頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

(続)反日の強制に抵抗する韓国高校生

2019-12-29 12:07:02 | メモ帳

12月22日の当ブログに、「反日の強制に抵抗する韓国高校生」というタイトルの記事を掲載し、その中で“仁憲高校の生徒2名が「文春」のインタビューに応じ、その模様が「週刊文春」の次号に掲載されるだろう”と書いた。

だが、実際にはそのインタビューはその時すでに終わっており、インタビューしたのは「文芸春秋」で、その模様は同誌新年号に掲載されていた。つまり、英語の“過去完了”である。誤報をお詫びする。

「文芸春秋」新年号をすでにご覧になった方も多いと思うが、その高校生の主張は「韓国では教育現場の政治的中立が定められている。反日行為を強要するのは、生徒の人権を無視している」である。なお、同誌によれば、インタビューに応じたのは2名だが、教師による反日行為の強要に抗議の声を上げた生徒は当初、百数十人いたという。多分、世間体を気にする親に説得されたのだろう。

インタビューの詳細については、下の動画をご覧頂きたい。

https://bunshun.jp/articles/-/20011

この事件は韓国の新聞日本語版に関する限り、報じられていない。その理由は、韓国政府の圧力が強烈であるため、メディアに政府に不都合な情報は報道を控える傾向があるからだと思う。しかし、ネットではかなり自由に情報が流れており、少なくとも若年層は事件を知っているだろう。

眼を反日運動に転じると、韓国の右派(反北派)は、全体の3~4割はいるはずだが、声高の左派の勢いに押されて意見が言えないだけだと思われる。実際に、日本への旅行者も少しずつ増えてきたという情報もあり、「反日疲れ」が見えてきた。それが親日に変わるわけではないが、少なくとも反日ボイコットは峠を越したようだ。

さて、今年も余すところあと二日。当ブログもこれをもって打ち止めとし、新年は世間並みに4日から再開する予定。良いお年をお迎えください。

 

 

 

 

 

 

 

 


謝罪の落し穴

2019-12-27 16:24:53 | メモ帳

1226日の大手各紙の社説は、すべて前日の日中韓首脳会談ないしは日韓首脳会談を論じたが、外交上特に目新しい進展はなかったから注目すべき内容の論説もなかった。

しかし、例外として、朝日新聞の社説“日本と韓国の対立:「最悪」を抜け出すために”の一部に、注目すべき記述があった。以下、赤字はその引用である。

両政府とも、相手の政権が変わらない限り、解決は難しいという突き放し感が漂う。だが、それは両首脳が偏った隣国観に固執するあまり、柔軟性を欠く外交をしかけ、ナショナリズムをあおる結果になっているからだろう。

文政権は自国の保守派を批判する材料として、植民地統治下の日本協力者である「親日派」をしつこくあげつらってきた。・・・

一方、安倍首相は朝鮮半島に残る歴史的な感情のしこりに無神経な態度が相変わらずだ。・・・戦後70年を機に出した「安倍談話」でも、朝鮮支配に触れなかった。韓国市民が「ノー安倍」と呼びかけるのは、そんな歴史観が影響している。字部分はその引用である。(以下省略)

下線(頑固爺が施した)の部分にご注目頂きたい。この文章を一読して、私は朝日が「安倍首相は韓国に謝罪すべきだ」と示唆していると受け止めた。その根拠は当日朝のTV朝日の番組である。

当日朝8時過ぎ、たまたまTV朝日のニュースショウにチャネルを合わせたら、場面はコメンテーターの玉川徹氏が「日本は、ドイツがやっているように、何度でも韓国に謝らなくてはならないんです」と発言しているところだった。彼の発言はその話題の最後の部分だったらしく、それを結論として話題は次に移ったが、そのテーマは多分日韓対立だったのだろう。その場面の私の印象は「なんだこれ、まるきり旭日旗で騒いでいる韓国人の主張と同じだな」である。

頑固爺としては、現在の日韓対立をときほぐすには、韓国人の燃え滾った感情を鎮めることが必要だと感じている。しかし、もし安倍首相がこれまでの首相たちと同様に総論的謝罪をすると、韓国の誤った歴史認識をすべて認めることになる可能性が強い。

具体的には、総論的謝罪は“日本の統治は悪逆非道で、史上最悪の植民地統治だった”と教える韓国の歴史観をそのまま認めることになる。慰安婦問題での河野談話は「日本軍の関与」を認めるものだったが、その「関与」は日本軍の拉致まで包含することになってしまった。したがって、総論的謝罪は河野談話の二の舞になり、日本はやってもいないことまで謝罪し、慰安婦の拉致や「徴用工」における原告の主張を認めることにもなる。

そうかといって、“併合したことは謝罪するが、「悪逆非道の統治」には身に覚えがない”と言えば、「悪逆非道の統治」を信じ込んでいる韓国人が反発すること必至である。つまり、各論的謝罪は、韓国人が真実の歴史を知るまでは不可能なのである。

そして、“併合には謝罪する”にしても、これは頑固爺の情緒的歴史観に過ぎず、国際法上は適法だった併合を非合法だったと認めることになり、日韓基本協定を自ら否定することになりかねない。したがって、“併合には謝罪する”も外交上は適切ではない。

要するに、いかなる形の謝罪でも、自ら罠を設けて自らその罠に飛び込むようなものである。朝日新聞はこうしたリスクを承知の上で、安倍政権の謝罪を求めているのだろうか。

頑固爺としては、安倍首相のみならず、日本の政治家全員が、朝日新聞の妄言に惑わされることがないよう願うのみである。

最後に朝日新聞に苦言を呈したい。それは「無神経な態度」という批判の言葉。頑固爺には、安倍首相が今の時点で韓国に謝罪すべきだとは思えない。なぜなら、ボールは今、韓国のコートにあるからだ。それでも謝罪すべきだと主張するなら、どのように謝罪したらいいのか具体的に提案するのが筋ではないのか。謝罪以外の行動を期待している場合も同様である。

「無神経」と批判するのは、そのあとで十分である。

                                                       以上

 

 

 

 

 

 

 

 


日韓対立:首相たちの謝罪

2019-12-24 11:56:30 | メモ帳

旭日旗問題で、韓国は「ドイツは謝罪したが、日本は謝罪していない」と主張している。しかし、謝罪の是非はともかくとして、日本は韓国に対し植民地支配を何度も謝罪している。その例をいくつか挙げてみよう。

1992年(H4)1月16日に、訪日した盧泰愚大統領との晩餐会で、宮澤喜一首相(当時)は次のような発言をしている。(出所:ウィキペディア)

「私たち日本国民は、まずなによりも,過去の一時期、貴国国民が我が国の行為によって耐え難い苦しみと悲しみを体験された事実を想起し、反省する気持ちを忘ないようにしなければなりません。私は、総理として改めて貴国国民に対して反省とお詫びの気持ちを申し述べたいと思います。」

菅直人首相(当時)も2010年8月10日に次のように語っている。

「・・・政治的・軍事的背景のもと、当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられました。(中略)この植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省とお詫びの気持ちを表明します。」(以下略)

韓国人は日本の首相たちの謝罪を知らないのだろうか。もしそうなら、外務省の広報活動がよほど拙劣なのだろう。

それはともかく、下線(施したのは頑固爺)の部分は事実に反するものであり、謝罪過剰である。むしろ、日本の首相たちよりも韓国の大統領の方が、歴史的事実をしっかりと把握している。1990年5月25日に、盧泰愚大統領は日本の国会で次のように演説した。

「過去の暗い時代、わが民族が味わったさらに大きな苦痛と試練、その想像に耐え難い悲劇をいま、この席でお話する必要はありません。今日、われわれは国家を守ることができなかった自らを反省するのみであり、過去を振り返ってだれかを咎めたり、恨んだりしようとは思いません。私が皆さまに申し上げたいのは、両国民の真実に基づく理解であり、それを土台として明るい未来を拓くということであります。」

下線の部分が、当時の支配者だった李王朝が自滅して、日本による併合を招いたことを意味するのは明らかである。

頑固爺は、現在の激しい日韓対立を招いた原因が主に韓国側にあるにしても、日本側にも責任があると考える。それは、日本がこれまで韓国のいいなりになってきたために、韓国がつけ上がったという点である。なにかにつけて韓国が強く出れば、日本は謝るという構図ができていたため、日本の堪忍袋が切れて“ふざけるのもいい加減にしろ”と抵抗すると、韓国が引込みつかなくなって、驚き慌てている、というのが現状であろう。

では、なぜこれまで日本は韓国に卑屈なまでに弱気だったのか。源流を辿ると、1957年における岸信介首相(当時)の発言に行きつく。岸首相は韓国の次期事務次官に決まっていた金東祚(キム・ドンジョ)と会談した際、次のように語っている(出所:金氏の回顧録)。 

「・・・今日、両国が国交も結ばず、相互にいがみあっているのは、まことにやりきれないことです。私は日本の過去における植民統治の過誤を深く反省し、至急に関係を正常化するよう努力する覚悟です。なにとぞ私の意中を李承晩大統領にお伝え下さい。」

当時、李承晩大統領が日本の漁船230隻を拿捕し、2,300人の漁師が拘束されていたので、岸首相は下手に出なくてはならない事情はあった。しかし、戦争中に岸信介は満州の経営に携わっていたから、日本が朝鮮をいかに良心的に統治していたかも熟知していたはずだ(朝鮮人がどう受け止めたかは別として)。それにもかかわらず、「植民統治の過誤を反省する」までになったのはなぜか。

私の勝手な想像を言うなら、占領軍のWar Guilt Information Programによって贖罪意識をしっかり植えつけられた、ということが岸信介の思想大転換もしくは認識と発言の差の理由ではなかろうか。

その後の首相たちの謝罪も岸信介の思想を受け継いできたと考えると、全体の流れが読めてくるのである。

 

 

 

 

 

 


除夜の鐘は廃止?

2019-12-23 13:36:34 | メモ帳

1週間ほど前のTV番組で、除夜の鐘を断念した寺があると報じていた。理由は、近所から「うるさい」とか「安眠妨害だ」という声があったからだという。とんでもないクレームをする輩(ヤカラ)がいたものだが、「はい、わかりました」と簡単に応じた寺も情けない。

これに限らず、常識はずれのクレームをする人が増えた。「運動会の徒競走で一等、二等と順位をつけるのは児童を差別することで、怪しからん」というクレームがあり、全員並んでテープを切るようにした小学校があるというから呆れかえる。こうなると、もう笑い話だ。

小人数でもクレームの声が大きいと、クレームに反対する多数派は黙っているから、そのクレームが受け入れられてしまう。人権擁護の行き過ぎである。

話を除夜の鐘に戻す。除夜の鐘は何百年と続いた伝統文化であり、そう簡単に廃止すべきではないと思う。しかし、伝統文化が時代とともに変化することはやむを得ないし、少数派であっても、「眠れない」という声を無視するわけにもいかない。そこで提案だが、108回の回数を十分の一の11回にしてはどうか。

その時間帯は、頑固爺は白河夜船で目を覚ますことはないから、どうでもいいことだが・・・。

 

 

 

 


反日の強制に抵抗する韓国高校生

2019-12-22 11:09:50 | メモ帳

前回取り上げた「韓国人のボクが『反日洗脳』から解放された理由」WWUK著(以下、同書)に記載されている事柄で、頑固爺が興味を持った部分について考察したい。以下、赤字部分は同書からの引用である。

2019年10月、ソウルの仁憲(インホン)高校の三年生を中心とする生徒150人が、ソウル教育長に「学校の監査」を要求する請願を提出したことが報じられました。

生徒たちは、学校行事の際、教師たちが「日本の経済侵略、反対する、反対する」「安倍の民主党、亡びる、亡びる」と叫ぶように強要したことは、「良心の自由を抑圧し、学生の人権を踏みつぶす暴挙だ」と主張しました。

同書が発行されたのは12月21日だから、この事件は執筆の最終段階で発生したことがわかる。そして「彼らの大学進学に、教師たちがこれからどんな妨害をするかわかりません」という同書の中のWWUK氏の記述が気になって、ネットを調べてみたら、やはりこの生徒たちは迫害を受けていたことがわかった。

https://www.youtube.com/watch?v=5IBh4GjGs-Q

この動画では、「日本の『文春』が生徒たちにインタビューした」と言っているが、それが週刊文春ならば(文芸春秋の可能性もある)、24日に発行される号に掲載されると推測する。

この仁憲高校事件は韓国の大手新聞「朝鮮日報」(日本語版)も取り上げている(12月20日)。(青字)

政治教師暴露した生徒に社会奉仕措置…保護者にも特別教育

ソウル・仁憲高校が教師の政治偏向教育を初めて公の場で問題提起した生徒はもちろん、その保護者に対してまで懲戒処分を下していたことが分かった。情報提供動画に登場した生徒たちの名誉を毀損したという理由だったが、その動画で生徒たちの顔にはモザイク処理が施されていた。

仁憲高校の生徒たちが16日に明らかにしたところによると、同校では先日、3年生チェ・インホ君(18)に対する学校暴力対策自治委員会(学暴委)を開き、15時間の社会奉仕措置を下した。また、同校側はチェ・インホ君とその保護者に5時間ずつ、いわゆる「学校暴力相談センター特別教育」を受けるよう指示したという。(以下省略)

この生徒たちは「反日」に抵抗したのではなく、特定の思想を押し付ける教師の態度に抵抗したのだと思う。しかし、韓国では「反日=絶対的善」であり、それに反抗すると社会的制裁を受けるから、WWUK氏もそれを懸念したのだろう。そして、残念ながらその懸念が現実のものとなったようだ。気の毒である。

事件の発端は10月中旬に起きたが、私が気づいたのは12月中旬であり、その2ヶ月間に、いろいろ進展があったであろうことは推測できる。そして、この事件は次のように進展した。

本日(12月22日)朝8時のフジTVのニュース解説番組がこの事件を取り上げた。それは、その高校生が公衆の面前で髪の毛を刈って坊主頭になるパフォ~マンスの映像で、教師と教育長の制裁を訴えるものだった。

ここで、同書に戻る。WWUK氏は同書の中で次のように述べている。

「現在日本で暮らしている韓国人(留学生含む)や日本での就職を希望する韓国国内の若者たちの大半は、日本のアニメやゲームで育った人たちで、日本が大好きです」

「ただ、日本が好きであっても、歴史はまた別だと考えている人が多いのも事実です。やはりわれわれ韓国人は昔、日本に悪いことをされたという、心に植えつけられた無理矢理なウリナラ・ファンタジーが、いざとなると顔を出す」

「反日デモに参加する若者たちの多くは、韓国大学総学生会連合会のメンバーで左派の活動家です。反日でメディアを賑わす人々は一部の人であり、韓国人全員が反日に凝り固まっているわけではなりません」 

「現在、韓国では保守派による反政権デモが連日のように行われているにもかかわらず、日本ではまったく報道されていない」

WWUK氏の基本的立場は、「嘘を垂れ流す母国人が早く目を覚ましてほしいが、事態が改善されないのは残念」であり、やり場のない怒りと嘆きが伝わってくる。 

ともあれ、「反日種族主義」の出版とか、仁憲高校事件、数万人集める反文政権デモなど、韓国における風向きが多少変わりつつあることは感じられる。


韓国系YouTuberが「K国」と表記する理由

2019-12-19 17:32:01 | メモ帳

韓国系YouTuber が発信する動画を見ていると、韓国を「K国」とか「Kこく」などと表記しているのは何故なのか、不思議に思っていた。その答えは「韓国人のボクが『反日洗脳』から解放された理由」(WWUK著、WAC刊)(以下、同書)にあった。

著者のWWUK(ウォーク)氏は、韓国生まれの韓国人で豪州に留学した際に日本人と仲良くなり日本語を話せるようになって、その後日本でYouTuberになった異色の人物。WWUKという仮名は、歴史の真実を語ると韓国人から売国奴扱いされ、肉体的危害を加えられるための自衛策であろう。以下、青色の部分は同書における彼の発言の大略である。

日本人がYouTubeで「韓国」と表記するのは問題ないが、韓国人が「韓国」と表記すると、その動画がGoogleによって削除される。「韓国」以外にも、「慰安婦」もダメ。だから、「Kこく」「イANフ」と書いている。

我々韓国人が日本語で韓国絡みの動画を発信すると、韓国人たちは自動翻訳装置を使って、韓国語に翻訳して閲覧する。だから、日本語による動画でも、韓国に都合が悪い動画は削除されるのだ。その削除作業はGoogleによって実施されるが、その対象となる動画は「NGワード」が入ったもの。その「NGワード」は韓国当局によって選定され、Googleに伝えられている。その証拠はないが、韓国当局がGoogleに圧力をかけていることは間違いない。

YouTuberの収入は、動画に入る広告に対する広告収入だから、動画が削除されると収入の道が閉ざされる。だから韓国人YouTuber たちはなんとかして削除されないように対策を講じている。

そこで、頑固爺は改めてYouTubeを「WWUK」で検索し、出てきた動画がどうなっているか調べてみた。

そこでわかったことは、現在存在している動画では、WWUK氏は口では“かんこく”とか“いあんふ”と言うものの、それを画面に文字では表示していない。察するに、話す言葉は「NGワード」の対象にならず、今見ることができる動画は、「NGワード」が入らぬように工夫したものだけなのだろう。下に、WWUK氏が最近発信した動画を示す。

https://www.youtube.com/watch?v=ev33Y-rDeeE

さて、韓国では201812月に「歴史歪曲禁止法」が議会で刑法として可決された。この法案は実際にはまだ施行されていないようだが、施行されたら「反日種族主義」を執筆した学者たちは有罪になるし、日本在住の韓国人YouTuberたちも有罪となり、指名手配されるのではないか。「歴史を歪曲しているのは、そっちだ」と抗議したいところだが、それは内政干渉になるから出来ない。

要するに、韓国では中国並みの情報統制が行われているということである。WWUK氏は同書の中で日本帰化を申請中だと述べているが、この法律が施行されることを恐れていると推測する。

頑固爺は以前、韓国人に真実の歴史を知らせるには、日本在住の韓国人による情報発信に期待すると書いたことがあるが、現状では厳しい。私の考えは甘かったようだ。

ところで、同書にはほかにも色々興味深いことが書いてあるので、機会を改めてご紹介する。

 

 

 


「桜」騒動の総括

2019-12-17 14:34:54 | メモ帳

「桜」騒動を総括してみたい。因みに頑固爺は安倍内閣支持者である。

本日(1217日)の産経新聞によれば、内閣支持率は最高だった9月に較べると、51.7%から43.2%へと8.5%の下落、内閣不支持率は同じ期間に31.8%から8.4%上昇し40.3%になったという。安倍内閣はかなりのダメージを受けたと見受ける。

今回の騒動を野球に例えれば、次のようになるだろう。

安倍投手自身と味方のエラー、そして四球で迎えた無死満塁のピンチ、外野フライで1点を失ったものの(共産党女性議員の歯切れいい追及)、次の打者の痛烈な打球が野手の正面を衝いて併殺となり(ブーメラン)、なんとかその回を切り抜け、それまでに得ていた大量得点に守られて、安倍チームはかろうじてリードを保っている、といったところか。

反社会的人物が招待されたことが明るみに出るなど、かなり安倍政権にとってはヤバイ場面もあったが、その人物が民主党時代にも招待されていたことがわかって、安倍政権は虎口を脱した形だ。

安倍晋三後援会のメンバーが800人も招待されたとか、首相夫人の友人が何人か招待されたとか、納税者の眼で見れば、公私混同甚だしく憤懣やるかたないことも明るみに出たが、民主党政権のときと五十歩百歩だったことで、野党がまともに攻撃できず尻切れトンボに終わった。

一流ホテルで開催された前夜祭の費用が一人5千円では安すぎると騒いだ一件も、多人数の立食パーティは参加者があまり食べない、飲まないことでコスト安になることを野党が知らなかっただけであることが判明した。

大騒ぎした結果、各政党の支持率はどうなったか。NHKの世論調査の結果は次の通りである。

 

自民党の支持率は下がったものの、野党の支持率は上がってはいない。つまり、相手を貶めても、自分のプラスになるわけではないということだ。

連日大きく紙面を割いて、安倍内閣打倒のキャンペーンを張った朝日新聞、毎日新聞はさぞ残念だろうが、これで政治家たちも褌を締め直すだろうから、よしとしてもらいたい。

新年を迎え、与野党の政治家たちが心機一転して、本来の仕事に戻ることを期待する。

 


ビンボーを笑い飛ばす銚子電鉄

2019-12-15 13:50:56 | メモ帳

犬吠崎に温泉があることを知り、“大海原を見ながらの温泉も乙だろう”と考えたのが銚子を訪れた動機だが、意外に途中の銚子電鉄が楽しめた。

JR銚子駅の改札を出て、銚子電鉄の券売機を探したが見つからない。駅員に尋ねると、「切符は車内で買えます」と言って、改札口を切符なしで通してくれた。“今どき券売機もないとは、ずいぶん貧乏な鉄道もあったものだ”と思いつつ乗車すると、確かに車掌が乗車券を売りに来た。

 愉快なのは駅名の看板。「もとちょうし」駅では、看板に“上り調子、本調子、京葉東和薬品”、「かさがみくろはえ」駅では“髪毛黒生”、などと表示してある。“ナニコレ?”と思ってスマホで検索すると、銚子電鉄は停車駅のネーミングライツを売っていることが分かった。各駅の近所にある会社や店もあるが、東京に存在する会社もある。例えば、“髪毛黒生”はメソケアという新橋にある頭髪ケア材の販売元である。その他については、下のURLを開けていただく。

https://www.choshi-dentetsu.jp/detail/railway/41

本来の表示板には、オリジナル駅名の「かさがみくろはえ」が表示されているが、どの駅でも本来の表示板の白地部分が赤茶色に錆びているのが面白い。それで思い出したのが、銚子電鉄は生き残りのために、いろいろ工夫しているというTV番組。錆びた表示板は「当社は塗料も買えません」という“ビンボー”ぶりのアピールらしい。

銚子駅で見た駅名の表示板には“絶対に諦めない”とあり、一見しただけでは意味はわからなかったが、 “ビンボー”が基本コンセプト(?)であることがわかれば、“銚子鉄道は絶対に諦めず、生き残るぞ!”という意気込みを示していることがわかる。

車中の広告で見た“鯖威張る弁当”も“サバイバル”で、“絶対に諦めない”意気込みの流れだとわかる。犬吠崎駅にある“たこやき店”も、売店で見つけた銚子電鉄ブランドの袋入りラーメンや濡れせんべい、そして秋刀魚や鰯の佃煮も生き残りを賭けた経営多角化の一環だとわかる。

時刻表を見ると、銚子発10:23の電車が終点の外川着が10:43だから、所要時間は片道20分。その次の発車は11:40発だから、2両連結の電車が2編成で往復していると推測できる。つまり、銚子電鉄には車両が4両しかないのだ。日本一かどうかはともかく、かなり小規模の鉄道である。

銚子電鉄が超小規模でも卑屈にならず、“ビンボー”をユーモアで笑い飛ばしているのは好感が持てる。翌朝、宿を出る時、土産物売り場で銚電ブランドの秋刀魚の佃美を買って、応援気分を形に表した次第。

頑張れ、銚鉄!!

 

 


「反日種族主義」論 補遺(李栄薫元教授の記者会見)

2019-12-13 14:18:30 | メモ帳

去る11月中旬ソウル外信記者クラブで行われた李栄薫元ソウル大教授(「反日種族主義」の編著者)の記者会見の模様が下記の動画に記録されている。登場する出席者は、米国、英国、および日本の記者(その他の諸国は不明)。 

https://www.youtube.com/watch?v=HASJYC7bwLs

この記者会見で李元教授が語ったことは、ほとんど「反日種族主義」に書かれているが、書かれていない点、及びその他の注目すべき点について述べたい。 

(1)ジェノサイド(人種的、民族的又は宗教的集団を大量虐殺すること)

イギリス人記者の質問「ドイツはジェノサイドを謝罪したが、日本は謝罪していない。これをどう考えるのか?」に対し、李元教授は「日本併合時代に暴動鎮圧による死者が出たのは事実だが、ジェノサイドはなかった」と答えた。 

この問答は旭日旗排斥運動に一石を投じる。すなわち、旭日旗排斥に対して、日本政府は“旭日模様は伝統的なもので、戦争には無関係”と説明しているが、韓国人は“旭日旗はナチスの鉤十字旗に匹敵する軍国主義の象徴。ドイツは戦争犯罪を謝罪したが、日本は謝罪していない”ことを根拠にしているから、互いの主張が食い違っている。

しかし、李元教授は“日本によるジェノサイドはなかった”と述べており、間接的に韓国人の旭日旗排斥を批判している。

頑固爺は、日本政府の謝罪は的外れで、李元教授の論理で反駁すべきだと考える。 

(2)朝鮮王朝(李王朝)の美化

李元教授は「教科書は朝鮮王朝を美化している」と発言しているが、頑固爺はそんな脚色があるとは知らなかった。朝鮮王朝を美化する目的は、そのあとの統治者である日本の「悪」を際立たせるためだろう。この程度の歴史美化はやむをえないとしても、韓国の歴史教科書の意図は心得ておかねばならない。

(3)慰安婦問題

「日本政府は、河野談話で慰安婦の強制性と奴隷性を認めているが、これをどう考えるのか」というBBCの質問に対し、李元教授は「日本政府の発言は政治的なものであり、『反日種族主義』は学術的研究の結果だから、それぞれの立場が異なる」と答えた。

欧米の記者たちが、いまだに「日本は20万人もの韓国人女性を拉致して性奴隷にした」と認識していることは、朝日新聞の誤報謝罪が欧米メディアには伝わっていないことを意味する。

河野(洋平)談話の根拠は(1)吉田某・朝日新聞の与太話を信じていた (2)韓国の交渉相手に丸め込まれた、のどちらかであろう。いずれにせよ、日本側の失策である。数年前に、日本の某女性国会議員が国連の人権問題委員会で真実を語ったはずだが、その程度では国際社会への情報発信としては不十分だったのだろう。

日本政府は、韓国に10億円を支払って和解したが、「拉致」の汚名が消えたわけではない。むしろ、諸外国は「拉致」があったからこそ、日本は和解金を支払ったと理解していると考える。

頑固爺としては、この記者会見の模造を詳しくメディアが報道してくれることで、「拉致」の汚名を雪ぐことになるのではないかと期待した。

しかし、日本のメディアはこの記者会見の模様を報道しなかった。韓国の新聞にも、日本語版に関する限り、そのような報道は見当たらない。

頼みの綱は欧米のメディアだが、その結果は不明である。大きく報道すれば、日本の新聞が話題にするだろうが、今までのところ、そのような報道を目にしていない。

この「汚名」に泣き寝入りするのは腹立たしい。言論界の奮起に期待する。

 

 

 

 

 

 


「反日種族主義」論 (4)最終回

2019-12-11 15:53:59 | メモ帳

「反日種族主義」(本書)はプロローグの「嘘の国」において、偽証罪、誣告(虚偽に基づいた告訴)、保険詐欺など、嘘に起因する事件が日本などに比べていかに多いかを説明することで、韓国人が嘘つきであることを実証している。

そして、「我々韓国人は嘘つきだ」を大前提として、「日帝が土地を奪った」、「コメを奪った」、強制労働問題、慰安婦問題、独島(竹島)問題などの捏造、歪曲を、資料を示しつつ論破している。

以下、本書のプロローグから引用する(赤字)。

韓国の民族主義は、西洋で勃興した民族主義とは別のものです。韓国の民族主義には、自由で独立的な個人という概念がありません。韓国の民族はそれ自体で一つの集団であり、一つの権威であり、一つの身分です。そのため、むしろ種族と言ったほうが適切です。

隣の日本を永遠の仇と捉える敵対感情です。ありとあらゆる嘘が作られ広がるのは。このような集団心性によるものです。すなわち反日種族主義です。・・・嘘の文化、政治、学問、裁判はこの国を破滅に追いやることでしょう。

「親日=悪」の韓国では、嘘を暴く著作の出版は、社会的生命を失うどころか、命懸けであるにもかかわらず、あえて踏み切ったのは李教授グループの愛国心の発露だと評価する。

さて、頑固爺がいつも唱えていることだが、日韓の友好的関係を築くには、韓国人が真実を知ることが不可欠である。しかし、真実を知ったからといって、すぐさま友好関係が築けるものではない。

例えば、旭日旗問題。これは韓国人がナチスによるユダヤ人虐殺行為と日本の統治を同一視していることに原因があるが、かりに日本の軍隊・警察がそんな理不尽な行為をしていなかったことを説明しても、旭日旗排斥運動をやめるとは限らない。

その理由は二つある。

(1)   北朝鮮との関係

韓国が日本と友好関係を築くことは、北朝鮮にとって好ましいことではないから、その意を汲んだ市民団体は、慰安婦問題でも徴用工問題でも、できるだけこじらせようとする。 むしろ、これらの事案が永久に存在することが望ましいだろう。 

(2)   屈辱感

蛮族として見下していた日本に統治されたことは、韓国人にとって耐えがたい屈辱である。だから、慰安婦問題や徴用工問題は屈辱感のすり替えのtool(手段・道具)という側面があり、親北派でなくても、これらの事案が解決されないことはむしろ歓迎すべきことなのである。旭日旗問題も、排斥の理由を新たに考案して、同じことを続ける可能性がある。

 

日韓対立をつきつめていくと、結局日本による朝鮮併合をどう評価するかの問題に行き着く。頑固爺は、朝鮮併合は当時の国際政治の流れにおけるごく自然な成り行きだったと考えるが、韓国人は武力による蛮行だったと主張するかも知れぬ。お互いに言いあってもきりがないから、あいまいにしたまま玉虫色の決着を見たのが日韓基本協定だったはずだ。

真実の歴史を知ることは、韓国人にとって天動説から地動説に転換するのに匹敵する精神的大事業であり、簡単なことではないだろう。しかし、第一歩を踏み出さないかぎり、改善は始まらない。その観点において、「反日種族主義」の出版は大きな意義がある。

 

 

 


「反日種族主義」論」(3)

2019-12-07 16:22:20 | メモ帳

「反日種族主義」(以下、本書)は慰安婦問題が反日種族主義の典型であるとして、全体の三分の一のページを費やしている。以下、赤字は本書からの引用、青字は要約である。

本書の慰安婦に関する論旨の基調は、「慰安婦は日本軍を相手にしたものばかりではなく、米軍を相手にしたケース、韓国軍を相手にしたケース、そして民間人を相手にしたケースがあるが、日本軍慰安婦だけを批判の対象にするのは公平性に欠ける」である。以下、本文から日本軍向け以外の慰安婦の背景と人数に関する記述を拾ってみる。

(1)米軍慰安婦

解放後の慰安婦の代表は「米軍慰安婦」であり、米軍基地の近くにセックスを売る女性が自然発生的に集まった。一般的には,洋嫁(ヤンセクシ)とか洋姫(ヤンゴンジュ)と呼ばれていたが、公式的な行政用語は「米軍慰安婦」である。各地の米軍基地に存在し、およそ2万人と推定される。(226ページ)

米軍慰安婦の半分は契約同居で、慰安の相手が固定されており、収入も一般民間人相手の慰安婦よりも多い。 

(2)韓国軍慰安婦

1956年に陸軍本部が編纂した『六・二五事変後方戦史』によると、特殊慰安隊は将兵たちの士気を高揚し、性的欲求を長時間解消できないことで生じる副作用を解消する目的で設立されました。(222ページ)

「特殊慰安隊」の発想は日本軍と同じだが、日本軍の場合は民間業者が慰安婦を募集し管理・運営したのに対し、韓国軍の場合は軍隊の一部である点が異なる。総数は700人前後で、1954年に任務を終了した。なお、「六・二五事変」とは1950年6月25日に始まり、1953年に終わった朝鮮戦争を指す。 

(3)民間慰安婦

全国のほぼ全ての都市で私娼街が形成されており、約4万人の女性がそこで性売買を専業とする慰安婦として生活していました。・・・(朝鮮)戦争によって家庭が破壊され、極貧階層の子供として父母の保護を受けられず、孤児院を転々としたり、家庭の不和で家出したり捨てられたりした女性が、女中生活、あるいは他の職種の接客業に従事したあと慰安婦になるのが最も一般的な経路でした。(P-224)

性売買に従事する女性は韓国戦争の破壊と混乱により、激増しました。その総数はなんと、日帝期の10倍でした。(P-286)

日本では1958年(昭和33年)に売春は禁止されたが、韓国では公式記録上1966年までは慰安婦が存在したし(注)、実際には1970年代前半までは生き残っていた。(「反日種族主義」論 (1)参照)

注)「保健社会統計月報」によれば、1966年に性病の検診を受けた女性の数が391,713人だったという記録がある。なお、一人が年数回受診したと思われるので、この数字は慰安婦の総数を示すものではない。

 

さて、本書は日本軍慰安婦の実態を詳細に説明している。すなわち、慰安婦になった理由として、すでに売春婦だった女性が応募に応じたケースとか、親または戸主が韓国人の女衒(ぜげん)に娘を売り渡したケースがほとんどで、日本軍の強制連行はなかったこと。そして標準的賃金の何倍にもなる収入があったこと、日常生活でもかなり自由があったことなど、性奴隷ではなかったことを確実な資料により明確に証明している。

慰安婦が問題化したのは、故吉田清治が日本軍による強制連行の嘘を発表した1989年からである。1990年に「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺隊協)が設立され、にわかに政治問題になった。しかも、工場で働く女性を徴用した挺身隊と混同したから、名前にも「挺身隊」が入り、人数も20万人というとんでもない数になった。

その後の経緯については、末尾に時系列に示したので、それをご覧頂く。

ともあれ、本書では日本軍慰安婦の数を約3,600人と推定しており(P-262)、解放後(終戦後)に発生した米軍慰安婦や民間慰安婦の数と比べると、はるかに少数派である。それにもかかわらず、挺隊協は慰安婦だけを取り上げているのは不自然で、「反日」意識が働いているのは明白である。この矛盾について、本書は次のように述べている。

性奴隷説を主張する運動家と研究家が本当の人道主義者であれば、彼らは解放後の韓国軍慰安婦、民間慰安婦、米軍慰安婦に対しても、彼女たちは性奴隷であったと主張し、韓国男性、国家、米軍に責任を問うべきでした。・・・1937年~45年の日本軍慰安婦だけを切り離し、日本国家の責任を追及しました。(P-288)

50年過ぎて新たな記憶を作り出し、日本を攻撃し続けて、結局韓日関係を破綻寸前まで持っていったこと、まさにこれが1990年以降の挺隊協の慰安婦運動でした。我々は、この慰安婦問題の展開の中に最も極端な反日種族主義を見ます。(324ページ)

 

【慰安婦問題の経緯】

1989年 吉田清治「私は朝鮮人をこのように強制連行した」を出版

1990年11月 「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺隊協)設立

1991年8月 金学順(1924年生まれ)が、親に平壌の妓生組合に売られたと証言→後日証言を変更

1992年1月 中央大学の吉見義明教授が「性奴隷説」を発表

1992年1月 宮沢喜一首相が韓国国会で慰安婦問題を謝罪

1993年8月 河野洋平内閣官房長官が日本政府の関与を認め「甘言、強圧による等、本人の意思に反して集められ・・・官憲等が直接関与した」ことを謝罪 

1995年8月15日 村山富市首相が日本の植民地支配と侵略を謝罪

2011年12月 挺隊協はソウルの日本大使館前に少女像を建立

2015年 日本政府は朴槿恵政権と慰安婦合意が成立、日本は10億円を出資して「和解・癒し財団」を設立、34人の生存慰安婦と58人の遺族が慰労金として受け取った。

2018年 文在寅政権は2015年の和解を破棄して「財団」を解散させた

(注)本書は朝日新聞の吉田発言に関する誤報と謝罪には言及していない。

                                                次回、「反日種族主義」論を終了

 


「反日種族主義」論―(2)

2019-12-04 14:02:43 | メモ帳

1965年に締結された日韓基本協定に関し、頑固爺は二つの疑問を抱いていたが、「反日種族主義」(以下同書)にその答えないしはヒントがあった。以下、本書から引用して説明する。赤字はそのままの引用だが、前後の文章とのバランスから、デスマス調をデアル調に変えた。青字は要約。

疑問(1):日本は韓国に多額の財産を残したはずだが、それはどのくらいの金額だったのか。日韓基本協定により、日本は韓国に無償3億ドル、有償2億ドルを支払ったが、その交渉において日本が韓国に残した財産はどのように反映されたのか。

この疑問に対する回答は同書の次の記述に示されている。

日本が韓半島に残した財産は1946年の価格で52億ドルを超え、そのうちの22億ドルが南韓にあった。これを米軍が一旦没収し、1948年に韓国政府に下げ渡した。

韓国側の主張を一つひとつ詰めていくと、朴正熙政権の7億ドルの主張に対し日本が認定する金額は、最大7千万ドルに過ぎなかった。これは10対1の格差だが、もともと韓国には、請求するものが特になかったのである。(112ページ)

しかし、韓国側としては、10年間続いた請求権協定の交渉を7千万ドルで終わらせることはできない。これについては、日本側も同意した。韓日両国は過小な請求権の金額を経済援助で埋め合わせることで合意した。

韓日協定を破棄しないかぎり、韓国は、何か受け取ってないものがあるから、日本はもっと出さなければならない、などと主張することはできない。韓国人は1965年の請求権協定で日本との過去史の始末がつけられたこと、過去史が清算されたことを認めねばならない。(116ページ)

日本が韓国に残した資産は22億ドルだったが、それは米軍を経由して、韓国に与えられた。しかし、この22億ドル(現在価値にすれば、220億ドルか?)が、日本が韓国に支払った金額に算入されたとは思えない。なぜなら、この金額を勘案すれば、日本は韓国に支払うどころか、もらう立場になったはずだからである。また、米軍が資産を没収したことは、国際法違反ではないだろうか。

いずれにせよ、交渉の過程でこの22億ドルを計算に入れずに、互いの借りと貸しを煮詰めた結果、日本が韓国に支払う金額は僅か7千万ドルになったが、それでは“あんまりだ”ということになって、無償3億ドル、有償2億ドルで妥結した。しかし、その金額には計算基礎があるわけではないし、名目も経済援助になった。

要するに、日本は韓国になにも支払う義務はなかったが(それどころか、もらう立場だったが)、韓国の経済発展に寄与しようという善意から資金供与に応じたことになる。または、日本の政治家がWar Guilt Information Programで洗脳され、併合し支配したことに対する贖罪意識も働いたのかも知れない。

合計5億ドルは今でこそ大した金額ではないが、当時の韓国の国家予算に等しいほどの巨額だった。結果的にその資金で韓国は急速な経済発展を遂げ、韓国の発展により日本も潤ったのだから、日本はよしとすべきだろう。

 

疑問(2):韓国大法院は日韓基本協定を無視し、いわゆる「徴用工」が蒙った肉体的・精神的苦痛に対して、日本企業が補償しなくてはならない、という判決を下した。しかし、「徴用工」が受け取った賃金にはその「苦痛」に対する上乗せ分が含まれていたのではないだろうか。

「徴用工」の労働は苛酷なものだったことは想像できる。しかし、その賃金水準は日本の一般的水準をはるかに上回るものだった。例えば、日本の巡査の初任給の3.7倍、事務職初任給の平均の2.2倍。すなわち、過酷な労働による「苦痛」を勘案した賃金が支払われたのである。(92ページ)

韓国大法院の判決は、「徴用工」の賃金に「苦痛」分が含まれていたにもかかわらず、日本企業が再度度支払うことを求めていることになり、不合理である。

さらに、日韓基本協定では、後日に発生する事柄は、(1)の赤字の最後の部分にあるとおり、韓国政府が対応すると定めている。「徴用工」から「苦痛」分の二重請求があったとしても、それは韓国政府が対処すべきことなのである。韓国大法院の判決は誤りである。

                                                  続く

 

 


「反日種族主義」論(1)

2019-12-02 16:41:32 | メモ帳

11月中旬に出版された「反日種族主義」(李栄薫編著 文芸春秋刊)は、アマゾンのランキング第一位となり、書店で売り切れ続出、文芸春秋は30万部を唱える、というこの種の出版物としては異例の事態になっている。激化している日韓対立が日本人の関心を呼んでいる証左であろう。

頑固爺はかねてより李教授の講義(日本語字幕)をYouTubeで聞いていたので、本書の内容は大体想像がついていた。だから、内容は予期した通りだが、まったく知らなかった事も書いてあるので、そのいくつかを拾ってみよう。文中の赤字は本書からの引用で、青字は要約である。 

●「徴用工」の嘘を広めた動機は何か。

1965年に日本の朝鮮総連系の朝鮮大学校の教員・朴慶植が、初めてこのような主張(頑固爺注 強制労働を指す)をしました。・・・「日帝が残酷に朝鮮人を搾取した」と煽動しました。当時進行していた韓日国交正常化交渉を阻止するためでした。両国の国交が正常化されると、北朝鮮が包囲されるからです。・・・

そこから始まったこの主張は、今に至るまで最も強力な学会の通説となって残っています。またそれは、韓国の政府機関、学校などの教育機関、言論界、文化界の全てに甚大な影響を与え、我々国民の一般的常識として根づくまでに至りました。・・・「強制動員」という歴史歪曲は、反日種族主義を作り出すのにとても重要な役割を果たしました。・・・(P.66)

「徴用工」に関する歪曲の出発点が、1965年の日韓基本協定成立を阻もうとする北朝鮮の謀略だったとは、初めて知った。ともかく、この主張は「日本悪玉」説を補強し拡散するのに大いに役立っただろう。

そして、本書は最高裁判所が「徴用工」の範囲を強制性がある「徴用」ばかりでなく、自発的就労にまで広げたことを批判している。「徴用工」判決に関わった裁判官も本書を読んだと想像するが、彼らは今さぞ困惑していることだろう(笑)。

●日本人の悪逆非道ぶりをテーマにした大河小説が350万部売れた!

今日の韓国でもっとも著名な人気小説家の趙廷来(1943~)が著した大河小説「アリラン」のテーマは日帝の残虐性。その小説が12巻合わせて350万部売れた。日帝(軍隊・警察)が朝鮮人を狂的に虐殺する場面が随所にあるが、これはでっち上げの大嘘である

人口が日本の半分である韓国で350万部売れたとは、日本なら700万部に匹敵する超ベストセラー。日帝の残虐ぶりをテーマにしたファンタジーを、韓国人は真実だと信じ込み、悔しさで歯噛みしながら読んだことだろう。教科書で日本悪玉論を叩き込まれ、評判の小説では嘘八百のお伽噺を読まされれば、韓国人が「反日」になるのは当然の帰結と言えよう。

●慰安婦は日帝時代だけに存在したのではない

日本軍は1937年から1945年の終戦まで慰安所を設置した。しかし、慰安婦は朝鮮王朝時代から存在し、1945年に日帝が敗れた後も、米軍向けが韓国内に残っていた。その長い歴史の中で、1937~1945年の期間だけ切り取って、日本軍の戦争犯罪だと責めるのは不当である。戦前は日本でも朝鮮でも売春業が合法だったから、京城(ソウル)にも遊郭があったし、満州にも多数の朝鮮人売春婦が進出していた。

吉田某と朝日新聞は、“慰安婦は日本軍によって拉致された”というとんでもない嘘を広めたが、本書の朝鮮における売春の歴史を読むと、日本軍の慰安所に参加した女性たちは大半がプロの売春婦だったのではないか、と推測するに至る。女衒に騙されたというケースもあった可能性がないとは言えないが、提示された賃金の額から判断すれば、普通の仕事ではないことぐらいわかったはずだ。それでも“騙された” と嘆くのはよほどのバカである。

余談だが、1970年代、頑固爺が韓国の取引先に妓生(キーセン)ハウスへ招待されたときのこと。女将に相方のキーセンをホテルに連れて帰るよう勧められたが、たまたまデブでブスだったので「明日早起きするので」と体よく断った(笑)。当時、売春は表向き禁止されてはいたが、内々では可能だったのだ。韓国では、売春は戦前も戦後も手軽な金儲けの手段だったのである。ロサンゼルスではNagoyaなどと日本を装った店名の、韓国女性が相手するマッサージパーラーがあるらしいので、今でもそうなのかも知れぬ。

続く