頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

WTC事務局長の選出:“日本が妨害した!”

2020-10-30 17:29:14 | メモ帳
ナイジェリアのオコンジョイウエアラ氏(オ氏)と韓国の兪明希(ユミョンヒ)氏(兪氏)の二人の女性が勝ち残り、最終的にオ氏が104対60の大差をつけた。満場一致で決めるという慣例に従うなら、この時点で兪氏が辞退してオ氏が選出されるという運びになるのだが、米国が兪氏支持を打ち出したことで、結論は協議の結果待ちということになった。

この件で、兪氏が敗れたのは日本のせいだと韓国が騒いでいる。シンシアリー氏のブログから、MBC放送のコメントを引用する(赤字)。

(アンカー)政府は、最終選出過程で終盤逆転劇を狙うという戦略のようです。しかし、これまで兪通商交渉本部長を落選させようと、日本の妨害工作がひどかったそうですね・・

(記者)そのとおりです。日本は積極的に本部長落選運動を展開したそうです。一部の国には支持撤回を圧迫するまでしたと言われています。といっても、米国が兪本部長を支持しているだけに、日本が最後まで反対することはできないと思われます。懸念していた中国も「拒否権」は行使しないと伝えられました。政府は、票差が大きくない場合、来月7日の最終選出日まで韓国支持票をより引き込むという戦略です・・>

以下、シンシアリー氏のコメント(青字)。
いつもの私見(という名の邪推)ですが・・・結果が悲観的だと分かった途端、出てきたのは『ナイジェリア候補が幅広い支持を得たようだ』ではありません。『日本の妨害工作がひどかったそうだ』です。MBCはこの時点で、すでに兪氏が負けることを知っていたのでしょう。そこで、「日本のせいだ」を強調しておいたのではないでしょうか。最後に、「日本の落選運動がひどかった」と「米国が支持するから日本は反対できない」は矛盾していると、番組関連者の誰でも気づかなかったのでしょうか。

爺はリー氏におおむね賛同するが、多少補足したい。

決選の結果は、104対60という大差だった。韓国の主張が正しければ、44ケ国も日本に説得されてナイジェリアを選んだ、ということになる。中立的立場の国もあっただろうが、その数はそんなに多くはなかったと思う。

つまり “日本のせいで負けた”というのは、韓国の被害妄想である。残念ながら、日本の影響力はそんなに強いとは思えない。不都合なことがあると、すぐ“日本のせいだ”とするのは韓国の悪い癖だが、またその癖が出た(笑)。

爺の素人考えでは、これから韓国が米国の助けを借りて巻き返しを図っても44票差を埋めることは難しいだろう。

最悪、ユ氏がWTCの事務長に就任しても、韓国との輸出管理問題が両国の話し合いで解決していれば、WTCの裁定は不要になる。そして、話し合いによる解決は、日本が譲歩すればいいだけの話で、その時点で韓国の管理態勢が以前より改善されていれば、日本のメンツは立つ。

結論として、この案件は日本にとってあまり重要ではないと判断する。











日本学術会議:6人が任命されなかった理由

2020-10-28 17:38:37 | メモ帳
日本学術会議(以下「会議」)の会員候補105名から6名が任命されず、その理由も説明されないことが論議を呼んでいる。

一般公務員なら、その人事権は内閣や都道府県知事にあるから、任命しない理由を示す必要はない。しかし、「会議」の場合はこれまで候補者を任命しなかった例は皆無であり、慣習を破る以上、常識的には内閣は任命しかった理由を説明すべきである、と爺は認識していた。

ところが、10月28日の産経新聞に「内閣には会員任命の拒否権あり」と題した百地章日本大学名誉教授の論考が掲載された。その論旨は長くなるので省略するが、百地氏は「内閣が学術会議に任命拒否の理由をいちいち示す必要はない」と明言し,ている。

さらに、今回「会議」はポスト数だけの名簿を内閣に提出したが、これまではポスト数より多めの人数の名簿を事前に提出し説明してきたから、「会議」側は内閣に裁量の余地を認めていたことになる。

一方、任命しなかったことが契機となって、これまで「会議」が職務(勧告・答申)を遂行していなかったこと、「会議」が中国科学技術協会と提携していたこと、会員推薦の根拠が不透明であることなどの問題点が噴出した。

歴史的に見ても、「会議」が設立された戦後間もなくの頃は、共産党勢力が強い発言力を持ち「会議」を牛耳っていたが、長い年月を経て世界の状勢は大きく変化したにもかかわらず、今なお「会議」には共産党と親密な会員が多いという事情も、白日のもとに晒された。

一方、内閣が提出された候補者の内の6名を任命せず、しかもその理由も説明しないという異例の措置を強行するからには、各方面から不協和音が出てくることは十分予想されていたはずだ。ではなぜ内閣はこのような一見“失策”とも思える措置を強行したのか。

内閣は安倍政権時代から、「会議」の言動を苦々しく思い、どこからメスを入れるか模索してきたが、提出された名簿からあえて何人かを任命せず、その理由も説明しないという荒業で突破口を開くことを決意したのではないだろうか。言い換えると、批判の嵐を十分予想した上で、“肉を斬らせて骨を切る”戦法を選択したと思われる。「会議」が廃止されるか改革にとどまるかは予断を許さないが、現状のままで済むことはないだろう。

この程度の事案が内閣総辞職の理由になるとは思えないが、いずれにせよ1年以内に選挙がある。マスコミや野党から批判されても、総辞職という覚悟があれば怖いものはない。菅首相はそこまで腹を括っているのではないだろうか。


トランプ大統領の再選は確実!?

2020-10-26 16:04:41 | メモ帳
月刊WILLの12月号を手にして、まず開いたページは「トランプ再選確率 ナント91%」(渡辺惣樹)と題した論考。日本のマスコミはバイデン優勢を伝えているから、爺はこの真逆のタイトルに仰天したのである。

「再選確率91%」の根拠は、ヘルムート・ノーボスNY州立大教授が「91%の確率でトランプ大統領が再選される」という予測を公表していること。同教授は、2016年の大統領選挙の際に、自分で作ったモデルでトランプ当選を的中させた実績があるから、彼の予測は信頼できるというわけだ。

しかし、渡辺氏はノーボス教授の予測だけに頼って、この論考を書いたのではなく、いくつかの根拠も挙げている。
  • 遊説ツアーの会場で、トランプ陣営には熱狂があるが、バイデン陣営にはそれがない。
  • トランプ氏がコロナに罹患したときは、彼の大きな失点と思われたが、すぐ回復して、むしろ支持者を増やす結果になった。
  • 一般論として、黒人票は民主党支持と認識されているが、ミネアポリスに始まった一連の騒動が沈静化したら、多くの黒人がトランプ支持に転向していた。
  • メディアが発表する世論調査の結果はあてにならない。隠れトランプが多いからである。

WILL 12月号には、渡邊氏だけでなく、トランプ再選を予想する論考がいくつか掲載されている。また11月号でも古森義久氏などがトランプ優勢を予測していた。

トランプ大統領のマイナス点は、所得税を申告していないというバイデン氏の指摘にまともに答えていないこと。かりに再選されても、この問題は後を引くだろう。

さて、4年前、米国のメディアは最後までトランプが勝つとは思っていなかった。世論調査の結果を信じていたからである。今回も、米国メディアは世論調査の結果を信じて、バイデン優勢と予想している。前回と同じことになるとすれば、トランプ再選だが、そう単純な話ではないだろう。

日本のメディアもバイデン有利と予想しているが、それは米国の主要メディアの予測の受け売りにすぎない。

爺は特に米国の選挙情報を持っているわけではないから、予想はできないが、大手メディアが唱えているほど、バイデン有利ということではなさそうだ。

では、どちらが勝つ方が日本にとってベターか。過去の実績を見る限り、共和党の方がベターのように思える。したがって、爺はトランプを応援する。

【お知らせ】爺の次回の投稿は10月29日または30日の予定です。



日本学術会議は必要か?

2020-10-25 21:18:32 | メモ帳
日本学術会議(以下「会議」)が当初から、“軍事に関する研究を行わない”と宣言していたことを知った時、爺は違和感を覚えた。それは、「会議」のメンバーは国の安全保障をどのように認識しているのか、また兵器開発に学者の知見が必要になる場合は、政府は「会議」以外の学者に協力を求めるのか、という疑問を感じたからである。

ところが、10月18日の産経新聞に掲載された古森義久氏による論考「日本学術会議にGHQの影」を読んで、頭の中がかなりすっきりした。その論考からかいつまんで引用する(青字)。

日本国憲法草案の作成者である元GHQ幹部のチャールズ・ケーディスと面談した時、同氏は日本国憲法の基本思想に関し、“日本が二度と戦争することができないようにすることがGHQの意図だった”と述べた。

一方、「会議」が設置されたのは、まだGHQの占領下の1949(昭和24)年であり、その翌年に“軍事関連の研究には一切かかわらない”という声明を出した。憲法との関連がないとするには、あまりにもタイミングが合いすぎる。・・・

「会議」は1950年に吉田茂首相宛てに決議文を提出したが、そこには“新憲法の下に天皇主権から人民主権に代わり、日本が新しく民主国家として発足した現在では元号の意味がなく、民主国家の観念にもふさわしくない。・・・天皇がいなくなれば元号は自然消滅する” という記述があった。(以下省略)

この論考を読むと、「会議」には設置当初から強い左派的イデオロギーがあったように感じられる。そして、「会議」は天皇制と元号制を否定していたと受け取れるし、「人民主権」という用語にも左派的思想を感じる。

しかし、その後、時代は大きく変化した。米国は方針を180度変更し、日本に軍備を強化するよう求めているし、当時と比べれば、一部のメディアを除き、左派的色彩は弱まった。だから、「会議」も時代の変化に対応して、その基本理念を変更するべきである。

ところで、ネットでは「学術会議」に関して否定的な意見が多い。その一つは「会議」の一部のメンバーが中国の学術研究に参加しているという問題である。そして、もう一つは京都大学、都立大学、名古屋大学などの国立大学が自衛官の入学を拒否したことがあること*。

*(注)桜井よしこ氏が「国立大学は自衛官の入学を拒否した」と発言したのに対し、毎日新聞は入学を認めたケースを挙げて、桜井氏の発言を誤りだとした。しかし、その後、上記のような例があることから、毎日新聞の報道が誤りだったことが判明した。

https://www.youtube.com/watch?v=-IR3BjXlRwk

さて、学者たちにはそれぞれ独自の思想・主張があるから、「会議」の名のもとに統一見解を出すこと自体に無理がある。日本政府が長い間、「会議」に提言を求めなかったわけは、「会議」が統一見解を出すことが出来ないと判断したか、もしくは政府の方針に合わない見解を出すのではないかと懸念したからではなかろうか。

こうして考えると、政府が費用を負担する「会議」は、もはやその存在価値を失ったのではないか、という判断になる。「会議」のあり方については、これから議論されるだろうが、爺としては「会議」は民間事業に衣変えするのが適切だと考える。













終わらない慰安婦問題

2020-10-23 13:05:47 | メモ帳
ドイツのベルリン市ミッテ区の公道に設置されていた慰安婦像に関し、茂木敏充外相がドイツ政府に撤去するよう要請し、区長が韓国系市民団体に撤去命令を出した(このブログ10月13日)。しかし、韓国系市民団体が巻き返して、裁判所に判断を委ねることになったのは各位すでにご存知のことと推察する。

爺の予想では、ドイツの裁判所は結論を先送りして、結論を出さないだろう。つまり、慰安婦像は撤去されないままになる。

この件で昨日(10月22日)、読売新聞は「反日の拡散は放置できない」というタイトルの社説を掲げた。その一部を引用するが(赤字)、爺が興味を持った部分は下線を施した箇所である。

市民団体は、少女像の目的について、「戦時下の女性に対する性暴力への反対」を表現するためだと説明している。・・・だが、今回の少女像は反日的な政治宣伝の要素が強く、公共の場での設置には問題がある。碑文は、・・・「日本軍はアジア太平洋地域の無数の少女や女性を拉致し、性奴隷の境遇を強いた」とも書いている。・・・慰安婦問題について、日本が努力を重ね、外交的には日韓合意で決着していることを、相手国には丁寧に説明する必要がある。

各地にある慰安婦像は皆、「日本軍が女性を拉致して性奴隷にした」と書いてあるのだろう。事実に反することだが、河野談話は女性の強制連行を認めているのだから、反論しても迫力に欠ける。まったく腹が立つ話だ。

これについては、爺が何回か言ったように、朝日新聞は拉致の誤報に対する謝罪広告を韓国の新聞に掲載するよう申し入れ、拒否されたら、そのむねを外国人記者に発表すべきである。

話を元に戻す。この問題は外交的には2015年の合意で決着しているわけで、韓国人がこれを蒸し返すのには、爺としては憤懣やるかたなく、頭から湯気が出る思いだ。この読売の社説も慰安婦問題に触れているが、要するに“打つ手がない”という印象である。

ところが、決着したはずの慰安婦合意に水を差すメディアがある。朝日新聞だ。同紙の9月18日の社説を部分的に引用する。(赤字)

・・・過去の傷を少しでもやわらげることが、被害者中心の考えではないか。関係者の高齢も考えれば、すでに築かれた日韓合意の枠組みを活かした救済を急ぐのが、妥当な道であろう。

そのためには、日本側も協力に動かねばならない。安倍政権は、合意を境に問題がなくなったかのような姿勢だったが、その冷淡な言動が韓国の反対運動を勢いづかせてきた。・・・

菅義偉政権はこじれた関係のリセットに向け、新たな対話を始めてはどうか。両国はいま徴用工問題に直面している。慰安婦合意の趣旨を双方が再確認することは、複合的な危機を回避するためにも必要だろう。

朝日新聞は、「安倍政権は合意を境に問題がなくなったかのような姿勢だった」と批判するが、的外れも甚だしい。安倍政権は“これでおしまい”にするために、国内での批判を知りつつ、あえて譲歩したと思う。そして、合意に達すれば、問題は解決したと考えるのが常識である。

ところが、朝日は“菅政権は新たな対話を始めてはどうか”と提案している。日本政府が自ら問題を蒸し返すなど、とんでもない話だ。韓国に関する限り、譲歩は解決にならないことを、これまで十分学習したではないか。

そして朝日は「その冷淡な言動」と批判するが、かりに安倍首相が慰安婦たちに両手をついて謝罪しても、「涙をみせなかったのは、心がこもっていなかったからだ」と批判するだろう。首相が涙を流しても、「天皇が謝罪すべきだ」と言うだろう。

韓国(実際には文大統領と支持団体のリーダーだった尹美香)は慰安婦合意を反古にしたいために、“日本の謝罪は心がこもっていなかった”とか、“被害者の立場で解決すべきだった”などの口実を並べているにすぎない。尹美香は慰安婦問題が決着するとカネ蔓を失うことになるので、決着せぬよう妨害したのである。慰安婦たちが補償金を受け取らぬよう説得したのは、その一環である。

なぜ、朝日はここまで韓国の肩を持たなくてはならないのか、理解に苦しむ。この社説はまるで韓国の言い分そのものであり、韓国人をさぞ勢いづかせたことだろう。日本の国益を損なう主張である。

徴用工問題も、かりに合意に達したとしても、時が経てばまた蒸し返さるに違いない。要するに、韓国は日本を貶め続けたいのである。だから、ゴールポストは永遠に動くと考えておかねばならない。


個人情報漏洩を指摘して懲罰とは、これいかに!

2020-10-21 17:08:15 | メモ帳
湯河原町の若手町会議員土屋由希子氏が、町議会で出席停止(1日)の処分を受けた。詳しくは、日刊ゲンダイに掲載された伊藤博敏氏(ジャ-ナリスト)による記事をご覧頂きたいが、簡単に経緯を説明する。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/279235

これまで、湯河原町役場が町税滞納者の名簿を町議会の議員に配布することは、半ば慣習化していた。税金滞納がよくないことは言うまでもないが、町会議員に滞納者の名簿を渡すことは、個人情報保護条例に違反する。

そこで、土屋議員は町議会においてこの条例違反(プライバシーの侵害)を指摘したところ、議長から「滞納者名簿が議会に共有されてきたのは事実だが、名簿の存在に関しては、秘密会の内容なので、懲罰の対象になる」という発言があった。そこで、議員数名が懲罰動議を提出し、陳謝文を作成して土屋議員に議会で読み上げるよう迫ったが、同議員はそれを拒否した。なお、湯河原町議会は、議長派が圧倒的多数であり、土屋議員は少数派に属する。

一方、この滞納者名簿については、町議会の議事録にも記載があり、秘密でもなんでもない。それにもかかわらず、“秘密会の内容なので”ということは、換言すれば、“周知のことだが、大事(おおごと)にせず、そっとしておきたい”という意味だと解釈できる。

客観的に見て、懲罰措置は論理性に欠ける。(爺からすれば、町議会に「秘密会」が存在すること自体がヘンだと思うが、それについては論じない)

さて、土屋議員は今年3月、町議会議員選挙でトップ当選し町民の度肝を抜いた時に、このブログが話題にした。そして、7月に湯河原町がアベノマスクに2カ月遅れて全町民にマスクを配布した時にも、同議員が主役となってこのブログを賑わした。

端的に言って、同議員は湯河原の淀んだ空気をかき回して、新風を吹き込んでくれる貴重な人材だと評価する。「懲罰」にめげず(笑)、益々のご活躍をされんことを期待する。

余談になるが、このブログで去る18日に話題にした某マンション管理会社の一件といい、湯河原の住人は理詰めで考えることが苦手のようだ(笑)。



韓国にもある正論

2020-10-19 14:32:48 | メモ帳
韓国の中央日報10月15日日本語版は、イ・チャンウィ/ソウル市立大法学専門大学院教授の「菅時代の韓日葛藤を国際法と常識で解決を」を題した論文を掲載した。結論は、“韓国は国際法を遵守すべきだ”であり、正論である。この論文は慰安婦合意についても触れているが、ここでは徴用工問題に関わる部分を主に引用する(赤字)。

・・・金大中・朴槿恵大統領を除けば、ほとんどの歴代大統領は韓日関係を政略的に利用したという批判を受けている。ところで、文在寅政府と与党は再び反日フレームで外交の根幹を揺るがしていて憂慮される。最悪の韓日関係をこのまま放置し続ければ、結局われわれが外交的失敗を自ら招くことにもなりかねない。(中略)

外交は相手がいるものだが、完全な勝利は不可能な領域だ。政権が変わるたびに日本に謝罪を要求するのは国際社会の常識ではない。国家間紛争は国際法によって実現可能な合意を引き出せばよい。独島と徴用、慰安婦問題は『竹槍歌』で国民を扇動したからといって解決できるようなものではない。政治家は不十分な合意でも国民を説得する勇気がなければならない。(中略)

日本の通商報復に拡大した徴用問題は、結局、1965年韓日請求権協定の解釈がカギだ。
(中略)

三権分立のために政府が司法府の決定に関与できないという論理も国際的に通じない。国内法を理由に国際法上の義務違反を正当化することができないのは、現代国際法の確固たる原則だ。

多くの先進国は司法自制の原則を尊重する。日本はそのような脈絡で韓国の国際法違反を非難する。そのような指摘を受けて司法府の独立を言及するのは苦しい弁明になる。世界10位圏経済大国に釣り合わないものだ。(中略)

国益のために、そろそろ時代錯誤的な反日フレームは捨てよう。韓国外交の正当性は国際社会の法と常識を無視しては、確保されない。

イ教授の意見のキモは、“徴用問題は、1965年の日韓請求権協定の解釈が鍵だ”である。<国内法ではなく国際法を適用すべきだ>という考え方は評価するが、“解釈”とはどういう意味なのか判然としない。

解釈に関する部分はともかく、<時代錯誤的な反日フレームは捨てよう。韓国外交の正当性は国際社会の法と常識を無視しては、確保されない>は正論だと評価する。

一方、中央日報は徴用工問題に関する世論調査の結果を次にように報じている(赤字)。

「韓国最高裁の判決に従い、(日本企業に対して)強制執行(=資産現金化)を行うべき」に対する回答は、今年は36.6%で昨年の58.2%から大きく減少した。

反面、「法的責任は日本企業が果たすが、実際の金銭的支援は韓国政府や民間が代わりに務めるような政治的決断が必要である」(18.2%)、「第三国の委員を交えた仲裁委員会を設置するか、国際司法裁判所(ICJ)に訴える」(13.2%)は回答が増えた。大法院判決以外の解決法を講じるべきだという意見が全体の6割を超えた。

この世論調査における設問は、中央日報が徴用工問題の解決案として、回答者に選択肢として示したものだろう。日本側がこれらの解決案を受け入れられるかどうかは別として、設問の意味を考えてみたい。

まず、最初の「法的責任は日本、金銭的負担は韓国」という案:
韓国側から見て、「法的責任は日本製鉄にある」ことはすでに大法院の判決によって示されており、今更繰り返す必要はないはずだ。一方、「金銭的負担は韓国」という部分は韓国の譲歩であり、実現は難しいだろう。それでも、この案を選択した人が18.2%もいたとことは、高く評価したい。

次に、第三国による仲裁委員会とか国際司法裁判所に訴える案:
原告が日本製鉄の資産を差し押さえる前の段階なら、この方式の意義はあったと思う。しかし、実際には差し押さえが終わっているから、韓国はどういう主張をすることになるのか。“現金化したいが、日本が報復するのは困るので、なんとかしてくれませんか”だろうか(笑)。

いずれにせよ、この世論調査の設問の内容から考えて、中央日報は“韓国の司法が原告の勝訴という判決を下したことはまずかった”と認識し、なんらかの解決案を模索していることは明らかである。

イ教授の論文にせよ、中央日報の世論調査に示された解決案にせよ、徴用工問題を<司法が決めたことが優先される>という論理で押し切ろうとしている文在寅大統領の戦略に疑問を呈しているわけで、これまでとは違った流れが生まれたと認識していいだろう。






大成有楽不動産の「情報隠蔽」商法 

2020-10-18 10:25:26 | メモ帳
大手建設会社である大成建設の関連企業、大成有楽不動産(以下「大成」)はとんでもない悪徳企業である。そのわけは、情報を隠蔽することにより、自社の利益を増大させようと画策していること。以下、その事実関係を明らかにする。

【発端】
私が住む湯河原のマンション(以下、当マンション)の管理会社である「大成」は2016年のマンション管理組合総会において、<機械式駐車場(以下「駐車場」)が老朽化したので、延命修繕が必要になった。ついては、その資金需要をまかなうため、「駐車場」の使用料を7,000円/月から12,000円に値上げしたい>と提案し、承認された。

延命修繕とは、全ての部品を順次入れ替える作業であり、築後20年目から始まった。2015年(24年目)までに510万円(税前)が支出されており、2016年から6年間における支出1,860万円と合わせて総合計2,370万円となる。1台当たりの支出は119万円(税前)。

【機械式駐車場の採算】
基本的に、「駐車場」はそのコスト(減価償却費、維持費等)の関係で、最低月12,000円の使用料収入が必要である。一方、湯河原の駐車場の相場はこの数十年、<安値5千円(無舗装)~高値1万円>だから、「駐車場」は採算的に無理がある。

それにもかかわらず、当マンションのデベロッパーは「駐車場」を設置した。そして、24年もの間、使用料は7千円に設定され、実質的に巨額の損失が発生した。しかし、「駐車場」の設置費用はマンションの分譲価格に含まれているので、その損失は表面化しなかった。すなわち、この大幅値上げは当初のミステークを修正するものだったと言える。

【情報隠蔽】
この新料金には懸念があった。それは、すぐ隣の営業駐車場(以下「隣」)の料金が1万円で「駐車場」より2千円安いにもかかわらず、計画では満車(20台)が続くと想定したこと。案の定、値上げ後間もなく「駐車場」に3台の「空き」が発生した。「隣」に移ったのである(流失が3台で収まったのは、「隣」が満車になったため)。

その結果、組合の収支に年間 (12,000円×3台×12=) 432,000円の損失が発生した。値上げ以降すでに4年を経過しており、今期も含めると累積損は200万円を超える。しかし、「大成」は毎年の収支報告書にこの損失を報告していないから*、ほとんどの組合員は自分の資産(修繕積立金)が食い潰されていることに気づいていない。

*(注)「駐車場」に関し収支報告書は、収容可能台数の20台を対象とせず、前年対比で示すから、最初だけは収支がマイナスとして示されたが、翌年以降は毎年、前年比100%の予算執行となっている。

一方、当初の計画では、「駐車場」には2019年度からの4年間で1千万円(税込み)の修繕費支出が予定されていた。ところが、2019年度と2020年度の予算案には、それぞれの期に必要となるはずの修繕費が示されていなかった。「駐車場」収支がマイナスであるため、「大成」は修繕を先送りしたと思われる。

先送りしても、遅かれ早かれ修繕は必要になるが、「大成」その支出予定を組合員の目に触れぬよう隠蔽しているわけだ。組合員は、遠からず1千万円をドブに捨てるような事態がおきることを知らないのである。

【状況の変化】
外部の営業駐車場の使用料の方が「駐車場」より安ければ、「駐車場」を廃止する方が利用者の毎月の負担が少ない。しかし、これまでは当マンションの「駐車場」を利用している17台を一括して収容できる大型営業駐車場が近場になかった。

ところが、今年の2月に十数台を収容する町営の大型駐車場が徒歩2~3分の場所にオープンした。その使用料は月1万円で、「隣」と同じだが、相場よりやや高いために、2月末現在で一台も入っていなかった。

そこで、私は管理組合の理事長に書面で次のように提案した(3月1日)。
●「駐車場」を廃止し、町営駐車場を一括借り入れして、「隣」(数台)と併用する。
●町営駐車場は数分とはいえやや距離があるので、8千円で交渉する。町当局も大口契約ということで、値引きに応じる可能性がある。
●安全志向の利用者には、マンション構内にある客用の平置きスペースを割当てる。

なお、この提案の実質的主眼は、以後「駐車場」の修繕が不要になること。しかし、この提案には返事がなかった。

【「駐車場」廃止案の却下】
私は今年の総会で1「駐車場」の損失垂れ流しの対策を講じていないこと、22015年に「大成」が作成した「駐車場」の長期修繕計画に記載されていた2019年度及び2020年度の修繕費が予算案に欠落していること、を理由に予算案に反対した。

そして、「大成」が2015年に作成した長期修繕計画のコピーを出席者に配布して、<「駐車場」には2019年度分、2020年度分、及び2022年度分の合計1千万円(税込み)の修繕が近々必要になるが、「駐車場」を廃止すればこの修繕費は不要になる>ことを力説した。

しかし、私の提案に賛同者がいなかったため、予算案は原案通り可決された。なぜ、こんな理不尽なことが起きるのか。それは、管理会社は理事会さえ握っていれば、組合を意のままに動かせるからである。組合の運営方針は理事長と他の理事2名、および管理会社からなる理事会で決定され、総会は理事会が決めた方針を追認するセレモニーなのである。

また、総会の出席者が少ないのも、総会がセレモニー化する要因の一つである。ちなみに、今回の総会の出席者は役員と私を除いて3名で、その内の1名は現行修繕計画が始まった時の前理事長、他2名は女性だった。

さて、「大成」が後日作成した総会議事録(署名は理事長)には、<機械式駐車場は20台収容できるにもかかわらず、17台として予算が組まれており、年間432,000円のマイナスが発生するが、この対策がなされていないこと。2015年12月に提示された機械式駐車場の修繕案に組み込まれていた715万円(税抜き)が予算に計上されていないこと。門川会館隣に建設した町営駐車場を組合として借り上げ、機械式駐車場を廃止することについて意見があった>と記載された。

だが、この記述には、外部の駐車場の方が使用料が安いという情報が欠落している。また、これでは組合員は<近々1千万円(議事録に記載された715万円+2022年度の修繕予定200万円+消費税)がムダに使われる危険が迫っていること>に気づかないだろう。

【むすび】
この案件のキモは、「大成」が情報隠蔽により、廃止すべき「駐車場」を継続して使用するよう誘導し、自社の利益拡大を図ろうとしていることである。

さらに不可解なことは、この原稿を事前に「大成」に送って、<修正すべき点があればご連絡されたい>と伝えたが、返事がなかったこと。「大成」の無言は<原稿をそのままブログに掲載しても意に介さない>というメッセージと解釈できる。「大成」は高々1千万円の修繕の受注と同社が長年築き上げてきた信用を天秤にかけ、前者を選択したのである。これが大手企業のすることなのか! 

冒頭に<「大成」はとんでもない悪徳企業である>と非難した理由がお分かりいただけただろうか。                                                                                                                       

河野談話の真相

2020-10-16 09:11:01 | メモ帳

10月15日の産経新聞に掲載された小論「慰安婦呪縛解いた安倍政権」(阿比留瑠比)は、13日の同紙に掲載された安倍元首相とのインタビュー記事の裏話がテーマである。以下、産経新聞から引用する(赤字)。

産経紙面では紙幅の限界もあって書いていないが、安倍氏はインタビューでこうも語っていた。「慰安婦の証言がどのように構成されたかということは、産経新聞のスクープによって国民の皆さんに明らかになった」。

安倍氏がいうスクープとは、産経新聞が韓国での元慰安婦16人の聞き取り調査報告書を入手して書いた平成25年10月16日の記事「報告書、ずさん調査 氏名含め証言曖昧 河野談話、根拠崩れる」である。

証言の事実関係は曖昧で別の機会での発言との食い違いも目立ち、氏名や生年月日すら不正確な例もあり、慰安所のない場所で働いていたと主張するなど、河野談話の根拠が極めてずさんであることを明らかにした。

また、平成26年元日の記事「河野談話 日韓で『合作』要求受け入れ修正」は、河野談話が原案の段階から韓国側に提示され、相手の指摘に沿って細部まで修正されるなど、日韓合作にほかならない実態を暴いた。

要するに、河野談話の原稿は、韓国との合作、というより、韓国の指示どおりに作られたと解せられる。では、なぜ河野氏は唯々諾々と、韓国の要求を受け入れたのか。

Wikipediaの「河野洋平」の項に次の記述がある(青字)。

河野談話は証拠に拠るものではなく、河野の個人的な政治信念に基づくものであることは、本人により認められている。『朝鮮日報』(2012年8月30日付)の取材に対して「私は信念を持って談話を発表した」「(慰安婦の徴集命令を裏付ける証拠資料がないとする批判には)処分されたと推定できる」と述べている。

ここにある河野氏の「信念」とは、朝日新聞の誤報を信じたことであり、「信念」というより「思い込み」という表現の方が適切である。

売春禁止法が施行された1956年(昭和31年)当時、爺はは大学2年生だったが、女郎屋にいる女郎たちは自分の都合で、もしくは彼女らの親が貧乏だったために、身を落とすことになった事情はなんとなく知っていた。

女郎屋は「拉致」などという荒業に頼らずとも、女性を集められた。爺より年上の男性なら誰でも、そんなことは常識である。そして、高給で釣れば女郎たちは戦地に職場を移すことを厭わなかったはずである。慰安婦の中には親に売られた素人女性もいたが、大半は女郎や妓生からの転職者(やる作業は同じだから、転籍者か)だったと推測する。

そんなわけで、爺は朝日新聞の「拉致」誤報は信じていなかった。しかし、河野氏は売春禁止法が施行された時は未成年だったから、売春婦の実態が分かっていなかったのではないか。だから、慰安婦の「拉致」も信じていたのでないか。そして、それが同氏の「信念」ないしは「思い込み」になった!

ともあれ、河野談話は河野氏の無知によって生まれた。そして、その河野談話が日本の手かせ、足かせになり、10億円を支払っての日韓慰安婦合意(2015年)につながった。

朝日新聞は2014年になって拉致の誤報を認め謝罪したが、韓国では「拉致」がすでに事実として定着してしまっていたから、朝日の謝罪を意図的に無視した。

慰安婦問題を歴史的に辿ってみると、放火したのは朝日新聞だが、そこに油を注いで大火事にしたのは河野氏だったことがわかる。放火の材料を朝日に提供した故吉田清治も含め、慰安婦問題は日本人の自作自演による三文芝居だった。

知れば知るほど、腹の立つ話である。

 


野党、政権再交代の夢

2020-10-14 17:16:09 | メモ帳

文芸春秋11月号の目次を見て、最初に読もうと選んだ記事は「野党共闘『政権再交代』に勝算あり、小沢一郎と共に菅政権を倒す」である。筆者は中村喜四郎衆議院議員。同議員は以前、自民党に所属していたが、現在は立憲民主党に鞍替えした。党を変えるに至った理由についてはこう述べている.

「それは自民党がすっかり変わり果ててしまったからです。・・・そして暴走する自民党に対抗できる力を野党につけてもらいたいと考えるに至りました」

では、中村氏は「政権再交代」をどのように進める計画なのか。同氏の主張を文中から引用する。(赤字)

なぜ自民党は衆参選挙で六連勝できたのか。最大の原因は投票率の低下です。安倍政権に不満や不安を抱く人が「投票しても無駄だ」と、投票所に足を運ばなくなった。そうなれば政権与党の組織力がモノをいいます。安倍政権は、国民を無視して選挙に勝てるという異常な構図を作り上げたのです。

中選挙区最後の選挙となった93年と前回3年前の選挙を比べると、投票率は67.26%から53.68%になっており、13.58ポイントも下がっています。票数に換算すると14,444,000票。1500万人に近い有権者が日本の政治を諦めたということにほかなりません。そのうち7割以上が批判票だと思われますが、7%でも投票所に足を運ぶ人が増えたら、とんでもない結果が出ます。だから次の選挙で野党は、こうした有権者に「もう一度だけ選挙に行ってくれ」と本気で訴え、その気概を見せなければなりません。

要するに、中村氏は“自民党の政治に諦めた人が多いから、投票率が下がった。だから、投票率が上がれば反自民の票が増えるはず“と考えているようだ。

中村氏は現状をあまりにも自分たちに都合のいいように解釈していると思う。その理由は次のようである。

●有権者は“政治が変わる”と思えば、これまで棄権していた有権者が投票所に足を運ぶことはあるだろう。しかし、そのためには野党が“われわれは今後〇〇をします”と、政策を語らねばならない。ところが、中村氏の論文には、その政策がまったく述べられていない。8ページの紙数を与えられているのだから、政策を述べることは十分にできたはずだ。

●反自民の旗印を高く掲げ、共産党も含めた野党共闘態勢が固まったというだけでも、これまで棄権していた有権者が投票所に足を運ぶようになることは、多少はあるだろう(実際に、2009年にそういう事態が起きて、民主党は「政権交代」を果たした)。反自民に凝り固まった人々が元気づけられるからである。しかし、それだけで中村氏が期待するような十数ポイントもの投票率アップになることは考えにくい。

爺は投票率の低下は有権者の諦めによるものだという中村氏の説にはある程度は同感するが、投票率を上げるには野党が未来への道筋、つまり政策、を示すことが先決だと考える。

ところで、この論文のタイトルには小沢一郎氏の名前が入っている。しかし、中村氏は小沢氏との関わり合いを述べているだけで、小沢氏が「政権再交代」という大芝居においてどんな役割を果たすのかについては述べていない。文芸春秋の編集部が考えたタイトルだと思うが、誤解を招く表現である。

本論に戻る。爺は現在の自民党政治に不満はない。しかし、一般的には、上述のとおり、“国民は自民党政治に諦めている”という中村氏の主張には、ある程度、同感である。そして、その閉塞感を打破するには野党の奮起が必要だと思う。野党の建設的攻勢があって初めて、与党政権に緊張感が生まれる。批判だけでは、政権のマイナス点にはなるものの、野党のプラス点にはならず、大局は変わらない。

だからこそ、野党には遠からず行われる総選挙に備えて、共闘態勢だけでなく、政策もしっかり磨いてもらいたいのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「少女像は慰安婦合意に合致する」?

2020-10-13 16:25:13 | メモ帳

ドイツのベルリン市ミッテ区の公道に設置されていた慰安婦像に関し、茂木敏充外相がドイツ政府に撤去するよう要請し、最終的に区長が韓国系市民団体に撤去命令を出した、と報道された。

この問題に関し、韓国の政治家やマスコミが韓国政府の対応が手緩いとして非難しているが、政府はこれまで「慰安婦像設置は民間が勝手にやったことなので、政府は関知しない」という立場を取っているから、政府が介入できないのは当然である。

日本はこの論争には高みの見物でいいのだが、韓国人が並べている理窟の中に面白いものがあったので、取り上げる。情報の出所は日本在住の韓国人評論家シンシアリー氏のブログで、対象となった記事は聯合ニュースの発信である(赤字)。なお、爺が笑ったのは下線を施した部分。

2015年の慰安婦合意は、日本軍慰安婦問題の無条件的な解決を明らかにしたわけではなく、両国は、被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の治療のための事業の誠実な履行を前提とした。合意時に議論された在韓日本大使館の前という特定の場所の問題を別にすれば、慰安婦像の設置自体は、両国の合意の精神に合致する事業だと評価する余地がある。被害者が経験した人権侵害と戦時性暴力の惨状を世界に知らせ、これを歴史の教訓にできるからである

これに対し、リー氏はそのブログで次のように批判している(青字)。

妙な主張です。「被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の治療のための事業の誠実な履行」が慰安婦合意の前提だから、ドイツに慰安婦像を建てるのは慰安婦合意に合致している、と。

しかし、「被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の治療のための事業の誠実な履行」となっているのは何なのかというと、慰安婦財団を作って運用することです。だから『事業』となっているのです。そして、その事業を行う財源の設立のために日本が10億円を出捐し、財団の運用は韓国が行う。前提というなら、これが前提でした。そして、これで不可逆的に解決した、と合意しました。

ですが、その財団を解体したのが韓国です。慰安婦合意の『前提』となる財団を解体して、他国に慰安婦像を作り、管轄自治体から『これは明らかな反日だ』と言われて、撤去されることになった。それが今の状況です。「被害者の名誉と尊厳の回復と心の傷の治療のための事業の誠実な履行」を解体させたのが韓国なのに、今になって何を言っているのでしょうか。

リー氏の主張は、客観的に見て正鵠を射ていると思われる。それはそれとして、爺の所感を述べたい。

●よくまぁ、自分たちに都合のいい屁理窟を考えつくものだ。連合ニュースのライターともなれば、慰安婦問題には精通しているはずだが、そういう人物が“慰安婦像は両国の合意の精神に合致する”と言うのには、口アングリである。当時の日韓合意には“韓国政府は慰安婦像の撤去に努力する”という項目があったはずだが、それを忘れたのか。

●ベルリン市の住民からすれば、得体の知れぬ東洋系少女の像を街の真ん中に建てられ、さぞ目触りだったことだろう。今となっては、像建立に賛成した区議会の議員たちは、市民から非難を浴びているのではないか。

●ドイツの地方自治体は、“韓国系市民団体に「これは人権侵害の問題だ」と言われ、「そうか、それなら仕方がない」と安易に像の設置を許可したのだと思う。茂木大臣は詳しく事情を説明したらしいが、基本的には“ドイツの地方自治体は、中立の立場でいていただきたい”という要望を伝えたと思う。

日韓どちらの言い分が正しいかは別として、地方自治体は外国間の紛争に巻き込まれるべきではないことを覚ったことだろう。

●その論理はドイツのみならず、自由民主々義の国ならどこでも通用するはずである。私有地に設置された像には打つ手はないが、公有地なら像を撤去するよう、政府には米国を始めとして像が設置されている諸国に同じことを要請してもらいたい。その点で、日本は先鞭をつけてくれたベルリン市に大いに感謝すべきである。

 

 


日本学術会議の洗い直し

2020-10-11 13:01:31 | メモ帳

爺は日本学術会議という組織の名称には記憶があるものの、具体的にそれがどういう組織なのか、どんな活動をしているのかに注意を払ったことはない。「お前が不勉強だからだ」と言われればそれまでだが、大部分の国民は爺程度の認識ではないだろうか。

その理由は、日本学術会議がこれまであまり目立った活動をしていなかったからではないのかと思っていたら、やはり「法律に基づく政府への勧告が2010年以来、行われていないことから、河野行政・規制改革相の下、妥当性を検証する」とあった(読売新聞10月9日)。

では、その勧告とはどんなものかと「日本学術会議法」を読んでみたら、第五条に「勧告」に関する記述があった。(赤字)

第五条 日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる。

 一 科学の振興及び技術の発達に関する方策

 二 科学に関する研究成果の活用に関する方策

 三 科学研究者の養成に関する方策

 四 科学を行政に反映させる方策

 五 科学を産業及び国民生活に浸透させる方策

 六 その他日本学術会議の目的の遂行に適当な事項

要するに、役割がしっかり定められている。そして、その役割に対して報酬が与えられる。

会員手当(45,000,000円÷210人≒214,000円)は大したことがないが、学術会議会員となれば肩書に箔がつき、活動に有形無形のメリットがあることは言うまでもない。さらに政府の研究開発費や補助金の配分に関わることは、学術会議の大きな利権である。

それでいてその役割をろくに果たしていないとはどういうことか。この学者たちは良心に照らして恥ずかしいと思わないのだろうか。

一方、学術会議は中国科学技術協会と提携しているという。学術会議は軍事目的の研究は行わないと宣言しているが、中國では科学技術に軍事と民生の境がないことをわかっているのだろうか。

また、学術会議は2007年以来、答申もなかったというが、これは政府が諮問しなかったためだろう。換言すれば、政府は学術会議を活用していなかったことになる。

端的に言って、日本学術会議は存在価値がないということになる。

さて、学術会議事務局の常勤職員は50人で、年間3億9千万円の人件費が支払われている(単純平均で一人当たり780万円)。この職員たちはどんな仕事をしているのだろうか。下司の勘繰りだが、時間を持て余しているのではないだろうか。

YouTubeで「日本学術会議」と検索すると、いろいろな意見がでてくるが、学術会議に否定的なものばかりである。

政府が推薦された会員候補者を6名任命せず、その理由を明確に説明しなかったことは、いささか乱暴だったと思う。しかし、それが突破口となって、学術会議のいろいろな問題点が炙り出されたことはよかった。発足してから71年も経てば、錆びついた部分もでてこよう。この際、河野改革相が徹底的に制度を洗い直して、新しい出発点とすることを期待する。

 

 

 

 


安倍政権への回顧

2020-10-07 15:06:34 | メモ帳

今回のテーマは、遅まきながら安倍政権への回顧だが、本論に入る前に爺の立ち位置を説明しておきたい。

今年の4月ごろ、安倍首相(当時)が自宅で寛ぐ映像がネットやTV画面に流れたことがある。その時の爺の印象は“このところ首相は休日返上で頑張っているらしいから、そういう息抜きの時間は必要だ。それはともかく、この映像を流した目的は、国民にStay homeというメッセージを送ることだろう。適切な映像だ”である。

しかし、ネットやマスコミの反応は“国民がコロナで苦労している時に、こんな優雅な姿の映像を公開するとは不謹慎だ”だった。すなわち、安倍政権に対する爺の立ち位置は、一部の国民とは違うことを念頭に置いて、以下の本論をご覧頂く。

安倍政権の功績はいろいろあるが、爺としては、外交面の功績を筆頭に挙げたい。特に、これまでの“謝罪外交”に歯止めをかけたことを高く評価する。韓国とは関係が悪化したが、それはちゃぶ台返しをした文大統領の責任である。

さて、保守系各論壇誌の11月号は、安倍政権の回顧と称賛で埋め尽くされた。その中で、爺が注目したのは、Hanadaに掲載された藤原かずえ氏による“安倍政権こそ弱者に寄り添った”である。

この論考は次の文章で始まる。(赤字)

安倍首相ほどマスメディア・野党・活動家・政権不支持者から罵られ続けた首相もいません。彼ら「反安倍陣営」は、自由意志を持つ国民が一貫して支持した長期政権を「腐敗した一強の長期政権」、その中心にいる安倍首相を「強引な手法で政治を私物化するタカ派で歴史修正主義の独裁者」といったレッテル貼りをして、人格攻撃を続けました。(以下省略)

同感である。爺の印象では、モリカケ問題におけるマスコミの常軌を逸した安倍攻撃が特にひどかった。安倍氏にも誤解を招くような発言があったが、爺のような門外漢でさえ、“この案件の大筋は見えた。安倍氏にはなんらやましいことはない”と認識した時があったが、その時でもマスコミと野党は“疑惑はさらに深まった”と叫び、安倍氏に身の潔白を証明するよう迫った。やってないことを証明することは不可能であり、爺は反安倍勢力の理不尽さに呆れたものである。

その時、爺は“首相とはずいぶんしんどい仕事だな。首相でなくてよかった(なるわけないが)”と同情した。

さらに爺が憤慨したのは、2017年10月の衆議院選挙における出来事である。安倍首相を取り囲んだ集団が大声で演説を妨害したとき、安倍氏は“あんな人たちに負けるわけにはいかないんです”と言った。これに対して、マスコミは“あんな人たち”という言葉使いを攻撃したが、選挙妨害をした集団こそ非難されるべきだった。

新型コロナへの対応も後手後手に回ったと批判されたが、10ヵ月経った今にして思えば、台湾や韓国には劣るものの、全世界的には日本の被害は非常に小さいことは明らかである。

そして、安倍政権の退陣時の支持率は、朝日新聞による調査でさえ71%という高い水準となった。もちろん、情緒票もかなりあったとは思うが、総じて国民は悪夢から醒めたかのごとく感じたのではないか。

アベノミクスが失速したことは残念だし、爺としては、憲法改正や北朝鮮の拉致被害者を取り戻すことまでやってほしかった。しかし、過去の政権に比べればはるかにましである。

安倍晋三氏はまだ政界から引退する年齢ではない。第三次安倍政権とまではいかなくても、また国のために尽くして頂く機会があることを期待する。

ともあれ、安倍晋三さん、ご苦労様でした。

【お知らせ】

次回投稿は10月12日(月)の予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


反日種族主義との闘争 その2 韓国大法院の判決

2020-10-05 10:40:09 | メモ帳

「反日種族主義との闘争」に記述されているいくつかの事柄から、今回は韓国大法院が新日本製鉄に対し4名の原告に強制動員被害慰謝料を支払うよう命じた判決を取り上げる。

この判決の論点はいくつかあり、本書はその論点の誤りを逐一指摘している。

判決の主張の一つである「旧日本製鉄が訴訟原告たちを日本に労務者として連れていき、仕事をさせたのは反人道的不法行為である」の根拠は、「日帝強占期の日本による韓半島支配は不法な強占だった」である。

大法院は就労形態がどうであれ(原告4名全員が応募で就労した)、植民地支配が不法だったから、朝鮮人労務者を日本の製鉄所で働かせたことが不法行為だったというわけだ。

この点について、本書は次のように述べている。(赤字)

日本の植民地支配が不法だというのは、彼らの一方的主張に過ぎません。韓日併合は、大韓帝国の主権者である純宗が国権を日本の天皇に譲渡したことで成立しました。・・・純宗は国権に対し、そのときもそれ以後も、反対の意思を表したり、無効だと主張したりしませんでした。これは、国権所有者が自身の意思で国を明け渡したことを意味します。

この部分を読むと、本書は「大韓帝国は国権を日本に譲渡したのだから、日本の朝鮮併合は合法だった」と主張しているような印象を受けるが、本書の論点はそこではない。次の文章(赤字)をご覧頂く。

私は「植民地支配は合法であり正当だったと主張しているのではありません。韓日国交正常化を韓日両国がこの問題をどのように扱ったのかを述べているのです。植民支配が合法か不法か白黒つかなかったため、韓日両国はそれを論議の外に置き、そうやってその件を乗り越えることで国交を正常化したのです。

条約とは、両当事国の合意で締結するものです。半世紀の後に「植民支配は不法だったから、当時の〇〇は不法である」という主張を学者がすることは許されます。しかし、一国の司法部がそのような主張を採択し、相手国の国民に賠償を命じることはありえません。これは国交正常化以前に戻ろう、と言う意味にしかなりません。

すなわち、本書は「日韓両国は、併合の合法性についてはあえて結論を出さず、国交正常化を優先したのだから、大法院も国交正常化が行われた事実を大前提とすべきである」と主張しているわけだ。爺はこれを卓見だと評価する。

個人請求権については、本書は次のように述べている。(赤字)

会談において、韓国側が日本側に提示した対日請求八項目のうち、第五項には「被徴用韓国人の未収金,補償及びその他請求権の返済要求が入っています。「徴用による精神的被害に対する慰謝料」は、この「その他請求権」に含まれます。当時、韓国は日本に、被徴用者の一人当たり200ドルの補償を請求しました。日本は韓国の要求を拒否しました。結局韓日両国はこの補償問題を、個別請求権の金額を合算せず、一括して無償3億ドルとすることで落着させました。この3億ドルには被徴用労務者補償金が含まれていた、と見なさなければなりません。

爺は下線部分に疑義がある。爺の(というより、日本人の一般的)理解では、日本側は「賃金未払いなどの個別補償は日本政府が各個人に支払いましょうか?」と言ったのに対し、韓国側が「全部一括して韓国政府に支払ってください。韓国政府が別途対応します」と言ったはずである。だから、この部分に関しては納得しないが、「この3億ドルには被徴用労務者補償金が含まれていたと見なさなければなりません」という結論には異論ない。

さて、9月18日の産経新聞に掲載された本書の編著者である李栄薫氏のインタビュー記事の一部を引用する。(青字)

産経:日本政府は「請求権問題の『完全かつ最終的』な解決を定めた日韓請求権協定に明らかに反している」との立場だ。

李栄薫:その通りだ。未払い賃金の支払いを求めるなら、最初から協定に従い自分の国(韓国)を提訴すべきだった。

李栄薫氏のこの意見には、韓国人でも道理をわきまえた人なら同感するのではないか。大法院の判決は国民情緒(および文大統領)に迎合した結果だと考える。もっとも、韓国の裁判はそんなものかも知れないが・・・(笑)。

 


日本学術会議の推薦

2020-10-04 10:12:23 | メモ帳

日本学術会議が推薦した学者の内、政府が6名を拒否した件が議論されている。爺はこの件に関する見解を「世界史も大好き」様から問われて次のように回答した。(赤字)

世界史も大好き様

学術会議の推薦を政府がそのまま承認しなくてはならないなら、システムが形骸化しているといわざるを得ません。政府に拒否されるのが嫌なら、学術会議だけで決めて、学術会議の結論として発表したらいいんじゃないですか。

ここまでは「11年目の反省」のコメント欄に掲載されたが、世界史も大好き様からの次のコメントがコメント欄に掲載されていない(爺にはメールで連絡された)。ついては、そのコメント(青字)と爺の返事を下記する。

世界史も大好き様のコメント

頑固爺さん様

日本学術会議法の第17条を読んでからコメントして下さい。さもないと大恥をかきますよ。

 

このコメントに対する爺の返事は次のようである。

世界史も大好き様

日本学術会議法は読んだことがありません。正直申して、そんな法令があることさえ知りませんでした。ご教示に深謝します。ともあれ、その第17条とは、これですね。

日本学術会議法第十七条

日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

この条文では、総理大臣は推薦された候補者を拒否できるとは書いてありませんが、候補者を拒否してはならない、と書いてあるわけでもない。常識的に、総理大臣の一存で決めていい、という意味ではないでしょうか。したがって、冒頭の赤字部分の私の返事が間違っているとは思えません。