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CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

1960年から1980年代のロックを紹介していきます。またPLUSと言うことで、ロック以外の話題も!

カバーも色々あるでよ~(南利明風に名古屋弁で、古~!)

2016年01月26日 | 考察シリーズ
少し以前に、マシュー・スィートが妻のスザンナ・ホフス(80年代に大活躍した女性バンド、バングルスのメンバー)と組んでカバー・アルバム、UNDER THE COVERSを2005年からシリーズで数枚出したことを紹介した。

UNDER THE COVERS, VOL. 1、60年代のカバーを収録

その仕上がりは、原曲の良さを引き出そうと考え、今風のアレンジでオリジナルに結構忠実に制作された。昔からロックをよく聴きこまれている諸兄にとっては”原曲に忠実なカバーは退屈だ”と嘆かれるかも知れないが、これはこれでアリだと思う…

ロックなるものが発展してきた60年代から80年代にかけて、素晴らしい楽曲が数多く存在し、少し大げさではあるが、これを知らずに生きていくのはなんともったいないこと。

未聴だった新しい世代の多くのリスナーに出来る限り、それらの良さを聴いて感じて欲しいという制作のコンセプトではなかったかと推測する。この様な音楽活動は重要で、カバーされた曲を聴いて原曲まで遡り、温故知新とでも言う状況を作るのは、音楽産業にとってもプラスとなるはず。

しかし通常ミュージシャンが新譜を出す場合、特にカバー曲であると強調しなければ、その新譜制作用として提供された外部の作者による書き下ろしの新曲と勘違いさられ、オリジナル作者にスポット・ライトが当たらない事も…

WITHOUT YOUという名曲は、1970年バッド・フィンガーのピート・ハムとトム・エバンスによって書かれた作品で、アルバムNO DICEに収録されていて、当初ビートルズの楽曲だと勘違いしたニルソンが、翌年自身のアルバムNILSSON SCHMILSSONでカバーし、シングル・カットされ全米と全英で1位を獲得した。

NO DICE、ニルソンのバージョンが大ヒットし本家より有名になったことから、ライブでは意地でもこの曲を取り上げなかったそうな…

NILSSON SCHMILSSON、ニルソンは個性的な歌手で、自作曲も出しまたランディー・ニューマンや他数多くのカバーも手がけているが、この曲の大ヒットでイメージとしてはWITHOUT YOUのニルソンとなっているみたい。

その20数年後の1993年、マライヤ・キャリーが、MUSIC BOXのアルバムでカバーし、そのシングルは全米3位全英1位を獲得と再び大ヒットとなる。しかしながら、特に当時大人気を誇ったマライヤの大ヒット曲だったから、多分一般のリスナーは原作者のピートやトム、そしてニルソンらのことなど知らなかったかもしくはそれほど関心がいかなかったケースだったのでは…

マライヤもこのアルバムの大ヒットで、その地位を築いたため、90年代でWITHOUT YOUと言えばマライヤとなる。

バッド・フィンガーの場合、プロモーションの不備などで制作したアルバムが不発だったり、不平等なマネージメント契約によりそこそこヒットしても実入りが少なかった現実に絶望し、また精神的に追い詰められ、ピートやトムは絶望し自殺してしまった。

そのため、たとえ後日彼らにスポット・ライトが当たったとしても、死去した後では複雑に感じるのだが…

これ以外にカバー曲を制作する手法として、ミュージシャンの音楽志向や楽器を操る技量を存分に取り入れることが挙げられる。そういった場合、原曲の主旋律や歌詞の断片などが時折現れる程度に原曲を崩すことになれば、一聴してもカバー曲かどうか直ぐに判らない事になってしまう。

最近買ったCDで、ジャズもしくはフージョン・ギタリストと称される、AL DI MEOLAがビートルズの曲を全編カバーした、2013年発売のALL YOUR LIFEなんかはそれにあたる。自身の名前に由来するのか、ラテン系のサウンドに影響を受けた様な演奏である。今回はエレキを使わずナイロン弦を張ったアコースティック・ギターとパーカッションでのシンプルな編成でビートルズの曲をカバーしている。

編成はシンプルでも、お得意の超高速弾きによってギターを演奏するので、彼のアレンジによるギター・サウンドの音譜が各小節にぎっしりと詰まっていてスカスカのイメージは全くないが、別物にも聴こえる。

初めてこのCDを聴いた時、2曲目AND I LOVE HERの1分37秒あたりで音飛びのように聴こえた箇所があったのだが? ユーチューブにアップされていた音源も同じ様に聴こえたし、その箇所をCDで繰り返して聴くうちに、多分超早弾きのギター奏法で旋律をくずしたため、そのように聴こえたのだと思うが? 

ロックでも、ハンブル・パイの1975年のスタジオ・アルバム、STREET RATSでWE CAN WORK IT OUT、DRIVE MY CARとRAINなどをカバーしているが、ボーカルのスティーブ・マリオットが原曲を崩しブルージーに歌いまくっているので、曲のクレジットにレノンーマッカートニーと記載されていなければ全く別物に感じる。

ハンブル・パイのA&Mレーベルの最終作、少しまとまりに欠けるがスティーブのソウル・フルなボーカルやベースのグレッグ・リドレーの力強いボーカルは聴きどころである。

まあ、これらは多くの人が知っているビートルズの楽曲をカバーしているので、オリジナルと異なるアレンジでも”なるほど”となるのだが、それ以外のアーティストの曲では、彼らの自作曲と勘違いされる可能性もなきにしもあらずとなる。それにしても、ビートルズのカバーはどのような形態であれ、興味を引くのは間違いがない。

そういやもう一つ忘れていた、ひどい痛みのあったバネ指治療の手術後に包帯でぐるぐる巻きにカバーされた私の左手。まるでドラえもんの手! 


カバーも色々あるってばよ~(今回は渦巻きナルト風に )と言ってもこの手のカバーは、2度と御免被りたいものである。

We Can Work It Out - Humble Pie