頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

近場の豪華リゾート、ヒルトン小田原

2015-05-26 16:35:24 | メモ帳

東京から小田原まで新幹線で僅か34分。そこから送迎バスで20分。ヒルトン小田原リゾート&スパまで1時間もかからない。旅行気分を味わう暇もないくらいだ。相模湾を見下ろす部屋からの眺めはまさに絶景。海に突き出た陸地は真鶴半島である。写真のオリジナルでは、真鶴半島の右上にかすかに熱海の沖合にある初島が写っているのだが、縮小したら見えなくなったのは残念。

小田原には温泉がないはずだが、なぜか、ここには温泉大浴場がある。湯にぬめりがあり、かすかに塩分がある本格的温泉だ。

広大な敷地にいろいろなスポーツ施設があり、散策路を隅々まで歩くと30分以上かかる。宿泊料金は近くの湯河原・熱海の温泉旅館よりも多少高いが、それでもこんな料金で採算がとれるのだろうかという疑問がわいてくる。

ネットで調べると、やはりカラクリがあった。総工費に445億円かけていながら、いろいろな経緯があって小田原市が8億円で購入し、運営をヒルトンに任せているということらしい。

端的に言えば、400億円余の税金が無駄使いされたわけだが、今さらその無駄使いを批判しても仕方がない。割安料金で贅沢な気分にひたれることで、よしとしよう。

 

 

 


機械式駐車装置、更新の損益計算   前篇

2015-05-11 11:30:03 | メモ帳

マンションは人口密度が高い地域、つまり地価が高い地域に作られるから(リゾートタイプは別)、土地の有効利用という観点から機械式駐車装置(「駐車場」)が設置されることが多い。「駐車場」が老朽化したらパレットを取り替えればいいが(注)、そのコストは1台当たり100~150万円(「マンション管理&修繕、全ガイド」ダイヤモンド社)。「駐車場」の収容数が25台の場合だと2,500-3,750万円という巨額の資金が必要だが、最初からその資金需要を想定して積み立てている管理組合は少ないのではないか。ではその資金をどう手当てしたらいいのか。そもそも、「駐車場」を更新すべきなのか。

(注)「駐車場」の寿命は25年前後(法定耐用年数は15年)。

(1)「駐車場」の保守点検費

「駐車場」の運営コストの内でもっとも重要な費目は保守点検費(「保守費」)であり、マンション分譲時に管理会社が定める。通常、これは管理費の中にある定額委託業務費(管理組合と管理会社が毎年契約を更新する)に含まれており、外部に公表されることはない。したがって、「保守費」に関する情報量は極めて少ない。

刊行物としてはダイヤモンド社が発行する「マンション修理&修繕、全ガイド」に「目安」として記載されたものだけ(下の表)。ダイヤモンド社にその「目安」の情報源を問い合わせたが、広範囲な調査を実施した結果に基づくものではないらしい。

ネットで調べると、浅野豊明マンション管理士事務所のHPに、「保守点検の回数は、年に6回がもっとも多く、つぎが4回、その次が12回」とある(注)。そして、「年6回は、1回当たり48,000円+(2,600円×パレット数)、年4回なら1回当たり55,000円+(3000円×パレット数)」という算式が示されているので、ダイヤモンド社のデータと比較しやすいようにパレット数を20台として1台当たりの費用を計算し、表に「浅野管理士資料 (1)(2)」と記載した。さらに、私の知人などから入手した情報を「某マンション」として記載した。

(注)その情報源は平成17-19年 (2005-2007) に(財)駐車場整備推進機構(2009年に解体)が実施したアンケート調査であり、かなり古い。しかし、ほかに適当な調査資料は見当たらない。

このような事情を念頭に、上の表をご覧いただく。1台当たりの月換算「保守費」には大きなバラツキがあり、最低はダイヤモンド社のデータによる825円で、最高は湯河原某マンション(実は私が住むマンション)の4,250円。月換算費用を比較すると、湯河原某マンションが突出している。その原因は、表から推測する限り、保守点検の頻度だと思われる。

では、保守点検の頻度と安全性の兼ね合いはどうなのか。ネットで探してみると、機械式駐車装置の事故の例がいくつか見つかるが、どれも操作ミスや不注意によるもので、装置そのものの性能や保守点検の頻度とは無関係である。

前述のように、「保守費」はマンション分譲時に管理会社が決めるものであり、組合員(区分購入者)は管理会社の言い分を信用するしかない。もちろん、保守点検の条件は交渉可能だが、組合執行部は管理会社を信頼して(もしくは、何が妥当なのか知る手立てがないまま)、毎年同じ条件で契約を継続することになる。したがって、この大きなバラツキにはそれぞれの管理会社の経営姿勢・企業倫理が現れていると考えていい。

さて、後の章でパレット取り替えの損益を計算するので、標準「保守費」を設定しておきたい。湯河原某マンションの例は異常値なので考慮の対象とせず、大雑把だが月換算1,000円~2,500円を標準「保守費」として論を進めたい。

(2)パレット取り替え積立金

「駐車場」の建造費はマンションの個々の分譲価格に含まれており、そのコストは発表されない。一般論として、企業会計ならば建造コストを減価償却費として計上するところだが、マンションの管理組合の会計システムは〈収入―支出=剰余金〉という大福帳形式であるし、組合は原則として固定資産を所有していないから、減価償却という概念がない。

そのために組合員は、駐車場収入が「保守費」よりも多ければ、それがそのまま利益になっていると考え、マンションの運営費に寄与していると認識しがちだが、実はそうではないのである。

そこで、減価償却に代わるものとして、パレット取り替え費用を初年度から25年間にわたり毎月積み立てると仮定しよう。1台当たりの費用を「マンション管理&修繕、全ガイド」にある100~150万円の中間の125万円とする。

修繕費については、ある実例によれば、第23年度(そのあとは無視する)までの支出総額は1台当たり330,000円。これを上記の取り替え費用1,250,000円に加えると、パレット取り替え積立金(「積立金」)の総額は1,580,000円。

これを毎月に振り当てると、「積立金」は 1,580,000÷25年÷12ヵ月=5,267円。

(下に続く)

 


機械式駐車装置、更新の損益計算  後編

2015-05-11 11:21:23 | メモ帳

(3)営利事業としての「駐車場」

組合員全員が駐車場を利用するなら「駐車場」運営の利益はゼロでいいが、駐車場を利用しない組合員もいるから、適当な利益が必要である。では、どの程度の利益を見込んだら妥当か。その意見は分かれるだろうが、比較的リスクがない事業なのでここでは投資額に対し年間3%とすると、1台当たり 1,580,000円×3% =47,400円/年(3,950円/月)。

ここまでの計算をまとめると、

駐車場収入=「保守費」(1,000~2,500)+「積立金」(5,267)+利益 (3,950)

=10,217~11,717円

すなわち、高めの「保守費」の場合、駐車場収入が円い数字にして12,000円以上ならば、「駐車場」はビジネスとして成り立つ。

利益は組合員にキャッシュで還元されるわけではないが、修繕積立金(または管理費)に組み込まれるから、組合員の支出を減らす効果がある。したがって、税金がかからぬ営利事業と認識していい。

 

(4)資金を借り入れるケース

ここまでは「積立金」が100%ある場合を想定したが、現実には駐車場収入は大規模修繕に流用され(もしくは管理費削減に使われ)、いざとなった時に資金がないか、不足するケースが殆どであり、その時は銀行借り入れに頼らざるをえない。その場合の採算を考えてみよう。おおまかには自己資金の場合に較べて、銀行に支払う利息だけ多くなるだけで、くどくなるが細部がやや異なるので一応列記する。

●取り替え費用を125万円として、25年間資金を借りると、毎月の元金返済額は 

1,250,000 ÷ 25 ÷ 12 = 4,167円……….①

●金利を3%とすると、125万円に対する25年間の利息総額は約47万円。これを毎月均等に返済するとして 

470,000÷25÷12= 1,567円……….②

●修繕費(自己資金でまかなう)を総額330,000円として毎月に割り振ると、

330,000÷25÷12=1,100円………..③

●利益は前述のように3,950 円…………④

必要となる駐車場使用料 =「保守費」(1,000~2,500) +(①+②+③+④)

= 11,784~13,284円

すなわち、自己資金(「積立金」)がまったくゼロの場合は、円い数字にして 12,000~13,500円の駐車場収入が必要である(「更新可能分岐点」)。

換言すると、月12,000~13,500円以上の駐車場使用料が得られる地域なら、パレット取り替え資金を銀行から借りても「駐車場」は存続させることが可能。しかし、そうでない地域では断念せざるを得ない。

もそも、都会でも田舎でも機械式駐車装置のコストは同じである。一方、大都会の中心部では有料駐車場の料金が月3万円とかそれ以上の場所もあり、「駐車場」は妙味あるビジネスだ。しかし、地価が下がりつつある地域ではそうではない。事実、私が住む湯河原ではマンションの「駐車場」が閉鎖された例がある。すぐそばに月5,000円の無舗装の駐車場があることから、理由は容易に推測できる。

「更新可能分岐点」を上回る駐車場使用料が期待できない場合は、「駐車場」存続を断念するしかないが、そうなっても心配はご無用。なぜなら、付近にそれまでの「駐車場」使用料と同じかもっと安い有料駐車場があるはずだから、である。

寿命が尽きた機械式駐車装置をさらに存続させるか否かの判断は、次の25年先の地域経済をどう見通すかに関わってくる。将来も地価の低下が発生する懸念がない一等地なら、簡単に「存続」という結論になるだろうが、そうでない地域では「駐車場」存続の可否は多元方程式を解くような難しさがある。最初から見れば50年間という超長期のプロジェクトであり、組合員の高齢化による「駐車場」利用者の減少も考慮しなくてはならず、慎重な検討が必要である。

                                                                                                                            終