていると、
部分最適値が優先されていて、上手く機能していないように思う。
日本の縦割り組織を見ていると、
各省の立場からの『部分最適値』ばかりが優先されて、
『全体最適値』になっていないことが殆どなのである。
国と地方との関係も明確ではないし、
日本の組織機能は、なかなかムツカシイ。
今こそ『全体最適値』を求めた『仕組み創り』が求められているのだが・・・・