前出海援隊と同じ年の1972年、アメリカではSSWのダン・フォーゲルバーグがCBSからアルバム、Home Freeでレコード・デビューを果たす。
残念ながら彼は2007年病気のため死去 、享年56歳だった。
今から思えばこの通算7枚目、1981年の2枚組アルバム、The Innoent Ageが彼の集大成アルバムだったと言えるではないか。
(イノセントを意味する白いジャケットも40年間レコード棚にひっそり収納され、それなりのビンテージ感に染まっている。)
基本マルチ・ミュージシャンであるダンがボーカル、コーラス、ギター、ベースにキーボード、そしてラス・カンケルのドラムがデフォーで、曲によってジョニ・ミッチェル、エミルー・ハリス、イーグルスの面々、リッチー・フューレイ、トム・スコットやマイケル・ブレッカーら豪華なゲスト・ミュージシャンを起用しここも聴きどころとなっている。
ライブ盤を除くと2枚組のアルバムの制作は通常のLPアルバムの倍の収録時間となるので、聴き手に飽きがこないようにアルバムに対する関心や緊張感なりを持続させるにはいろいろと工夫が必要で単に収録曲を倍増させるだけでは事は成し得ない。
単調にならないようにメリハリをつけた編成であると同時にアルバム自体の自然な流れを途中で塞き止めるような事があってはならない。
このアルバムではサイドー2のそれぞれシングル・カットされヒットした3曲(Run For The Rose-Leader Of The Band-Same Old Lang Syne)が連続して並んでいるのが圧巻。
派手なロック・ナンバー曲ではなく、ミディアム・テンポの3曲が自然な流れに沿って淡々と歌い継がれていく。
特にサイドー2最後のSame Old Lang Syneは歌詞が心に残る。
クリスマス・イブに故郷に帰った作者がかっての恋人に地元の食料品店で偶然出会う。時が過ぎ去りその間にお互い新たな境遇を築いていて、なんとなく打ち解け合い遠い昔を回想するもののもう過去には戻れない。そして二人は現実の世界へと静かに帰って行くてなお話で、若干脚色はあるそうだが実話らしい。
海外では年末年始にかけてのフェスティブ・シーズンによく聴くAuld Lang Syne(蛍の光)がマイケル・ブレッカーのサックスによる演奏に引き継がれ物語はまるで映画の1シーンのように静かに幕が閉じる。
助手:日本では蛍の光は別れの歌ですが、この歌はもともと昔を懐かしむって感じのスコットランド民謡で海外では年末年始など区切りをつける時期の節目節目で歌われるそうで…
博士:しかし今回のはなんとなく別れの歌っていう雰囲気はあるのう〜 わしもそんな映画の1シーンに一度登場してみたい気もあるのじゃが...
助手:いや〜 博士に一番ピッタリくるシーンってやっぱりパチ屋の館内終了放送の時じゃないですかね?