頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

「医療の“ひっ迫”は大ウソだ」

2021-06-30 13:55:59 | メモ帳
WILL誌8月号に「医療の“ひっ迫”は大嘘だ」(青山正幸、衆議院議員)と題した興味深い記事が掲載されている。

筆者の青山雅幸氏は東北大学法学部卒業の弁護士で、全国B型肝炎訴訟静岡県弁護団団長、カネボウ美白化粧品被害静岡県弁護団団長、浜岡原発廃炉訴訟弁護団事務局長などを務めた。2017年、立憲民主党から衆議院議員に当選、現在は日本維新の会に所属する。

青山氏の主張の概略は次の通り。(青字)

日本は人口当たり病床数が世界一、人口心肺装置の数も世界のトップクラスである。そんな日本で“病床のひっ迫”が叫ばれ、度重なる緊急事態宣言が派出された最大の原因は、「行政の怠慢」と「医療の非協力」*である。

緊急事態宣言が発出された理由は、東京都や大阪府などの特定の都道府県の病床がひっ迫していたからである。それならば病床が空いている近隣の病院に患者を搬送すればいいのだが、県境を越えた広域輸送という発想はなかった。

広域搬送には自衛隊に協力を要請すればいい。自衛隊にはドクターヘリの2~8倍の人数を輸送できる中・大型ヘリと、人口呼吸器が搭載可能なヘリが250機もある。

私はかねてより厚生労働委員会で菅総理や田村厚労相に広域搬送の実施を提言してきたが、なかなか実施されず、6月になってその方向でやっと動き出した。

この青山氏の主張は正しいのか。「新型コロナの入院者と新型コロナ対応のベッド数」というデータによって検証してみると、確かに入院者とベッド数の比率は、県別に見ればかなりバラつきがあることがわかる。

高い方では、沖縄71%(ベッド数715に対して入院者511人)、北海道36%、低い方では鳥取1%、島根1%、和歌山2%など。感染者が多い首都圏では、東京21%、千葉25%、神奈川25%など。

現在でこそ感染者は減ったが、青山氏が広域搬送を提言していた4月~5月は、東京都の病床使用率は60%を超えていた。都道府県別のバラつき度は一時期、上記のデータよりも格段に高かったことは間違いない。

幸いにも“病床ひっ迫”問題は大ごとにならずに済んだが、大所高所から見れば、“ひっ迫”は最初から起きるはずがなかった、ということになる。

では、海外諸国ではどうなのか。これについて、青山氏は次のように指摘している。

●フランスでは昨年から(つまりコロナ禍が始まった直後から)、高速鉄道を利用して広域搬送を行っている。
●ドイツではICUの設備がある緊急輸送機をフランスやイタリーに派遣し、患者を受け入れている。

こうした中、日本では感染拡大に慌てふためいて、柔軟な発想をすることはできなかった。「行政の怠慢」である。自衛隊にワクチン接種で助力を要請したのが、関の山だった。

その「行政の怠慢」がWILLで批判される程度で済んだのはワクチンのお蔭であり、お役人たちにとってはラッキーなことでる。

(注)本論では、「医療の非協力」については省略し、「行政の怠慢」に絞った。



大谷選手の<翔タイム>

2021-06-28 15:51:43 | メモ帳
Stay home の楽しみが一つ増えた。大谷翔平選手のTV中継である。NHKの放送を毎回楽しみにしている。

特に興味深かったのは、6月25日の敵地での Rays戦。大谷が先頭打者ホームランを打った次の打席でセーフティーバントを決めた。ホームラン・ダービーを争う選手がバントヒットを狙うなど意表を衝くものであり、見事なプレーだった。Tampaの客もさぞエンジョイしたことだろう。

ところが、このプレーを評論家の張本勲氏がTV番組サンデーモーニングで、「ホームランを打てるバッターだから、2回目のバッターボックスでセーフティーバントを何でやる? 今まだ2割7分打ってないんだから、3割届かないよ。それなら次のバッターボックスでもホームランを狙ってもらいたいわね」と、批判めいた発言をした。

張本氏は大谷がホームランキングになることを期待しているためにそのような発言になったものと思うが、爺はバントヒットをショウマンシップの見地から高く評価する。プロ野球は筋書きのないショウであり、観客はホームランのあとのセーフティーバントという意外性を喜んだと思う。

ピッチャーとしての防御率も立派だし、盗塁数でもなかなかのものである。多彩なプレーで観客を魅了する大谷選手は、野球界の常識を破る稀有なプレーヤーである。

ここまで書いたところで、27日のゲームでホームラン、3塁打、2塁打、そして盗塁という盛り沢山の大活躍をしたニュースが入ってきた。サイクルヒットを逃したのは残念だが、今後の楽しみとしておこう。

大谷選手が今後も<翔タイム>で感動せてくれることを期待する。








慰安婦問題と軍人の価値観

2021-06-26 13:15:26 | メモ帳
前々回、<日本軍が女性を拉致して慰安婦にするという常識では考えられない嘘八百を、検証することもなく信じ込んだのは、「日本軍=悪」という東京裁判史観と戦争に対する過度な贖罪意識があったからだろう>と述べた。

では、「日本軍=悪」という認識と過度の贖罪意識はどうして生まれたのか。その根源はいうまでもなく東京裁判であり、そして占領軍(GHQ)によるWar Guilt Information Program である。

しかし、その受け止め方には年代によって差があった。少なくとも爺は「日本軍=悪」と思ったことはない。その理由は、爺の年代なら誰でも日常的に軍人に接する機会があり、彼らはみな御国のために戦う、尊敬に値する存在だったからである。

今にして思えば、彼らは美化されていた。それでも、<♬若い血潮の予科練の、七つボタンは桜に錨>と歌われた予科練生は少年たちの憧れの的だった。隣近所の人たちが日の丸の小旗を振って送り出した出征兵士は輝いていた。

さて、戦前、爺の家の茶の間の壁に軍人勅諭のエッセンスが貼ってあった。陸軍大尉だった父が家訓として利用したのだろう。それは次のようである。

一つ軍人は忠節を尽くすべし
一つ軍人は礼儀を正しくすべし
一つ軍人は武勇を貴ぶべし
一つ軍人は信義を重んずべし
一つ軍人は質素を旨とすべし

ちなみに、軍人とは文民や民間人に対応する概念で、この軍人勅諭は一兵卒から将官にいたるすべての階級が対象である。

この5カ条でわかるように、軍人勅諭は軍人の信条を説いたもので、軍人が人の鑑となることを求めていた。

彼らは自分が憧れや尊敬の対象であることを自覚していたから、その期待に背く行動をすることを恥と認識していた。そして、憧れや尊敬の対象となっていることが、非行への抑止力になっていたと思う。

すべての軍人が高潔な人格者だったとは思わないが、少なくとも軍隊として組織的に人の道にはずれた行動をすることはありえないのである。爺は子ども心に、こうした日本軍の価値観を肌で感じていたから、成人して「日本軍=悪者」論に接しても、笑いとばしてきた。<女性拉致>の報道にしても、すぐさまそれが嘘だとわかった。

では、1992年に朝日新聞の「日本軍が慰安婦に関与」の報道により韓国が大騒ぎになった時、宮澤喜一首相は日本軍人の倫理的価値観を熟知していた年代であるにもかかわらず、なぜ報道の真偽を確かめずに謝罪したのか。

それについては、前回、真偽を確かめる時間的余裕がなかったことと、朝日新聞が嘘を書くはずがないという思い込みだったこと、と述べた。それでも、騒動を理由に韓国首脳との会談をキャンセルして帰国する選択肢もあったはずだが、そうするだけの度胸もなかったのだろう。朝日の巧妙な戦術にしてやられた感がある。

一方、河野談話は宮澤氏の謝罪の1年半後のことであり、河野氏は朝日の報道を検証し、宮澤氏の謝罪を修正または撤回する時間は十分あった。それにもかかわらず、宮澤氏の謝罪を追認する形で、「女性拉致」に関する日本軍の関与を認めることになった。それはなぜか。

ネットで調べた限りでは、河野洋平氏の父親の一郎氏には兵役の経験がなかったこともあり、洋平氏は軍人に接する機会がなかったのではないか(この点では宮澤氏も同様)。また終戦時に満八歳では、日本軍人の価値観を認識するには幼さなすぎた(洋平氏は爺より2つ若いだけだが、この2年の差は大きい)。だから、河野氏は後年「日本軍=悪」という自虐思想にたやすく染まり、「談話」を発出したと考える。

日本がいまだに不名誉な「女性拉致―性奴隷」説を覆すことができないのは、この河野談話があるからで、それが残っているかぎり、慰安婦問題は根本的解決に至ることはないだろう。

蛇足になるが、朝日新聞の慰安婦報道の中心人物である植村隆氏が虚報を書くことになった背景を考えてみたい。

同氏は1982年に早稲田大学を卒業し朝日新聞に入社、1987年に韓国の延世大学に留学した。ネット情報では、再婚の夫人は韓国系で慰安婦問題を取材したことが縁で結婚したというから、根っからの親韓派である。

この経歴から推測するに、植村氏は軍人の精神文化を知ることはなかったと想像する。ましてや、同氏が朝日新聞に入社した頃は、自虐史観が日本のマスコミ界を風靡していたから、吉田清治の与太話を真実と信じこみ、「女性拉致」という「日本軍の旧悪」を暴くことに情熱を傾けたのだろう。

それが嘘だったとわかった時の彼の心情は、察するに余りある。植村氏は吉田清治に踊らされた被害者だったのである(笑)。


竹島問題:誤りがある地図を発見して喜ぶ韓国

2021-06-23 16:06:05 | メモ帳
朝鮮日報などの韓国大手紙によれば、文在寅大統領はG7からの帰途、スペインを訪問して、議会で演説したのち、スペイン上院図書館を訪れ「朝鮮王国全図」を観覧した(6月16日)。文大統領はその地図を見て、「独島(=竹島)が韓国の領土であることを示す非常に貴重な史料である」と述べた。

この「朝鮮王国全図」は18世紀に、フランスの地理学者が作成したものだが、鬱陵島とその西にある小島が記載されていて、その小島にTchian-chan taoという島名が記されている。


この表記について、韓国の専門家は“これは中国語による千山島の発音であり、千と干の字が似ているためにおきた誤りである。したがって、この地図は干山島が韓国に帰属することを示すものである”と主張して、文大統領の発言をサポートしている(常々、韓国は<干山島=独島>と主張している)。

ところが、このスペインで発見された地図では、問題の小島は朝鮮半島と鬱陵島の間、つまり鬱陵島の西側に存在することになっているが、実際には独島(竹島)は鬱陵島の東92キロの場所にある。

鬱陵島の西側には島は存在せず、近くにある島といえば、東2.2キロの場所にある竹嶼である。百歩譲って、この地図の作成者が東と西を間違えたのであれば、ややこしい話だが、この竹嶼が干山島ということになり、現実の竹島(独島)とは別物ということになる。言い換えると、この地図は韓国の独島(竹島)領有権を示すものではない、ということである。

ともかく、肝心な場所に誤りがある地図を発見して喜ぶのは、韓国には<干山島=独島>であることを示す確たる物的証拠がほかにないことを物語る。

日本政府は竹島問題で国際訴訟を提起したくても、韓国は「領有権問題自体が存在しないから、裁判は必要ない」と主張しているが、こういう機会を捉えて日本の主張をアップデートにして、韓国の主張が誤りであることをアピールすべきである。沈黙していると、韓国にも国際社会にも、日本には意見がないものと受け止められと懸念する。




慰安婦問題の背景と解決

2021-06-21 16:34:17 | メモ帳
前回取り上げた「『自由な国』日本と『不自由な国』韓国」は、このブログが数カ月前に何回かテーマにしたラムザイヤー教授の論文をいろいろな角度から分析している。

その分析の内容はともかくとして、その論争を通じて浮かび上がったことは、「日本軍が女性を拉致して性奴隷にした」という虚妄が国際社会の一般的通念として定着している、ということである。なぜこんなことになったのか。これが今回のテーマである。

朝日新聞が女性拉致は誤報だったと認めたことで(2014年8月)、日本人なら誰でも女性拉致は嘘だったことを知っている。しかし、その朝日の誤報撤回のはるか前に発表された国連のクマラスワミ報告(1996年)と米国下院による「慰安婦に関する対日非難決議」(2007年)によって、「拉致―性奴隷」説はすっかり国際社会に定着していた。朝日の2014年における誤報撤回は国際社会では無視されたと言っていいだろう。

さて、文芸春秋の2014年10月号は、同年8月の朝日新聞の誤報撤回を特集しているが、その特集記事の中で、朝日の元主筆だった若宮啓文氏(故人)は“1997年に朝日社内で吉田清治証言を訂正すべきだという意見があった。しかし、反対意見も多く、誤報の撤回には至らなかった“と述懐している。

その時に誤報を撤回していれば、少なくとも2007年の米国下院決議には至らなかったのではないか。そして、再度謝罪し10億円を支払った2015年の慰安婦合意も必要なかったのではないか。かえすがえすも1997年の朝日の逡巡は残念である。

さて、慰安婦問題の起点は1993年の河野談話であるが、その河野談話は前年1月における宮澤喜一首相の謝罪を踏まえている。当時の流れを振り返ってみると、朝日新聞は宮澤首相の訪韓の数日前に、“日本軍が女性問題に関与した”*という記事を掲載した。明らかに、宮澤氏が訪韓中に苦境に陥ることを狙ったものである。

その狙い通り、韓国で大規模な反日デモが起こり、天皇の人形が燃やされるとか、日本大使館が卵をぶっつけられるなどの事態となり、宮澤氏は韓国首脳との会談の席上で謝罪を表明した。宮澤氏は朝日の報道の信憑性を確かめる時間的余裕がなかったが、それにしてもなぜ安易に謝罪したのか。

当時、朝日はクオリティーペーパーとして信頼されていたから、宮澤氏はその朝日がまさか嘘を書くなどとは思わなかっただろう。また、同氏は東京裁判史観の<日本軍=悪>という観念を刷り込まれていたことで、女性の拉致も“ありうる事”と思ったのではないか。さらに、戦争に対する贖罪意識もあっただろう。そうした情報の集積が謝罪という形で現れたと想像する。

その流れが翌年の河野談話につながった。つまり、河野洋平氏も女性拉致を真実だと思いこんでいたからこそ、談話の後で報道陣に質問に答える形で、拉致を認めたのだと思う。

では、なぜ朝日新聞は吉田清治の与太話にコロリと騙されたのか。当時は、新聞記者は学生たちの憧れの職業だったが、特に朝日新聞の記者ともなれば、尊敬の対象でもあり、かなり優秀な人材が集まっていたはずである。

それにもかかわらず、日本軍が女性を拉致して慰安婦にするという常識では考えられない嘘八百を、検証することもなく信じ込んだのは、「日本軍=悪」という東京裁判史観と戦争に対する過度な贖罪意識があったからだろう。

こうした思想は朝日新聞だけのことではなく、他のマスコミにも程度の差こそあれ同様に存在したし、宮澤喜一氏や河野洋平氏を含め、大部分の日本人に共通して言えることである。NHKの軍艦島に関する誤報も、同じ流れの中で起きたと考える。

結局、慰安婦問題は日本人が種を蒔いて育て、その結実を韓国人が手中にしたということになる。そして、この問題の根本的解決は、韓国人が真実を知ることしかない。

こうした観点で、ラムザイヤー教授や「反日種族主義」を執筆した李栄薫や李宇衍(ウヨン)諸氏の存在は貴重である。そして、何度も言ったが、朝日新聞が誤報撤回を再確認すること、そして河野洋平氏に「河野談話」の真実を語ってもらうことを期待したい。とにかく、あらゆる手段を講じて、韓国人向けの「真相はこうだ」の現代版を構築すべきである。
                                                                                           
(注)日本軍の関与とは実際には兵士を性病から守るための管理だったが、朝日はこの部分を伏せて単に“日本軍が関与した”と報じた。


日本政府の新型コロナ対応

2021-06-18 16:11:20 | メモ帳
「『自由な国』日本から見た『不自由な国』韓国」(以下、同書)と題したンシアリー氏(以下、S氏)の新刊書に興味深い記述があるので紹介したい。

同書は日本政府の新型コロナ対応を論じる箇所で、「都市封鎖のZENアートだ」という見出しで、2021年2月9日の米国ウォールストリート・ジャーナル紙の記事を引用している。(赤字)

東京―それは、封鎖の禅アートとでも呼ぶべきだろうか。新型コロナを抑制するための戦いにおいて、日本はその方針を一つの簡単な手段で、成功を収めた。午後8時にレストランやバーを閉めることである。政府が1月7日に東京などの都市部で緊急事態を宣言したとき、食べ物や飲み物を提供する場所には、午後8時までに閉めるように促したこと以外には何もしていない。多くは一日約600ドルの支払いを含むサポートをするだけだった。(以下省略)>

(注)この引用部分は、英文をS氏が訳したもので、同書ではデスマス調になっている。しかし、デスマス調は新聞記事には違和感があるので、爺が勝手にデアル調に修正した。

「禅アート」について補足する。海外では日本文化を理解する一つのキーワードは「禅」である。例えば、竜安寺の石庭が「禅アート」の代表格。憲法によって、都市封鎖を実施できない日本の緩いコロナ対応のミステリアスな成功を、WSJは「禅アート」とポジティヴに表現したのである。

日本のマスコミの論調だけを見ていると、「対応が後手に回った」とか政府に厳しい評価だが、S氏は「日本は世界でもっとも自国の人間の命を守り抜いた国です。これは誇ってもいいのではないでしょうか」と、政府の対応に好意的である。

これは新型コロナへの対応に限ることではなく、同書の別の箇所でもS氏は「日本のTVニュースを見ていると、ほぼ毎日、ネガティヴな内容が多いな、と思います」と述べている。

S氏の意見は韓国のTV放送と比較しての話だが、TV放送に限らず日本のマスコミの論調は総じて「権力の監督者」的立場に立っているから、批判的にならざるをえないのだろう。

ともあれ外部から見ると、日本政府の対応は日本のマスコミが批判するほど悪くはない、と考えてよさそうだ。


リニア中央新幹線の静岡県工区

2021-06-16 13:17:15 | メモ帳
品川・名古屋間を40分で結ぶリニア中央新幹線。完成は早くて2027年らしいから爺の存命中には間に合わないだろうし、たとえ間に合っても利用する機会はないだろう、ということで興味がなかった。

しかし、WILL誌 7月号に掲載された「リニアの夢を砕く 川勝平太静岡県知事はズブズブ親中派」(白川司)を読んで、「これは一大事」と思うに至った。

ご存知と思うが、このリニア中央新幹線は神奈川県、山梨県、静岡県、長野県、岐阜県、愛知県を通過するが、静岡県だけには駅がない。そのわけは、地図を見れば一目瞭然だが、問題の地域は山梨県と長野県の間に挟まれた山深い場所だから、駅を作る意味がないこと。言い換えると、静岡県にはこのプロジェクトで得るメリットがないのである。


メリットはないが、デメリットはある。それは川勝知事によれば、“トンネル工事によって大井川の水流が変化する懸念がある“こと。JR東海は“トンネルから出る湧き水はすべて大井川に戻す対策を講じる”と言っており、川勝知事の主張は言いがかりにすぎないように思える。

こうした中、WILL誌に掲載されている記事によれば、川勝知事は中国と非常に親しいという。具体的には、静岡県は中国浙江省と友好都市関係を結んでおり、静岡空港にはコロナ以前は杭州からの直行便が毎日入っていたとか、静岡県の特産物を浙江省で作る計画を進めていたなど、かなり親密な提携関係を構築している。さらに同記事は、経済的関係だけではなく、川勝知事の思想面での中国傾倒ぶりも報じているが、長くなるので省略する。

だが、ここまでは目くじら立てるほどのことではない。この程度の親中派は日本にいくらでもいる。爺が「これは一大事」と思うわけは、中國の浙江省もリニア計画を進めており、もしJR東海よりも先に浙江省のリニア高速鉄道が完成すると、日本は輸出市場で遅れをとることになるからだ。先端技術はもっとも早く完成した国が、輸出市場で圧倒的に有利になることはいうまでもない。

まさか、川勝知事が意図的にJR東海のプロジェクトを妨害することで、浙江省が有利になるように画策していることはないとは思うが、同知事のイチャモンが常軌を逸しているように感じられるだけに、“下司の勘繰り”とは言い切れない部分もある。

川勝知事はこのWILL誌の記事を読んだことだろう。同知事の弁明を聞きたいものである。



元徴用工訴訟:韓国の狂気

2021-06-14 10:26:48 | メモ帳
元徴用工85人が提訴した個人賠償をソウル地裁が棄却した件につき、韓国メディアは「大韓民国裁判官という者の口から出てきたとは信じがたい妄言で、歪んで偏狭な歴史観のレベルを超え、反民族的、反国家的、反人倫的哲学所信を濾過せずに露出した」「日本の言い分そのままだ」などと強く非難した。

今回はこうした韓国メディアの論調について考察したい。

ソウル地裁の判決は<(1)韓日請求権協定で得た外貨は、「漢江の奇跡」に大きな貢献をした。(2)日本を含めて、どこの国も植民地支配の不法性を認めた資料がない。(3)日本と米国との関係毀損につながる恐れがある>を論拠としている。

この内、(1)の<請求権協定で得た外貨は「漢江の奇跡」に大きな貢献をした>に焦点を当てる。

韓国人は、1965年以降の韓国の急速な経済発展は自力でやり遂げた、と学校教育で教えられている。すなわち、韓国は日本から得た請求権資金の存在を歴史から消し去るか、矮小化し、急速な経済発展を自力で実現したと歴史を美化しているのである。

ソウル地裁は事実に基づいて結論を出したが、韓国メディアは美化された歴史しか知らないから、事実に基づくソウル地裁の判決を「日本の主張そのものだ」と非難する。

日本が提供した無償3億ドル、有償2億ドル合計5億ドルという資金は、今でこそ大した金額ではないが、当時としてはとんでもない大金だった。もちろん、日本にとっても大金だが、日本政府には贖罪意識があったことに影響されたと考える。

一方、韓国政府は1966年に「請求権資金の運用及び管理に関する法律」を制定した。この法律の第5条(民間人の対日請求権補償)は次のようになっている。(赤字)

「大韓民国国民が持っている1945年8月15日までの日本国に対する民間請求権は、この法律で定める請求権資金のなかから補償しなければならない」

すなわち、韓国政府は個人請求権が残っていることを認識して、個人が請求してきたら、政府はこの資金を原資にして補償に応じますと明言しているわけだ。

一方、ソウル地裁は、「個人の請求権は消滅したとか、放棄されたとはいえないが、訴訟で権利行使することは制限される」と述べた。この「制限」とは、具体的には日韓基本協定や国の安全保障を意味すると思われる。

言い換えると、原告が被告を日本企業から韓国政府に変え、その根拠を上記の法律に求めた場合、裁判所は認めざるを得ないことになる。元徴用工の弁護士は当然、上記法律の存在を知っているはずだが、知らぬふりをしている。

その理由は、前回指摘したように、元徴用工たちを陰で操る市民団体が反日運動を大義にしているからで、被告が韓国政府では彼らの大義にそぐわないのだろう。元徴用工たちの利益はどうでもいいのである。

そんな中、「反国家、反民族的判決を出した判事の弾劾を要求する」請願が大統領府に寄せられ、その数は28万人にのぼるという(6月12日、産経新聞)。その28万人とは、元徴用工たちの関係者であるはずがなく、なんとかして日本を貶めたいと願う野次馬だと解釈する。しかし、裁判長がその期待に応えてくれなかったことに腹を立てている。

冒頭に述べた韓国メディアの論評も、こうした大衆の意向を忖度したものである。こうなると、まさに狂気の沙汰であり、韓国の悲劇(喜劇?)である。


党首討論雑感

2021-06-11 10:56:39 | メモ帳
6月9日午後4時から開催された党首討論のTV実況を見たので、その感想を述べたい。ただし、爺は自民党支持であり、誰が首相になろうが、常にその応援団の一員であることを自任している。したがって、中庸を得た意見ではないことをまずお断りしておく。

§立民・枝野対菅首相
新聞(読売・産経)には書いてないが、枝野立民党代表は、討論の最後に首相に向かって「政権の座を降りろ」(実際の言葉はこの通りではないと思うが)と言った。しかし、そのような強硬な発言をするからには、それなりの前提条件が必要である。

その前提条件として、枝野氏は次の4点を挙げた。
(1)3月の緊急事態宣言解除が早すぎた
(2)速やかに補正予算案を編成すべきだ
(3)ニュージーランド、オーストラリア、台湾はコロナを抑え込んだ。日本では、五輪の開催を契機にコロナ感染が広がるという事態はおきないのか
(4)国会の会期を延長すべきである

これに対して、首相は(1)(2)(4)についてはまともに答えなかった。
(3)については、「それらの諸国では私権制限を強化した。ところが、御党は私権制限強化に反対ではないか。東京五輪は出来る範囲で、しっかり対策を徹底して開催する」と答えた。

その決論が「首相の退陣」では、いかにも唐突だった。言い換えると、枝野氏はなにがなんでも、このセリフを言いたかったのだろうが、結論に導く前提条件の組立てが十分ではなかったのである。

§志位共産党代表対菅首相
志位氏は「命をリスクに晒してまで、五輪を強行する理由はなにか」と問うたに対し、首相は「国民の生命と安全を守るのは私の責務だ。守れなければやらない」と答えた。

首相の回答は「五輪強行」の理由としては、十分ではなかった。爺としては次のように言ってほしかった。(青字)

五輪開催は、人類がコロナを克服したことを祝う前夜祭になるだろう。世界的にコロナ感染は下降傾向にあり、日本は他国に比べれば、感染者も死亡者も格段に少ない状況を見れば、五輪を断念する理由がない。自粛生活で疲れた国民を五輪開催によって元気づけ、今後期待される経済復活の起爆剤にしたい。ついては、コロナ対策をしっかり整えて、五輪を実施する。万一、五輪開催でコロナ感染が再拡大したら、私は退陣する

朝日新聞は社説で、「(党首討論における)首相の言葉は心に響かない」と批判したが、五輪開催の理由に関するかぎり、朝日の言う通りである。首相は、これから五輪開催まで機会を捉えて、五輪開催の意義を国民の心に響く言葉で語ってほしいものだ。


元徴用工訴訟:日本に有利なソウル地裁の判断

2021-06-09 15:29:52 | メモ帳
元徴用工や遺族が日本企業16社を相手取り損害賠償を求めた訴訟を、ソウル中央地裁が却下した。その詳細は新聞報道に任せて、当ブログはその判断に対する韓国の反応を論じたい。

中央日報の社説の一部を引用する。(赤字)

大法院の判例と交錯する判決が下されたことにより、強制徴用問題を巡る法的攻防はさらに長引くことは間違いない。原告団が控訴して再び大法院の最終結論が出るまでどれだけの時間がさらにかかるのかは分からない。一つ明らかなのは、ひたすら司法府の判断だけを待つことはできない点だ。それは被害者救済の観点からみても、悪化した韓日関係をこのまま放置できないという外交的観点からみても同じだ。・・・政府は今からでも聡明な解決法を作り、日本との協議を経て外交的に解決するために積極的に取り組まなければならない。

ハンギョレ新聞の社説を引用する。(赤字)
韓日関係は改善しなければならない。しかし、植民地支配の不法性を否定し、それにより大きな被害を被った個人の人権を無視しては、韓日関係は未来に進めない。国家主義的で非法律的な論理がちりばめられた今回の判決は、むしろ障害物になるだけだ。法的判断は法理にしたがい厳正に行いつつ、外交的努力も並行するというのが正しい方向だ。政府は最高裁の判決後に「司法府の判決には介入できない」という論理だけを掲げ、被害者が実際に日本の謝罪と賠償を受けられるようにする外交的努力を十分には行わなかったという指摘を謙虚に受け入れ、よりいっそうの積極的な外交によって解決策を設け、韓日関係改善のための実質的な努力を続けていってほしい。

この二紙に共通する主張は、<今後も、韓国政府は日本と協議を重ね、原告に満足がいくような解決案を示すべきだ>である。要するに、日本政府とさらに交渉し、譲歩を引き出せ、というわけだ。

そもそも、元徴用工たちに支払われるべきだった資金が、韓国の経済復興に使われたことが明らかである以上、賠償請求の矛先は日本企業ではなく韓国政府であるべきだ。

しかし、それで元徴用工のバックにいる市民団体は反日の旗印を失い、存在価値がなくなる。彼らにとっては、飯の種が長続きすることが望ましいのではないか。慰安婦問題と同様の構図である。

一方、キム・ヤンホ裁判長の弾劾をも求める請願が、青瓦台(大統領府)の請願掲示板に投稿されたという。<気にくわない判事は追い出せ>では、司法はなきに等しい。

今回のソウル地裁の判断は日本にとって有利だが、だからといって韓国との交渉が有利に展開するようになったとは言えない。日本としては、ここは動かず、動向を注視するだけでいいのではないか。


コロナ禍で変わるライフスタイル

2021-06-07 14:56:24 | メモ帳
今日の読売新聞の一面トップ記事は、「ネットスーパー拡大加速」だった。新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛で、ネットでの買い物需要が高まっており、その消費行動の変化に対応するため大手スーパーが物流拠点を拡充している、という内容である。

確かに、拙宅でもスーパーに買い物に行く代わりに、食品類を生協などにネットで注文し配送してもらうケースが増えた。これはどこの家庭でも同様だろう。

書籍購入のスタイルも変わった。湯河原にも書店はあるが、置いてある商品はマンガ本、文庫本、雑誌が主体で、爺が読みたい書籍はほぼ置いてない。だから、コロナ前は小田原に行った時に書店で買い求めていた。しかし、最近は新聞広告を見て読みたい書籍を探し、それをネットで注文するようになった。

とこるが自宅に配送してもらうと、その時間に在宅しなくてはならない。これは気苦労だから別の方法がないかと思っていたところ、コンビで書籍を受け取れることを知った。これなら到着通知を受け取ってから、1週間以内に受け取ればいい。運賃を上乗せされることもなく、定価で買える。

ということは、書店の販売手数料をネット通販(爺の場合、オムニ7)とコンビニが取るわけだ。書店には同情するが、時代の流れでやむをえない。

コロナ禍で変化したことは数多くある。コロナ以前は、爺も暇つぶしがてら、時には持ち株企業の株主総会に出席してお土産をもらっていた。だが、今年は企業側は株主に総会に出席せず、ネットで参加するよう要請している。お土産はなくなったが、電車に乗らないですむから、コロナの心配がない。議決権行使も、スマホでできる。

銀行にもわざわざ足を運ぶことがなくなった。証券会社も同様であり、営業担当者の個人的資質・努力は営業成績と無関係になる。余計な心配だが、上司は個人の成績をどう査定するのだろうか。

爺のブログ投稿頻度も増えた。在宅時間が増えためである(笑)。

コロナが収まっても、元通りにならないことは多いだろう。IT化の進展と相俟って、人と人のつながりが減り、無機質な世の中になることは確かである。これまでは、人間社会は人と人の絆で形成されてきたが、将来はどんな社会になるのか。想像するだけでも恐ろしくなる。






新型コロナの脅威はこれまでのインフルエンザと変わりなし

2021-06-05 16:56:55 | メモ帳
「コロナ論3」(扶桑社刊 小林よしのり著)は、新型コロナに関する多数派の意見に真っ向から挑戦する異色の著作である。本書の主張をかいつまんでご紹介する。(青字)

新型コロナ(以下新コロ)とインフルエンザ(以下、インフル)を較べると、新コロの脅威はインフル並みかそれ以下である。

具体的には、
(1)新コロの死亡者4,379人(2020/1/16~2021/1/15)に対して、2019年におけるインフルの死亡者3,571人。ただし、ほかの病気に罹っていた人がインフルを併発して死亡する間接死も含めるとインフル絡みの死亡者はおよそ1万人。

2)新コロの感染者313,844人(2020/1/16~2021/1/15)に対して、インフルの感染者は年間700万人から1,000万人。

人類は自然の力(ウィルス)と共生しなくてはならないのだ。ウィルスを絶滅させることは不可能である。ウィルスを拒否するのでなく、感染して免疫力を鍛えねばならない。むしろ、われわれ無意識にウィルスに感染し、共生しているのかも知れない。

インフル感染者が激減しているが、これは「ウィルス干渉」(ウィルスAが占領した生物の細胞は、他のウィルスBが入り込めないこと)が起きているためである。「感染対策が行き渡ったからだ」とか「新コロはインフルよりも強力だから怖い」という専門家がいるが、それは誤り。

2019年から2020年初め、中國から多数の観光客が訪れ、3月8日までは入国が自由だった。また同じ頃、多数の日本人が中国から帰国した。その時、弱毒性の新コロに感染し、感染に無自覚だった人が1千万~2千万人いたはずだ。これが免疫性を高め、その後入ってきた強毒株に有効に作用した。一方、欧米や南半球諸国では最初から強毒株が入ってきたので、被害が大きかった。

新コロは指定感染症の2類相当にしたために、指定医療機関しか診療できず、医療逼迫が起きた。インフル並みの5類感染症にしておけば、町医者でも診療できるから、医療逼迫は発生しなかった。

マスクはウィルス防止には役に立たない。不織布のマスクでも、ウィルスは通り抜ける。

マスコミは「専門家」とともに、新コロの恐怖を煽りまくる。だから、若年層は精神的に圧迫され、鬱病になる。生活困窮者が増え、自殺者も増える。

マスコミが視聴率を上げるために、または購読者を増やすために、大衆を煽り、歪んだ空気を作る。そして、政治家がポピュリズムに流される。

マスコミが報じる感染者数は、PCR検査の新規陽性者にすぎない。正確な感者数は誰にもわからない。

新コロ問題の争点は、ウィルス抹殺と人間らしい生活のバランスだが、現在の政府の政策は前者を優先して実行すれば、後者が実現できる、という考え方である。そして、マスコミの論調も同じである。

これに対して、「小林よしのり説」は新コロの脅威はこれまでのインフルと同じ程度かむしろそれ以下だから、ジタバタ騒ぐのは愚の骨頂。新コロ問題を感染症撲滅というタコ壺的視野でなく、社会科学全般という広い視野から考察しようと説く。

「小林よしのり」説は少数派だが、「コロナ自粛の大罪」(宝島新書 鳥集徹著)に登場する7人の学者たちの意見を総合すると、小林氏の主張とほぼ同じである。

頑固爺は感染症の専門家ではないし、社会科学の専門家でもないから、どちらが正しいかわからない。それでも、「小林よしのり」説には一理あると感じている。





慰安婦問題:日韓ゴールポスト論争

2021-06-03 13:17:14 | メモ帳
6月1日の産経新聞記事を引用する。(赤字)

茂木敏光外相は31日の参院決算委員会で、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意前後の韓国政府の姿勢を念頭に「率直に申し上げて、韓国によって(問題解決の)ゴールポストが常に動かされる状況がある」と述べた。自民党有村治子氏への答弁。

加藤勝信官房長官は、4月27日に政府が閣議決定した答弁書で慰安婦が強制連行されたとの見方が広がった原因について「虚偽の事実が大手新聞社により事実であるかのように大きく報道されたことがある」としたことに関し、「大手新聞社は朝日新聞社だ」と指摘した。

その上で、「朝日新聞が報じていた吉田氏の証言により、あたかも強制連行があったような事実に反する認識が韓国をはじめ国際社会に広まったことは、極めて問題だと考えている」と述べた。

この記事に対して、ソウル連合ニュースは概略、次のように報じた。(青字)

韓国外交部の当事者は、「これまでゴールポストを動かしてきたのは2015年の慰安婦合意や1993年の河野談話などで自ら表明した責任の痛感や謝罪・反省の精神に逆行する行動をした日本側」と反論した。

また「日本側は正しい歴史認識なしには慰安婦問題が決して解決されないことを認め、慰安婦問題の歴史的事実を謙虚に認めて反省しなければならない」と指摘した。

さらに、「慰安婦の動員・募集・移送の強制性は否定できない歴史的事実」とし、「被害者の生の証言こそ旧日本軍による慰安婦動員の強制性を立証するどのような文書よりも強力で明らかな証拠であり、日本自らも認めたことがあり、国際社会でもすでに明確に判定した事実」と強調した。

この韓国の反論は論理性に欠ける。以下にその理由を述べる。

2015年の日韓合意は、日本が韓国の主張を受け入れ、補償金を支払うことで終止符を打った。(歴史的事実に反するが、論争してもきりがないし、当時のオバマ政権の圧力もあって、当時の安倍首相が国際政治を優先させたものである)

ところが、韓国の反論は、「日本は過去の事実を謙虚に受け止めるべきだ」などと、日韓合意以前の論争を蒸し返している。

また、「自ら表明した責任の痛感や謝罪・反省の精神に逆行する行動をした日本側」という反論は何を意味するのか。日韓合意以後、慰安婦問題に関する限り、日本はなにも行動していない。一方、韓国では慰安婦が日本政府を相手取って提訴するという行動を起こした(この提訴は韓国の裁判所が、主権免除により却下した)。・・・これが茂木外相の言うところのゴールポストの移動だと解釈する。

この論争において、日本の外務大臣や官房長官の発言に対しては、韓国はそれなりのカウンターパート(例えば、外交部長官)が反論するべきだが、韓国は外交部当局者なる曖昧な立場の人物がコメントした。これは反論の余地がなかったからではなかろうか。

蛇足だが、韓国は朝日新聞による誤報には触れていない。ことによると、この件は韓国の新聞が報道しなかった可能性もある。


韓国、東京五輪をボイコット?

2021-06-01 16:18:20 | メモ帳
東京オリンピック組織委員会がホームページに掲載しているトーチリレーの行程を示す地図に竹島が表示されていることで、韓国の丁世均(チョン・セギョン)前首相と李洛淵(イ・ナギョン)元首相が東京オリンピックのボイコットを主張している。

その地図とは、組織委員会のHPに掲載されているトーチリレーの順番が示された行程図である。各県が番号入りで掲載され、島根県のはるか沖合に竹島が小さい点で示されている。

中央日報(5月31日)の記事を部分的に引用する(赤字)。

丁前首相は30日、フェイスブックに「日本の五輪地図の独島表記は大韓民国に対する日本の明白な政治的挑発」とし「私は大韓民国の主権と自負心が毀損される東京五輪の参加に反対する」と書いた。
・・・
李洛淵(イ・ナギョン)前首相も27日、フェイスブックに「独島はわが領土だ。日本政府に独島表記を直ちに削除することを強く促す」として「日本が最後まで拒否するなら、政府は『五輪ボイコット』など可能なすべての手段を動員して断固として対処しなければならない」と主張した。

この両氏は来年の大統領選挙の候補者であり、そのボイコット発言は「選挙用」という批判もある。いうまでもなく、韓国では日本を強く罵るほど支持率が上る、という事情があるからである。

「共感と論争政策センター」のチャン・ソンチョル所長は「反日刺激は与党にとって実際に効果があったし、今回もあるだろうと考える」としながらも「だからといって、韓日外交の複雑性を誰よりもよく分かっている前職首相までボイコットを簡単に口にするのは見栄えが良くない」と指摘した。

国民大学のベ・ギュハン教授(社会学)も「個人的にも日本の独島表記を見て怒りを感じたし、多数の国民もそうだろう」とし、「だが、大統領選挙候補らがそのような怒りに頼って支持率を上げようとするのは残念だ」と話した。

さて、2018年に韓国の平昌で開催された冬季オリンピックの際、五輪公式ウェブサイトと報道配布資料で使用された地図の地名表記において、竹島が韓国領「独島」と記載されていることに関して、日本の外務省から是正要請が出され、IOCの勧告により、韓国が撤回したという事実がある。

オリンピックの政治利用は禁止されているから、その時の韓国の措置は正しかった。だからこそ韓国では、“平昌オリンピックの例に倣って、日本は韓国の要求に応じるべきだ”という主張が出てくるのだろう。

平昌オリンピックの時は、独島(竹島)が誰が見て争点だとわかるほど、あからさまに表示していたが、今回の日本のケースは、関心がない人なら気づかない程度のものであることが異なる。そして、平昌の時は、開催の1年前から日本の外務省が抗議したが、今回はボイコット論が持ち上がったのは僅か3ヶ月前、と言う事情がある。

現実論として、韓国が国際社会でボイコットを唱えても、追従する国は皆無だろうから、韓国は面目を失うだけに終わる可能性が強い。一方、今のところ選手団はボイコット論に沈黙している。

日本のマスコミは、この韓国におけるボイコット論争を報じていないが、日本ではオリンピックそのものの開催の可否で国論が二分されている感があり、今は韓国どころではないということだろう(笑)。