頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

調査捕鯨はやめるべし

2016-08-24 14:45:42 | メモ帳

調査捕鯨を実施している日本鯨類研究所がシーシェパード(SS)に和解金を支払うことで、SSが今後日本の調査捕鯨を妨害しないことに合意した(読売新聞 2016年8月24日)。そしてその和解金は、2012年に米国裁判所がSSに対し南極海での日本の調査船に対する妨害行為をやめるよう命令したのにもかかわらず、SSが従わなかったことで法廷侮辱罪として課した3億円の賠償金の一部の払い戻しだという。

要するに、SSはカネに目が眩んで主義主張を撤回したのである。SSの主張はその程度のものだったのか。

それはともかくとして、日本は南極海における調査捕鯨をやめるべきだ。日本の農林水産省は調査捕鯨を正当化する理屈をいろいろ並べているが、この問題は理屈では推し量れない情緒的なものである。鯨を食べるのは日本の伝統的食文化だと言い張っても、南極海まで出かけていくこととは相容れない。

19世紀までは欧米諸国や豪州は盛んに鯨を獲っていたが、20世紀以降、価値観の大転換があって、捕鯨反対が国際的価値観になった。その大転換は、ホエールウォッチングが観光化し、鯨に親しみを感じるようになって、鯨を食べるのは野蛮であるという感情が生まれたことによる。犬を食べるのは野蛮だという主張と同じことだ。いくら理屈を言いたてたところで、情緒的主張には勝てない。

日本が調査捕鯨をやめれば、SSは消え去るのみ。そうなれば、和解金など必要なくなる。「日本人は鯨を捕るから野蛮だ」と言う理不尽な言い掛かりもなくなる。

 


オリンピック雑感

2016-08-22 11:03:59 | メモ帳

●日本選手が獲得した41個のメダルはそれぞれ価値があるが、その中でどのメダルがもっとも印象的だったかということでは、男子4百メートルリレーの銀を選ぶ。短距離競争は、日本人が先天的に身体能力で劣っている以上、永久に勝つチャンスはないと見ていた。それを団結力と工夫で克服した。他国にはできない離れ業だ。あっぱれ!

●日本のTV報道の特徴は、ドラマ性に富んでいること。両親やら実家のおばぁちゃんとか同級生が登場して、雰囲気を盛り上げる。それはそれでいいのだが、メダルを獲得したにもかかわらず、ドラマにしてもらえない選手はどんな気持ちだろうかと心配してしまう。不公平ではないか。

 私は米国に住んでいた時、何回もオリンピックのTV放送を見たが、日本の様なドラマ性がないから、あまり面白くなかった。獲得するメダルの数が多いから、いちいち選手の個人的話題を追う時間的余裕がないこともあるだろう。

 日本も獲得メダル数がもっと多くなると、ドラマに仕立てる余裕がなくなるのではないか。

●ブラジルでは開催時期が冬だったからいいが、日本では猛暑の時期になる。選手や応援する人たちの健康状態が気になる。マラソンとか競歩などの野外競技は夜間に開催したどうだろう。


村上海賊の娘

2016-08-15 08:51:49 | メモ帳

私は新刊書を購入するとき、ベストセラーかどうかを判断の一つにしている。そうして購入したのが「村上海賊の娘」1-4巻である。

「登場人物の紹介」欄を見ると、主人公の村上景(きょう)は「悍婦にして醜女(しこめ)」とある。その時の所感は「えっ、ブスが主人公? そんな小説など読みたくもない。つまらん本を買ってしまった」だった。

しかし、読み進むうちに、そうではないことがわかった。景は180センチもある大女で、鼻が高く、眼が巨大で、唇が分厚とあり、当時の価値観では醜女だが、欧米的価値観では美女である。身体的能力にも優れている。その女性が大暴れする痛快な物語なのである。

そして、海賊というテーマは時代小説の背景としては非常に珍しく、新鮮だ。特に、第4巻後半の海賊同士の海戦と、景と敵方海賊の頭目との一騎打ちの場面は手に汗を握る感がある。

この小説は映画化に適していると思うが、女優の人選に困るという難点がある。ハリウッドにはこのようなキャラクターの女優がいるが、日本では思いつかない。それに、海戦場面で必要になる何百艘という木製の小舟をどう集めるのか。

映画化は期待するものの、実現は難しいだろう。

 


お笑い:中国の国旗

2016-08-09 15:17:39 | メモ帳

本日たまたまネットでAFPBB News を見ていたら、「リオ五輪会場で使用された中国の国旗にデザインのミスがあり、中国政府は五輪組織委員会に抗議した」という記事を見つけた。

中国の五星紅旗には、紅い地色に黄色で大きな星が一つと小さな星が四つ描かれており、小さな星(一般大衆)は大きな星(中国政府)の中心を向いていなくてはならない。ところが、リオの五輪会場で使用された国旗はそのようになっていなかったために、中国政府はブラジル側に抗議した、という経緯である。

私は、中国の国旗の黄色い星にそんな意味があるとはついぞ知らなかったし、「他国が国旗を作ると、その程度のミスは起きそうだな」と感じた。ところが、その記事の最後に「五輪組織委員会はすべての国の国旗を中国の業者にまとめて発注した」とあるのを読んで大笑い。落語で言うなら「落ち」である。

朝スマホでチラッとこの記事を産経ニュースで読んだ時は、写真が小さくて旗のデザインを確認できなかったので、後刻パソコンから再度この記事を見るつもりだった。ところが、午後になってパソコンから見た産経ニュースにはこの記事がない。産経ニュースはこの記事を削除したのか。

いろいろ探して、これまで開けたこともないAFPBB Newsに同じような記事があるのを見つけたが、「落ち」の部分がない。やむをえず、冒頭に出所はAFPBB Newsと記述したが、「落ち」の部分の出所はAFPBBではないことをお断りしておく。

朝、見たニュースには「落ち」の部分が確かにあったのだが…。

 


乃木希典将軍の評価

2016-08-03 15:37:18 | メモ帳

数カ月前、司馬遼太郎の「坂の上の雲」1-6巻を再読した。数十年前にもベストセラーだった同書を興味本位に読んだが、この度の再読は「なぜ日本は朝鮮を植民地にしなくてはならなかったのか」を知ることが目的だった。朝鮮問題はともかくとして、再読で強く印象に残ったことは、乃木希典将軍がまるきりの阿呆と評価されていること。

私が軍国小学生だった頃、乃木将軍と言えば、日露戦争においてロシア軍が立てこもる旅順要塞を陥落させた国民的英雄で、明治天皇に夫妻で殉死し、乃木神社の祭神になった現人神(あらひとがみ)、とう認識だった。それが「坂の上」では、要塞の中から機関銃を打ちまくるロシア軍に対し、何度も何度も肉弾攻撃を繰り返し、数千人を死なせる結果を招いた愚将、という評価である。正直申して、私は‘なるほど、そういう観方もあるのか’と驚きつつも納得した。

ところが、つい最近読んだ「乃木希典と日露戦争の真実」(桑原獄著 PHP新書 2016年7月刊)では、乃木将軍の戦術は正しかった、と評価し「坂の上」とは真逆である。副題は≪司馬遼太郎の誤りを正す≫であり、司馬遼太郎の記述がいかに独断と偏見に満ちていたかが軍事専門家の視点で詳しく説明されていて、説得力がある。私は‘えっ、そうだったの?’とまたびっくり(主体性がないねぇ)。

著者の桑原氏がどんな人物かというと、昭和14年に陸軍士官学校を卒業、中国各地で実戦を経験、昭和19年に陸軍中野学校を卒業後、インドでインド国民軍に参加、戦後陸上自衛隊に勤務したというバリバリの軍事専門家。退官後中央乃木会(乃木神社の崇敬団体)に勤務し、「坂の上」等の司馬氏の著作があまりにも真実からかけ離れていることに憤慨し、司馬氏の乃木像に反論する論考を中央乃木会の機関誌に発表(昭和60年前後)。その論考を中央乃木会が出版し、それがこの度新書版として復刊されたといわけだ。

司馬説と桑原説を比較すると、信憑性に関しては桑原説の方が正しいことは確かである。しかし、桑原氏は乃木将軍の人命軽視戦術を肯定している。時代とともに価値観は変化するとはいえ、情緒的には「何千人もムダに死なせた」と乃木将軍を批判する司馬説を全面的に退ける気にはなれないのである。