頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

古代の大都会、敦賀

2016-12-30 16:15:03 | メモ帳

これも「古代史の謎は海路で解ける」からの話題である。

私はかねてより「武烈天皇崩御のあと後継者がいなかったため、敦賀にいた応神天皇5世の子孫である男大迹王(をほどのおおきみ)が請われて第26代の継体天皇(在位推定507-531年)になった」という記紀に記された史実に違和感を持っていた。その違和感とは、5世の子孫ならほとんど他人であり、朝廷から生活費が支給されていなかったはずだから、敦賀のような田舎でどのようにして生計を立てていたのかという疑問である。

「古代史の謎は海路で解ける」によれば、応神天皇の時代に秦氏などの朝鮮半島からの移住者が若狭・敦賀地区に増えたが、受け入れたのは敦賀港の主にして鉄鋼企業の主でもあった応神帝であった。敦賀の気比神宮はじめ多くの神社が若狭湾沿岸にあるが、すべて応神帝を祀ったもの。しかし、記紀には応神帝の敦賀周辺における事跡が記されていない。おそらく大和朝廷が近畿(河内)から始まったとする系譜に組み立てたかったためだろう。

応神帝から事業基盤を引き継いだ継体帝は、さらに船を荷物を載せたまま敦賀から琵琶湖まで運ぶシステムを作り上げた。枕木に油を塗って船を滑らせ、さらに百済から連れてきた馬に曳かせて、山越えした*。琵琶湖を渡れば、あとは難波まで淀川がある。継体帝は鉄鋼企業兼総合物流企業のオーナーだったのである。

敦賀は古代における日本の交易・物流の中心地だったことを知って、継体帝がなぜ敦賀に住んでいたのか、合点がいった。また、応神帝から事業を引き継いだという縁があったことも、次の帝に選ばれた理由ではなかろうか(これは私の想像)。

*各地に船越という地名が残っているが、それは船を山越えさせた名残りである。

 


神武東征はありえない?!

2016-12-26 16:06:40 | メモ帳

「古代史の謎は『海路』で解ける」(長野正孝著 PHP新書 2015年1月刊行)は古代史ファンにとって非常に面白い。中でも私が最も興味深く読んだ部分を紹介する。

古事記・日本書紀(記紀)によれば、神武天皇は日向から何年もかけて図のようなルートを辿って大和に到着したことになっている。

ところが、長野氏は雄略天皇(5世紀)の時代までは、日本に存在したのは手漕ぎの刳り舟(丸木舟)であって、それでは瀬戸内海を渡れないと主張する。すなわち、

(1)瀬戸内海は穏やかな海のように見えるが、潮流の流れが速い。その速度は人間が漕ぐ速度の何倍もあり、潮に逆らって進むことはできない。手漕ぎ舟ではせいぜい時速4-5キロだが、潮流の速度は関門海峡で時速17キロ、明石海峡で12キロである。

 (2)何日もかけての旅だから、途中で水や食料を補給する必要があるし、荒天ならば陸地で待たなければならない。しかし、当時はそのような施設つまり港は瀬戸内海には存在しなかった。

 (3)陸地に近づけば沿岸の住民から攻撃されるし、沿岸には岩礁もあり、水先案内人が必要である。

記紀には神武の一行の人数に関する記述はないが、近畿に到着してから、ニギハヤヒの命と戦ったとあり、神武の軍勢は少なくとも数百人はいたであろう。そんな多人数で(1)(2)(3)の難題を解決することはできない。

したがって、神武東征は四―五世紀の出来事ということになり、それでは神武天皇の存在そのものが疑問になる(とまでは長野氏は言っていないが)。

記紀の編纂者(八世紀)は瀬戸内海の航路が整備されたのちの姿しか知らなかったために、現実にはありえないストーリーを創作したのである。

では瀬戸内海の海路は誰がいつ開発したのか。長野氏は、その人物は雄略天皇で吉備の乱(463年)の時に、その地域の地方勢力を制圧してからだと推測している。古事記によれば、神武天皇は安芸の国で7年、吉備の国で8年過ごしたとあり、長野氏は海路開発にはその位の時間がかかるから、日本書紀を編纂した舎人親王はその故事を神武天皇に重ね合わせたと推測している。

しかし、それでは雄略天皇以前の各天皇はどうやって九州から大和に移住したのかという疑問が生じて、わけがわからなくなる。長野説はそれ自体に矛盾があるのではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


再び運転免許返納

2016-12-25 13:41:41 | メモ帳

丁度1年前、運転免許返納者にタクシー料金が1割引になると書いたが、後日ネットで調べて、その制度は熱海市とか千葉市などの特定地域のタクシーだけであることを知った。曖昧な情報を流したと反省している。

その代わり、東京都や神奈川県含め、それぞれの自治体では飲食店など特定の商業施設での割引制度がある。興味ある方は、≪運転免許返納≫で検索していただきたい。

熱海の割引に話を戻す。熱海にはタクシー会社が2社あり、その一社の運転手に聞いたところでは、割引の原資は会社負担ではなく個人負担だという。そうと知ったら、運転手に申し訳ないので、免許返納割引を言いだせなくなった。

さて、高齢者による車の事故が頻発しており、今後さらに増えるだろう。免許返納を促進することで、多少は事故を未然に防ぐだろうから、免許返納によるメリットをもっと拡充・一般化して高齢者に告知すべきである。ただし、免許返納に対する割引の原資を企業による協力だけに頼っていては限界がある。公的補助に切り替えることはできないだろうか。

 

 


富士山を愛でる

2016-12-22 15:24:13 | メモ帳

冠雪した富士山を近場で眺めようと、河口湖に行くことにした。そして、湖面越しの富士山を愛でようと、地図とネットで念入りに調べて選んだのがKukunaホテル。現地に着いてみると、想像していた通りの壮大な景観で感動した。言葉で説明するより、写真をご覧いただきたい。

白雪が逆さに煌めく河口湖

太陽が沈むとき、中腹に光線の筋ができた。

朝6時半ごろ、にわかに水面に湯気が立ち始め、見る見る湖面を覆った。

陽光に輝く山頂

ところで、富士山周辺は海外からの観光客が多いとは聞いていたが、実際に訪れてみてアジア観光客が多いことに驚いた。河口湖駅から出発する観光バスに乗ったら、日本人は家内と私だけ。最初のバスには座席がなく次のバスに乗ったが、このバスもやはり満員になり、十人ぐらいは吊革につかまっていた。こんなに多くの外国人が富士山を目的にやってくるのは日本人として誇らしく、かれらが旅をエンジョイしてくれることを願う。

河口湖駅バス発着場の賑わい

さて、ホテルの大浴場での出来事を記しておきたい。午後4時ごろ、誰もいない大浴場の浴槽から壮大な富士山の景観をたっぷりと楽しみ、洗い場で体を洗ったあと浴漕に戻ったら、数人が浴槽に入っていた。洗い場と浴槽は分かれており、私が洗い場にいた間にはだれも洗い場に入ってこなかったから、この人たちはドアから浴槽に直行したことになる。

日本人ならまず洗い場で体を清めてから浴槽に入るから、この人たちは外国人に違いない。日本式マナーを知らないのはやむをえないが、こういう事態は当然予測できるはずで、ホテル側がチェックインの時に説明しておくべきである。こうした簡単なことを怠っていると、日本人客を失う結果になる。ホテルのためにも善処を期待する。


伊豆熱川の超格安物件

2016-12-17 10:29:08 | メモ帳

東伊豆のほぼ中央に位置する熱川温泉。その駅は急な斜面の中腹にあり、さらにその上にあるいくつかのリゾート・マンションは温泉街と大海原を見おろす景観がウリ。いずれもバブル崩壊前後に建てられたもので、温泉大浴場がある典型的大型リゾート・マンションである。なかでもエリーゼ熱川(175戸)は部屋のサイズが小さいものでも99.9m2あり、標準的マンションより格段に広い。露天風呂や屋外プール、サウナ、ジムもあり、ロビーも広々してバブル期の高揚感を物語る。

このマンションの売り物件をHOME’Sから検索すると、11件の売り物が見つかる。そして、その中に108m2で280万円という物件が…! いくら築後26年で古いとはいえこれは超格安だ。そのほかにも500万円台の格安物件がいくつもある。その一方で99.9m2で1,400万円というリーズナブルな価格の物件もある。端的に言って、このマンション全体の相場が乱れている。(この問題は3年ほど前に取り上げたが、事態は悪化したようだ)

なぜこういう事態になったのか。その訳は管理費・修繕積立金(管理費等)が最低でも月間62,000円と高いから。温泉大浴場の管理に多額の費用がかかるのである。固定資産税を加えたら、年間80万円以上の出費になるだろう。

問題点は、このマンションが所有者の世代交代の時期になっていること。購入者から遺産相続した子どもがこのマンションを利用すればいいが、現役だったら年間せいぜい数回訪れるのが関の山だろう。経済性を考えれば、出来るだけ早く処分して出費を食い止めたいと思うに違いない。これが格安物件がでてくる背景である。

高い管理費等がマンションの価格を押し下げているのは熱川だけではない。熱海から伊東・伊豆高原に至る海岸地域、箱根、新潟県苗場(69m2が100万円!)など、日本全国至る所で起きている。

それだったら採算的には会員制リゾートの方が、多額の入会金(例えば5百万円)を払っても、得だと考えるのは当然である。実際に、会員制リゾートの東急ハーヴェスト熱海は連日満室の盛況で、予約もとれないこともある(私は会員ではないが、知人から時折宿泊券をもらって泊まっている)。

そもそも、戸建ての別荘にせよリゾート・マンションにせよ、温泉付きであろうとなかろうと、別宅は所有すること自体に価値(満足感)がある。富裕層なら採算を考える必要がないが、一般庶民にとってはバカバカしい。そして、いわゆる「失われた二十年」は所有することに満足感を覚える層を大幅に減らしたのではなかろうか。リゾート・マンションの値崩れの根底には価値観の変化がある。

 


IR(統合型リゾート)の賛否

2016-12-11 13:27:21 | メモ帳

私は以前ロサンゼルスに住んでいたので、度々ラスベガス (LV)を訪れた。業界のコンヴェンション*で行ったこともある。宿泊日数にして合計20日以上になるだろう。しかし、博打は一度だけルーレットで数百ドル損してからはやったことがない。何度も行ったのは博打が目的ではなく、ほかに楽しいことがあるからだ。

街中がディズニーランドのようなもので、見どころは沢山あり、歩くだけで楽しめる。夜はショウを見に行ったり、高級レストランでの食事を楽しんだり。そして昼間はゴルフしたり、プールで泳いだり。LVは夫婦や子供連れで来るヴァケーション地なのである。

だから、最近のIR談義での依存症懸念とか治安悪化などの否定的論点については、考え過ぎだと思う。

パチンコ店は自宅のすぐ近くにあるから、やみつきになる人もいるのだろうが、カジノは自宅から離れているから、博打依存症になることはありえない。それでもやみつきになる人が出る可能性はないとは言わぬが、それは個人責任であり、そこまで行政が心配してやる必要はない。

博打場だと思うから、ヤクザが出没するだろうと短絡的に懸念するのだろうが、LVを見ればそんな懸念は噴飯ものだということが分るはずだ。LVのカジノホテルの経営者にはマフィアもいると聞いているが、治安が悪ければ人が集まらないから、経営が成り立たない。むしろ、経営者自身が治安維持に腐心していると思う。

要するに、IRの基本コンセプトは人を楽しませる仕組みである。カジノに重点を置くIRは集客できず失敗すると思うから私は反対だが、LV的総合娯楽施設を作るのであれば賛成である。

*コンヴェンションとは、日頃電話やメールでコミュニケートしている遠隔地の取引先と、年に一度会って親睦を図る各業界の集まりのこと。ラスベガスだけでなく、ニューヨーク、サンフランシスコ、マイアミ、ニューオルリーンズなどの観光大都市で開催される。

 


市場価値が半減した土地

2016-12-05 16:36:57 | メモ帳

本文に入る前に、予備知識として≪セットバック≫について説明する。

建築基準法により、道路は幅員が4メートル以上でなければならない(6メートルの場所もあるが)。しかし、法律制定前から存在していた建物は道路の中心線から2メートル以内であるケースもあり、建て替えする時に中心線から2メートルまで後退しなくてはならない。これがセットバックである。

さて、私の友人Aさんの話。

が所有している貸アパートは、車道から直角に曲がった小道(無主地)を50メートルほど入ったところにあります。その小道の片側は住宅、もう片方は畑で、幅は約2メートルです。この貸アパートは条例により建て替えができなくなりました。

というわけは、“幅4メートル以下の小道から入ったところにある建物は、床面積が100平米以下でなくてはならない”という法律が10年ほど前にできたからなんです。私の土地の面積は500平米以上あるんですが、そこに床面積100平米以下の建物しか建てられないのでは、アパートは到底無理で、一戸建ての家しか建てられません。したがって、私の土地は半分しか使えないということになります。言い換えると、土地の実際の価値は二分の一ということになります。

一方、固定資産税の評価額は路線価からかなり減額されてはいますが、それは既存の補正条項が適用されているだけで、現実的な土地の価値が半分しかないというマイナス要素はまったく考慮されていません。私のアパートは築後20年を超えましたが、まだ建て替えは必要ないので、価値半減は差し迫った問題ではありません。しかし、世の中には早急に建て替えが必要な人もいるはずで、市場価値が半分になったにもかかわらず、100%の評価額で固定資産税や相続税を支払う羽目になっているのではないでしょうか。

この問題は固定資産税もさることながら、相続税にはもっと重大な影響をおよぼす。例えば、市場価値が3千万円しかないにもかかわらず、課税評価額は6千万円になる事態が生じ、相続税額にして数百万円の差が生じる。

幅が2メートル以下の小道を入ったところにある物件は無数にあるはずで、そこには100平米以上の建物は建てられない(つまり集合住宅は建てられない)という条例は、災害発生時の避難路確保が目的だろう。狙いはわかるが、小道に面した土地の固定資産税・相続税の評価に不公平が生じているのは、都市計画担当者と税制担当者の縦割り組織の弊害と思われる。地方自治体は評価額の減額補正のルールを再検討すべきである。

 

 

 

 


石油減産合意で下げた株銘柄

2016-12-03 10:33:49 | メモ帳

12月1日、OPECが石油減産に合意したことを好感して、日経平均株価は前日比200円ほど上げた。それまでも円安傾向になっていたこともあり、輸出関連株の上昇が目立った。トヨタ然り、日産然りである。

ところが、私が円安を狙って仕込んでおいたブリヂストンは、4,367円(11月30日)から4,287円になり、翌日も下げて4,220円になった。約3%の下落率である。上がると見込んだものが下がったショックは大きい。

自動車にはタイヤが欠かせない。それなら、車の株価が上がればタイヤの株価も上がるはずだが…。株式投資家は精神分裂症なのか。

深読みすれば、原油価格とゴムの価格は連動すると考え、原料価格の上昇がタイヤメーカーの採算を悪化させると予想したのだろうか。それならば、タイヤメーカーは値上げするはずで、結局は車のコストに跳ね返る。

原油価格が上昇すれば、あらゆる資源の相場が上昇し、鉄鋼価格も上るから、車のコストに悪影響がでる。

にやはり、投資家は不思議な考えをする人種と思わざるをえない。「だから株は面白のだ」と思えば諦めがつくが...。