CLASSIC ROCKを聴こう! PLUS

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変革を求めて、キャット・スティーブンス

2015年07月13日 | BRITISH ROCK
2015年7月、アテネ・シンタグマ広場
ギリシャがデフォルトに陥る可能性が高まり、EUから差し出された緊縮経済の提案に対する7月5日の国民投票の是非を問う集会がこの場で開かれた。

緊縮経済の提案を受け入れEUに留まるのか、それともEUから脱退の道を選ぶのか? ギリシャ国民にとって、どちらの方向を選ぶにせよ今までのギリシャであり続けることは不可能で、ついに変革を選択する時が来たと言えよう。

1973年5月、アテネ・シンタグマ広場
その40数年前、なんと同じ場所に、キャット・スティーブンスが音楽雑誌のインタビューを受けるために訪れていたのであった。イギリス生まれのキャットではあるが、父親がギリシャ人でギリシャの血を半分引いて、また親戚一同がその地に暮らしていたので、アテネという場所が彼にとって場違いではなかった。

そして、キャットは彼自身の変革を告げるアルバムをジャマイカで録音したと雑誌の編集者に答えるのであった。

ジャケ裏の写真、ジャマイカ一度行ってみたい~

FOREIGNER、これが1973年に発売された、1967年のデビューから数えて7枚目のアルバムである。

MONA BONE JAKON、TEA FOR THE TILLERMAN、TEASER AND THE FIRE CATそしてCATCH BULL AT FOURなど、過去の4枚のアルバムで大成功した、アコースティック・ギターによるフォークもしくはフォーク・ロックのスタイルをすべて捨て去り、変革を求めて今までと異なった音楽を作り出すことにした。

今までの音楽性を消し去る意味から、彼の成功に多大に寄与した、プロ デューサのポール・サミュエル・スミスやギターのアラン・デービスを外し、セッション・ミュージシャンを新たに雇い入れ、録音に臨んだのである。

その音楽とは、彼が当時興味を持っていた、アイザック・ヘイズやスティービー・ワンダーらの作る黒人のソウルやR&B・ミュージックを目指したものであった。A面がフォーリナー組曲となっており約18分以上に及ぶ起伏のあるソウルフルかつファンキーさも持つ楽曲である。B面は4曲納められており同様の方向性を持っている。

以前のアルバムと同じようなサウンドを期待したファンからは失望の声もあったが、彼自身にとってミュージシャンとしての視点は思うままの音楽を制作し続けることであったから、それが受け入られようが受け入れられまいが、必ずと通るべき道だったと考えそれを実行したのであろう。

前作(全米1位・全英2位)と比べると売り上げは落ちたが、それでも全米3位・全英3位と健闘し注目に値するアルバムとなったことは間違いない。そしてこの時のソウルやR&B・ミュージックのアプローチが今後のアルバムの制作にも生かされたのは言うまでもない。

さて件の、追い詰められたギリシャ国民が、キャットのように退路を断ち切り過去の良き日々を捨ててでも変革し、新しいギリシャにどう生まれ変わるのか注目したい。

貧乏人の私などは直接的な利害関係がギリシャとは無いので、お気楽な気分でこのようなことが言えるのであるが、数百億円にも上るギリシャのサムライ債の償還期日が近づいていることから、それらの有価証券を所持している日本の投資家たちは眠れない日々を送っているかも知れない。金儲けにリスクは付き物だが、何が起こるか、期近のことでさえ予想できない不安定な世の中になったものだ。

シングルカットされたTHE HURT( 灰色のえのぐ)聴いてみてください。
Cat Stevens - The Hurt



レコードのジャケットは、キャットの顔がカラーになっていました。


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