頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

民間の経済活動に介入する習政権

2021-03-31 15:00:29 | メモ帳
中国では、自由主義国ではありえない事態がおきる。以下、情報源はネットである。

中国の巨大IT企業アリババの創業者で、世界有数の大富豪として知られるジャック・マー(馬雲)氏(56)が昨年11月以降約3ヶ月の間、消息を絶った。金融界には、「消されたのではないか」という憶測が流れたが、1月20日にマー氏自身が運営するオンライン・イベントにその姿を見せた。だが、マー氏が今でも、中國当局の厳重な監視下にあることは間違いない。

マー氏の姿が消えてから1月20日までの、アリババの状況を時系列で追ってみる。

●昨年11月、アリババグループ傘下で電子決済サービス『アリペイ』の運営企業『アント・グループ』のIPO(新規上場)が、当局の圧力で延期に追い込まれた。

●12月、中國当局はアリババグループによる過去のM&Aに関する手続きの不備を指摘。手続きに違反があったとして罰金刑を科した(これには罪状が不明確という批判もある)。同月には、独禁法違反の疑いでグループへの調査も開始された。

●12月24日、当局は独占禁止法違反の疑いがあるとしてアリババ本社の家宅捜索に踏み切った。アリババの株価は307香港ドル(10月28日)から、224香港ドル(1月8日)へと大幅下落した(グラフ参照)。
グラフの真ん中が1月8日

余談だが、この状況に気が気でないのは、アリババ株の約25%を保有する筆頭株主ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長だろう。単純計算で、5兆円が吹き飛んだことになる。

さて、マー氏がアリババを創業したのは、今からわずか20年ほど前の1999年。中国のインターネット黎明期に電子商取引の将来性に着目し、ネット通販事業を主軸に一代で同社を世界的企業に成長させた。事業の拡大とともに国内外の企業を次々と傘下に収め、2014年にはニューヨーク証券取引所への上場を果たした。その総資産額は4000億元(約6兆4000億円)とされる。

アリババグループはこれまで順風満帆のように見えたが、マー氏と習政権の間には対立もあった。その背景には、アリババのバックには反習近平派(江沢民派)がついているという事情もある。

そして、昨年10月、上海で行なわれた外灘金融サミットの席上で、マー氏が「時代錯誤の規制が中国の技術革新を窒息死に追い込む」と、中国当局の金融規制を公然と批判したことで、中国当局との対立が深刻化したのである。

中国通の評論家、石平氏は次のように語る(赤字)。

一連の流れを見ていると、中国社会、特に中国の若者に与えるマー氏の影響力が強大化したことが、国家主席の習近平、および当局にとって切迫した脅威となっていることがわかります。アリババの電子商取引は売上高が激増する一方、市中の商店はどんどん潰れている。習近平は、アリババ及びマー氏を“社会不安を煽る危険因子”と見なし、是が非でもグループを解体して国有化したいと考えているのではないか。

石平氏と同じことを、朝香豊氏も「それでも習近平が中国経済を崩壊させる」の中で述べている(赤字)。

習近平が好ましくないと考えるビジネスモデルは否定されるのです。アリババもテンセントもやがては国有化されるでしょう。今やインターネット・ビジネスは中国にとって基幹産業になったのです。・・・習近平としては、“ジャック・マーとかは社会全体の調和など頭になく、自分のビジネスの発展と自己利益だけしか考えていない利己主義者であり、ああいう奴らがのさばっていては社会が正常に発展することはない”と思っているのでしょう。

成功したために当局に虐められる憂き目にあったのは、マー氏だけではない。

●不動産事業で中国一の大富豪になった王健林氏も、その万達集団が突然に銀行借り入れを停止され、次々と資産を売却せざるを得なくなった。

●安邦保険集団を創業し、保険を核に銀行や証券も抱える総資産2兆元(約32兆円)の金融集団に成長させた呉小睴氏も詐欺や職権乱用の罪に問われて、懲役18年を言い渡され、個人資産105億元(1600億円)は没収された。

●小さな農場から従業員9千人の大農場を築いた河北大午農牧集団の創始者である孫大午氏は幹部とともに突然連行され、企業資産は当局に接収された。

こうした状況下では、民間の活力は期待できない。自由主義経済の理念は“民間の活力が経済を発展させる”だが、習政権は真逆のことをやっているわけだ。

一方、前回述べたように、借金に頼る中国の国家財政は破裂寸前で、綱渡りのような状態にある。もしも破綻すれば自由主義諸国も痛手を蒙るから、“高みの見物”と笑ってはいられない。まったく迷惑な話である。

善戦した「大韓の子孫」

2021-03-29 15:23:51 | メモ帳
今回は習近平を話題にすると予告したが、面白い話題があったので、それを優先し中國問題は次回にする。

京都国際高校が選抜高校野球大会の初戦で宮城県の柴田高校に勝利した時(3月23日)、韓国の新聞はまるで狂喜乱舞するかのような記事を掲載した。

なぜ韓国の新聞が日本の高校野球にそんなに熱狂したかというと、この京都国際高校は韓国系で、韓国語の校歌が「東海の海渡り 大和(やまと)の地は 聖なる我らが先祖の いにしえの夢の場所」で始まるから。まるで、日本の国は韓国人によって作られたかのような印象を与える。さらに、4番には「力強く立ち上がれ 大韓の子孫」という一節もある。

言うまでもなく、韓国は日本海の呼称を東海とすべきと主張しているから、NHKは歌詞の日本語訳の字幕では、その部分を「東の海」と表示した。苦し紛れの機転である(笑)。


ちなみに、同校は毎年韓国から10億ウォン(約9600万円)と日本から15億ウォン(約1億4500万円)、つまり両国の教育当局から約25億ウォン(約2億4000万円)を支援されている。生徒数は140人で約4割が在日(爺の推測だが、残りの6割も大半は帰化人の子弟ではなかろうか)。校長は韓国人の朴慶洙。

さて、京都国際高校の第2戦の相手は、強豪の東海大菅生(東京)だった。九回の表まで4対2でリードしていたが、その裏に3点取られて、あえなく逆転負けを喫した(27日)。

だから、韓国語の校歌が甲子園の空に再び鳴り響くことはなかった。しかし、男子生徒数が少ない(推定70人)小さな高校が、この大会に選抜されて出場しただけでも奇跡だ。それが大舞台で1勝して、さらに強豪を最後まで苦しめたのは天晴れである。「力強く立ち上がった大韓の子孫」に拍手を贈る。



実態は火の車の中国経済

2021-03-27 16:56:04 | メモ帳
「それでも習近平が中国経済を崩壊させる」(朝霞豊著 WAC出版)には、「えっ、そうだったの、初耳だ」とびっくり仰天する話が満載である。そのいくつかをご紹介する(青字)。

●中国人民大学教授の向松祚氏は2018年12月の講演で「内閣直轄の特別チームが2018年のGDP成長率は1.67%と内部試算した」と述べた。ちなみに、同年の公式発表によるGDP成長率は6.6%だった。

●公式発表の失業率は4%で安定しているが、失業統計の対象となるのは、失業保険の対象となる都市戸籍保有者に限られ、農民戸籍を持ついわゆる農民工は除外である。この農民工を計算に入れると、実際の失業率は20%程度と推定される。労働人口は7億人程度だから、失業率が20%とすれば、実際の失業者は1憶4千万人程度ということになる。言うまでもなく、これは日本の人口より多い。

●地方政府が水道事業とか鉄道事業などのインフラに資金をつぎ込むとき、永久債と称して、元本を返済せず金利だけ支払う。だから、地方政府の負債はどんどん膨らんで、デフォルト(債務不履行)が発生するはずだが、今のところ顕在化していない。しかし、もう限界に達しているはずである。

●高速鉄道網は2020年末の段階で、すでに3万8千キロに達した。これは日本の新幹線網の3千キロの13倍になり、さらに2035年までに7万キロにする計画である。ところが、黒字路線は北京―上海路線と北京―広州路線だけ。高速鉄道網を運営している中国鉄路総公司が抱える債務総額は2018年末で5兆2,800億元(83兆円)と推定されていたが、数字は公表されていない。かりに2035年まで計画通りに拡張された場合、おそらく負債総額は950兆円程度になると思われる。

●信用格付けがAAAなどの優良国営企業が続々とデフォルトに陥っている。例えば、半導体国産化計画を推進していた紫光集団の負債総額は2030億元(3兆2千憶円)。

●上海や杭州などの特別な大都市では、今なお地価は上昇しているが、北京では2017年の最高値から15.8%下落、同様に天津市では21.8%、青島市では22.8%の下落となった。オフィスビルの空室率も急増している。例えば、深圳市の空室率は40%に達し、賃料も2018年から2020年末までに23.5%下落した。ちなみに、東京の空室率は2020年末で4.33%。

●中国では銀行融資の30%が不動産担保であり、不動産の価値が下落すると、担保不足が発生する。銀行は貸付けた企業に担保の積み増しを要求しなくてはならないが、企業は応じられないという深刻な事態になっている。

●1979年から2015年まで一人っ子政策を実施したため。人口構造が歪になった。一方では、高齢化が進行している。その結果、年金財政は破綻寸前である。

中国経済が破綻するという予測はもう10年以上も前から言われてきたことだが、これまではなんとか持ちこたえてきた。だから、自由主義諸国では「中国は専制政治だから、力で抑えつけられるのではないか」という楽観気分になっている。「狼がくるぞ」と言い続けて、結局は来なかったイソップ物語の寓話を想い起させる。

ところが、本書は「狼はすぐそばまで来ているぞ」と警鐘を鳴らしているのだ。タイトルに「それでも」という表現が入っているのは、そういう意味である。

本書を読めば、“中国の富は今や日本を追い越して、世界第二位になった。遠からず米国も追い抜くだろう”という予測は幻想にすぎないことがわかる。中国経済が破綻すれば、世界中が巻き込まれ、空恐ろしい事態になる。嘘に嘘を重ねていると、どうしても矛盾点が出てくる。本書はその矛盾点を暴き出した。

国内経済がこのように火の車だというのに、中國は軍事費を毎年増やし、一帯一路を推し進める。習近平はなにを考えているだろうか。

ところで、著者の朝香氏は一介のブロガーだった人物だが、よくこれだけ調べ上げたものだ。WILL5月号に中國通の第一人者と目される石平氏との対談が掲載されているが、石氏も朝香氏の中国通ぶりに敬服したと見受けた。本書の発刊で、朝香氏は中国問題の論客としての地位を確立した感がある。

次回は習近平国家主席の強権ぶりを考察する。










「和楽の風」でコロナのウップン晴らし

2021-03-24 15:12:17 | メモ帳
コロナ禍の気分転換に選んだ店は、地元湯河原の「和楽の風」。友人から聞いていただけの初めての店だが、ネットでメニューや店の雰囲気がわれわれ老夫妻の好みであることは確認していた。

献立の特徴は、前菜が3品あること(昼は2品)。最初がエビと北寄貝のあんかけ(写真)。

次が細い春巻き2本で、具はエビとコーンビーフにキャベツ(写真)。


その次がサーモンと野菜のマリネ。われわれは飲むことに重きを置いているから、こうした酒肴類が何品も出てくるのは有難い。

カボチャのスープに続くメインディッシュは牛肉か真鯛で、どちらも添えた野菜の色取りが美しい。そして、盛り付けた有田焼の皿が凝っている(写真)。


次いで、梅と大葉の香りご飯、ワタリガニの味噌汁に漬物(写真)。

締めは、シフォンケーキと果物にコーヒー。

フランスのミシュランがこの店を採点したら、★をいくつつけるだろう? ミシュランの調査員が湯河原に来ないのが残念である(笑)。

これで5,600円(税込み)は値打ちがある(ランチは3,300円)。当日の出費は、ワインのボトル3,500円を加えて、二人で14,700円。一等地なら一人最低1万5千円はいくだろう。

小さな店で、テーブルは2卓。しかもテーブルが離れているから、「密」の心配はない。

ところで、店名の「和楽の風」の「風」はフウと読ませる。その心は、フレンチでもなく、和風でもない和楽「風」料理という意味だと解釈する。次回、店主に確認するが、まず間違いないだろう。

往復の車中から愛でた満開の桜並木といい、ハッピーで優雅なひと時を過ごすことができたという次第である。



膠着状態になった慰安婦問題

2021-03-23 13:05:05 | メモ帳
先の米韓2+2の会合において、慰安婦問題は議題にならなかった模様である。

しかし、韓国では、ブリンケン長官が慰安婦問題の解決に向けて、仲裁の労をとってくれることを期待していた。李ヨンス婆さんが、事前にブリンケン国務長官に書面で面談を申し入れていたのも、その一環である。トランプの時の抱きつきを再現することを夢見ていたのだろう(笑)。

韓国がそのように期待した背景には、文大統領が3月1日の演説で“慰安婦問題で交渉に応じる用意がある”と言明し、その翌日、朝日新聞が社説で次のように文大統領を援護していいたことがある(赤字)。

・・・確かに日韓合意では、双方が国連など国際社会で非難や批判をし合わないことを確認した。だが慰安婦問題を取り上げること自体を禁じたわけではない。

歴史の事実を回避するような態度は、慰安婦問題での日本政府としての考え方を表明した1993年のいわゆる「河野談話」にも逆行する。

それは韓国側の冷静な判断を促すのに役立たないばかりか、国際社会からも支持を得られないだろう。

要するに、朝日は“日本も歩み寄れ” と主張した。だから、韓国はブリンケン長官が日本政府に妥協するよう求めると期待したのである。

しかし、長官は2015年の慰安婦合意の時、国務副長官としてこの事案の実務を推進した本人だから、彼としてはこの問題は終わっていたことである。だから、慰安婦婆さんの要望も無視したし、米韓の会議でも慰安婦問題を議題にしなかった。

ということで、慰安婦問題は膠着状態が続くことになった。すなわち、原告の婆さんたちは韓国にある日本政府の資産を差し押さえたいところが、それが存在しない。日本大使館の土地建物があるが、それを差し押さえたらもう国交断絶である。一方、日本政府は主権免除と2015年の慰安婦合意を盾にとり、裁判を無視している。

こうした状態を打開する方策が一つある。それは、3月12日にも述べたことだが、読売・朝日・毎日・産経の4大紙が連名で、米国の大手紙に慰安婦問題の真実を知らせる意見広告を掲載することである。すなわち、日本軍による拉致はなかったし、慰安婦は性奴隷ではなかったことを告知するのである。

その意見広告によって、韓国が慰安婦裁判で日本を有罪とする根拠は崩壊する。

そもそも、慰安婦問題は1993年の河野談話で、“拉致・性奴隷” を認めたことに原因がある。例えて言うなら、胃腸に病根があるために出来た顔の腫物を、塗り薬で治そうとするようなものだ。たとえ、この裁判問題が解決されても、「河野談話」という病根を除去しないことには、また再発する可能性があるし、慰安婦像が世界中に乱立することにも成りかねない。

この問題を解決する王道は、真実を語ることである。


底意地が悪い蓮舫議員の質問

2021-03-21 11:27:12 | メモ帳
3月20日の読売新聞の記事から引用する。(赤字)

3月19日の参院予算委員会で、立憲民主党の蓮舫氏は首相に対して、次のように質問した。「(宣言解除を)政府の政策の効果だと評価する声もあるが、『本当に解除して大丈夫なんだろうか』という懸念の声が広がっているのも事実だ。今解除して本当に大丈夫か」

これに対して首相は「そこは大丈夫だ。綜合的な対策で何としてもリバウンドを防ぎたい」と答えた。

「緊急事態宣言」に伴って政府が打ち出した施策は、「飲食店の対策」、「変異ウィルス対策」、「PCR検査の強化」、「ワクチン接種の推進」、「医療提供体制の充実」の5点であるが、ワクチン以外は感染者を減少させる効果がないし、ワクチンにしても普及まで時間がかかる。

当面は、リバウンドさせない主体は国民であって、政府ではない。そんなことは専門家でなくてもわかることだ。それを知っていながら、蓮舫氏はしらばくれて、「今解除して本当に大丈夫か」と質問したのである。

この質問に対して、首相がなんと答えるか。

選択肢の一つは「感染させないためには、国民の覚悟と協力が必要だ」であるが、そう答えれば蓮舫氏は即座に「責任逃れだ」と批判するだろう。

まともに答えず「ムニャムニャ」と胡麻化せば、「まともに答えていない。だから、国民の支持を失うんだ」と、攻撃される。

そうかといって、「大丈夫、リバウンドしません」と答えれば、その場は凌げるが、もしリバウンドしたら「それ、みたことか」と非難される。

端的に言って、非常に狡猾な質問である。首相は蓮舫氏の意図を見抜いた上で、「大丈夫です」と答えたと想像する。つまり、国民の覚悟と気構えに政治生命を賭けたのである。心の中では、リバウンドしない確信はなかったと思う。

われわれ国民としては、これまで同様に、「引き籠り」に徹して、蓮舫氏に「それ、みたことか」と言われることはないよう、頑張るしかない。「解除」に気が緩んで、浮かれ出ることは避けようではないか。首相を援護するというよりも、自分を守るためである。


米国マッサージ店襲撃事件の真相

2021-03-19 13:05:13 | メモ帳
3月18日に読売新聞を開いたら、第6面に“米 アジア系ヘイト急増”という見出しをつけた大きな記事があった。そして、小さな見出しで“ジョージア6人射殺、動機を捜査”とある。

記事の内容は、「アトランタ近郊にあるマッサージ店で、女性8人が銃撃されて死亡。その内の6人はアジア系。犯人は白人男性で、NYタイムスはその動機を“人種的ではないかとの懸念が高まっている”と報じた」である。そして、各地でのアジア人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)の実例を挙げて、この事件をヘイトクライムの一環であるかのように論じている。

つまり、犯行動機はヘイトクライムではないか、というNYタイムスの推測を引用し、見出しを“アジア系ヘイト急増”として、記事全体を“ヘイトクライムへの恐怖”という視点でまとめている。

この記事はヘンだ。コロナが絡んだ中国人へのヘイトなら、中國料理店など中国人が集まる場所を狙うはずだが、それがマッサージ店だけが狙われたというのは解せない。マッサージ店の実態が売春宿であることは衆知の事実であり、犯行動機はセックスが絡んでいると判断すべきではないか。そして、被害者は各地のマッサージ店の実状から考えて、韓国女性ではないか。

と思いつつ、産経新聞を見ると、読売より小さい扱いで、「米 銃撃相次ぎ8人死亡」という見出しで同じ事件を報じ、犯行動機として「米国ではアジア系住民に対するヘイトクライムが多発している」と述べている。つまり、読売の報道と大同小異である。

そこで、朝日新聞のネット版を見ると、犯行動機は「性依存」とある。犯人は動機について「ヘイトではない」と自白したらしいから、朝日の報道が正しいと判断する。しかし、被害者の人種には触れていない。

次に毎日のネット版を見ると、犯行動機はやはり「性依存」であり、被害者は韓国人となっている。これで、クロスワードパズルが全部埋まったような感がある。

では、韓国の新聞はどう報じたか。朝鮮日報、中央日報、ハンギョレ新聞の3紙を調べたが、いずれもこの事件をヘイトクライムという視点で報じている。そりゃそうだろう、“慰安婦たちは拉致された同情すべき女性たちだ”と主張している手前、現代の韓国女性がアメリカで自発的に売春しているとは言いたくないことはわかる。

話を日本の新聞に戻す。読売と産経は米国でアジア系に対するヘイトクライムが頻発しており、さらにNYタイムスがそのように報じたことで幻惑され、ヘイトに焦点を当てたのだろう。

しかし、産経は本日(19日)再度この事件を取り上げ、犯行動機は「性依存症」と報じている。昨日、早まって動機をヘイトとしたことの修正をしたということだろう。それでも、被害者の人種には触れていない。朝日は当然だとしても、読売と産経も被害者が韓国人であることを隠している。そして、マッサージの実態が売春であることも報じていない。それでも「性依存症」とあれば、“頭隠して尻隠さず”も同然なのだが(笑)。

念のため、本日の韓国の各紙をチェックしたら、中央日報とハンギョレ新聞は動機を「性依存の可能性」があるとはしつつも、ヘイトの可能性もあるとしている。なんとかして、犯行動機をヘイトにしたい意図が窺える。

それでも、両紙とも被害者たちが売春婦だったとは述べていない。米国では、マッサージの実態が売春であることを多くの韓国人が知っているはずだが、それでも「売春」は隠したいらしい。 

教訓:新聞は必ずしも常に真実を報じるとは限らない。と、今頃気づくのは遅すぎる?(笑)









低調な大相撲を救う炎鵬

2021-03-17 10:45:35 | メモ帳
白鵬は嫌いな力士である。立ち上がりで、相手に張り手をかますことが多いから。しかし、横綱がいない土俵は淋しいので、“いないよりはましだ”と思っていたら、2連勝後に休場だという。ナンダ、コリャ!

もう一人の横綱の鶴竜も5場所連続の休場。よく恥ずかし気もなく、横綱の地位にしがみついているものだ。日本人なら、とっくに引退しているだろう。

大関陣も不甲斐ない。三日目終わって勝ち放しがいなくなった。おまけに幕内で三連勝した三人の力士の二人がモンゴル出身。人種差別するわけではないが、日本人力士はなにをやっているのか。情けないかぎりである。

そんな中、頑張っているのが小兵の炎鵬。番付に名前がないので、どうしたのかと思っていたら十両に陥落していた。その炎鵬がなんと三連勝。爺は幕内後半からしか実況放送を見ないので、毎日YouTubeで炎鵬の取り組みを見ているが、体重差がある相手に小気味よい勝ちを続けている。

まだ三日目が終わったばかりだから先走り過ぎだが、十両で優勝して次の場所では幕内に戻ってくることを期待する。頑張れ、炎鵬!



米国大統領選挙で不正はあったか

2021-03-15 13:20:44 | メモ帳
文中にある表が鮮明でないので、いろいろ試したが駄目でした。断念します。それでも大意は掴めるので、我慢してお読みいただければ幸いです。

このブログで3月8日、米国大統領選挙におけるバイデン・トランプ両候補の得票数が多すぎて不自然だ、と述べた。だがその後、米国の大統領選挙では州別の得票数が競われるのだから、全米の得票数を論じても意味がなく、不正がなかったことが確実な州の投票率を調べ、その投票率と不正があった可能性がある州の投票率を比較・検証すべきだ、と考えるに至った。

念のため、大統領選挙のシステムを説明しておく。各州で最も多くの票を得た候補者が、その州に割り振られた選挙人を全部獲得する。そして、獲得した選挙人の総数が過半数(選挙人は全米で538人)の半数以上、すなわち270人以上の選挙人を獲得した候補者が勝利者となる。

さて、本稿のテーマは先の大統領選挙で不正があったか否かを検証することである。その目的に沿って、不正が起きないことが確実な州の投票率を調べ、それを投票率の基準とすればよいはずである。

米国には民主党が強い州、共和党が強い州、結果を予測できない激戦州(英語でSwing Stateと呼ぶ)がある。なので、伝統的に民主党が強い州の代表として、カリフォルニア州とニューヨーク州を選び、この両州における投票率を標準と考えることにしたい。

また、2016年から2020年に、共和党(トランプ)から民主党(バイデン)へのスイングが起きた州の投票率を調べる。具体的には、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ペンシルヴァニア、ウィスコンシンの5州。

さらにスイングが起きなかったが、激戦州として注目されている州で、選挙人の数が比較的多いフロリダ州も調べてみる。

こうした観点から作成したのが次に示す表である。


表中にある民主党と共和党の得票数を加えた合計「民共計(B)」を「民共計(A)」で割った数値が、2016年に対する2020年の増加率となる。

なお、表中の得票率とは、民主党(バイデン)と共和党(トランプ)への全投票数に対する割合である(出所はWikipedia)。泡沫候補の得票があるから、両者を加えても100%にならない。

(B)÷(A)は実際の投票伸び率ではないが、便宜上これを「投票伸び率」と呼ぶことにする。

表を見ると、カリフリニア州の「投票伸び率」は29%で、常識的には異常のように思える。同州では移民が多いから有権者も増加するが、それでも4年間における有権者の増加率は数%だろう。それが、なぜ2016年対比で29%も増えたか。

同じ比率が、ニューヨーク州では15%、フロリダ州では20%であり、全米平均では21%だから、カリフォルニア州は高いことは高いが、「異常」というほどではなさそうだ。「スイング」した各州。すなわちジョージア、ミシガン、ペンシルヴァニア、ウィスコンシンの各州は平均値の20%前後である。

アリゾナ州は38%増で高いことは高いが、この州だけで票の水増しなどの不正行為があったとは考えにくい。百歩譲って、同州では不正行為があったとしても、同州の選挙人は11人だから、大勢には変わりない。

結局、コロナ禍で有権者が郵便投票を選択した結果、通常よりも格段に投票率が高くなった、ということだろう。WILL誌の4月号で、評論家たちが「バイデンがそんなに票を集めたのは不自然だ」と述べているが、トランプも2016年よりも格段に多くの票を集めたのだから、不正行為はなかったと考えるべきである。

トランプの敗因は、彼がアッピールしていたような民主党の不正行為ではなく、彼がコロナに対する対応を誤ったということだろう。China Virus と中国を非難するのはもっともである(笑)。





ラムザイヤー事件は韓国の完勝

2021-03-12 15:00:43 | メモ帳
このブログで前回、ラムザイヤー教授の論文がハーバートの校内新聞で否定されたことを論じたが、その後、米国のCNN放送がこの件を報じて、韓国側を支持した。3月10日の韓国の中央日報の記事を引用する(赤字)。

米国CNN放送は10日(現地時間)、ハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授の歴史わい曲情況とそれに対する批判を報じた。
CNNは、ラムザイヤー教授が「その意思に反して連れて行かれた慰安婦は、実際には売春を強要されたのではなく自分が選んだ」と主張する論文を出してから、国際的に厳しい反応の対象になったと伝えた。
また韓国や北朝鮮、中国で、女性に選択権が与えられたことはなかったとして反発している事例を詳細に説明した。
CNNは米国務省が「第2次世界大戦当時、旧日本軍による性的な目的の女性人身売買は重大な人権侵害」とし「敏感な歴史問題に対処しながら、地域と国際的共同優先順位に関する協力は進められなければならない」と明らかにした立場も伝えた。

校内新聞ならともかく、CNNが韓国の立場を支持したのでは、この件は韓国の完勝と判断していいだろう。

我々日本人は、この国務省の見解「第2次世界大戦当時、旧日本軍による性的な目的の女性人身売買は重大な人権侵害」が誤りであることを知っている。しかし、それが米国政府の公式見解であるため、CNNがその見解に基づいて、韓国の言い分を支持したのはやむをえない。

日本政府はこの米国国務省の見解を認識しているものの、河野談話があるために、あえて波風を立てないことを選択し、そのまま放置してきたと考えられる。

韓国の慰安婦裁判の判決に対して、日本政府が「主権免除の原則」とか2015年の慰安婦合意を盾にして判決を受け入れないのは法的には正しい。しかし、それでは慰安婦拉致の汚名は消えない。だから、ラムザイヤー教授や「反日種族主義」の韓国人著者たちが真実を語っても、“嘘つき”と非難される。こんな理不尽が罷り通ることが許されるのか。

“拉致”をそのままにしておくから、道義的責任は消えず、いつまでも韓国の市民団体等が日本を非難する根拠になる。胃腸が正常に機能しないことで顔に吹き出物ができた時、それを塗り薬で治療しているようなものだ。

日本政府としては、そう簡単に河野談話を撤回することができないことは理解できる。では、“拉致”を否定する方策はないのか。

右派論者が“拉致”を否定しても、国際社会は「歴史修正主義者の妄想だ」と受け止め、かえって逆効果になるだろう。

爺が思うに、効果的な方策が一つだけある。それは、読売、朝日、毎日、産経の4社が連名で、米国の大手紙に「“拉致”は朝日新聞など*による30年前の誤報に端を発する。朝日は2014年にその誤報を認め謝罪したが、韓国はその謝罪を無視し、国際社会に誤った情報を流し続けている」という趣旨の意見広告を掲載することである。

実は、この案を最近、産経新聞にメールで提出したが、無視された。この程度の案は爺ならずとも、新聞社の幹部なら容易に思いつくはずだが、動かない。彼らは不名誉な濡れ衣を着せられても、意に介さないのか。まことに不可解な日本人である。

(注)当時、読売や毎日も“拉致” を報じた。朝日の記事を見ての追従記事だと想像する。










潰されたラムザイヤー論文

2021-03-10 14:23:53 | メモ帳
このブログで3月2日、「ラムザイヤー教授が謝罪」というタイトルで、同じハーバード大学の韓国系教授が「ラムザイヤー教授の論文には契約書が提示されていない」と批判し、同教授が謝罪した、と述べた。その後の経過について、まず事実関係を報告し、最後に爺の見解を述べる。

●ハーバード大学の同僚教授の批判に追従して、韓国の保坂雄二前世宗大学教授*など36人の学者たちも同様の声明を発表した。その声明から引用する(赤字)。出所は韓国のメディアウオッチ。

日本軍慰安婦問題に性契約自体が存在せず、すべての女性が連れていかれたり、他の名目で騙され連行され、逃げられない環境で性奴隷になるしかなかったのが歴史的事実だ。・・・

ラムザイヤー教授は日本政府と日本軍が介入しなかったと虚偽の主張をし、業者と女性がお互いの利益のために性契約を結んだという虚偽に基づいた論文を書いた。彼の論文を通じ、日本の売春業者の状況を拡大解釈して、日本軍慰安婦が全員売春婦だったと言い張る致命的なミスを犯した。

(注)保坂祐二の経歴:1956年生まれで東京出身。東京大学工学部に入学後、中途で韓国の高麗大学に転じて卒業。1998年に世宗大学教員となり、2003年帰化するも、日本名を選択した。独島(竹島)研究の専門家で、現在世宗大学独島綜合研究所所長。

●キム・ビョンホン国史教科書研究所所長が「保坂前教授が編集した本『日本の慰安婦問題の証拠資料集1』で慰安婦業者が作成した契約書の内容が明確に確認された」と述べた。実際に、その本には契約年限と契約金、労働場所、違約時の履行事項などが具体的に示されている。

●ハーバード大学の校内新聞ハーバードクリムゾンは3月8日、その論説で、「第2次世界大戦前後で、旧日本軍が最大20万人の慰安婦を性奴隷として働かせて、生存者の証言が数十年間続いた」、「ラムザイヤー教授の論文は実在的根拠がない」などと述べた。(出所:中央日報)

【頑固爺の見解】
キム・ビョンホン氏の指摘は、「契約書を提示できなかった」ことでラムザイヤー論文を無価値と批判した保坂祐二らの主張が誤りであることを示す。しかも、それが当事者である保坂祐二が編集した本にあったことはまことに皮肉である。

しかしながら、ハーバード校内新聞の論説の趣旨から判断して、この援護射撃は結実しなかったと考えざるをえない。

すなわち、その論説にある“20万人が性奴隷にされた”という部分から判断して、同大学の韓国系教授の意見をそのまま採用したものと思われ、これがハーバード大学の統一認識になった感がある。言うまでもないことだが、その韓国系教授は韓国側の意向に沿って発言したものと思われる。

ラムザイヤー論文は最近までネットでは閲覧できたが、今では削除されており、同論文を掲載したInternational Review of Law and Economics 誌3月号はいまだに発行されていない。こうした状況から、ラムザイヤー事件は既に決着したと考えられる。

ラムザイヤー論文は慰安婦の拉致を否定するものだが、それでは韓国の裁判所や市民団体の主張が根本的に覆るため、韓国側が必死の巻き返しを図ったのだろう。そして、残念ながらその巻き返しは成功した。

真実を語ったにもかかわらず、それが否定され、嘘がまかり通る結果となり、ラムザイヤー教授はさぞ口惜しかろう。

日本のマスコミはこの事件の顛末を十分知っているはずだが、なぜか沈黙を守っている。特に、慰安婦拉致の嘘を長年拡散してきた朝日新聞はこの事件をどう認識しているのか。聞いてみたいものである。



米国大統領選挙の謎

2021-03-08 16:41:38 | メモ帳
バイデン政権が発足してから、もうじき2ヶ月になろうとしている。敗けたトランプ氏も最近は、民主党が不正行為をしたという訴えをしなくなったから、もうその件は諦めたのだろう。

しかし、日本の保守派識者は未だに不正行為があったと主張している。例えば、WILL4月号に掲載されている「トランプが暴いた『ディープステート(影の政府)』の存在」という高山正之(ジャーナリスト)と馬渕睦夫(元外交官)両氏の対談記事である。この対談に次のような記述がある(赤字)。

高山:「・・・結局、バイデンは八千万票も獲得することになった。どう考えてもおかしな結果だけど、誰もそのことについて言及しない」

馬渕:「八千万票も獲得するほど、バイデン人気が高まっていたのか。そういう素朴な疑問に誰も答えようとしていません。それに、一億六千万人が投票したことになりますが、投票率は80%にもなります。これはあり得ません。例年の60%台だとすれば、バイデンの得票は5千万票を下回る。これが現実に近いのではありませんか」

両氏が述べていることを、数字で確認してみたいと考え、バイデンとトランプの得票数をネットで調べると、いろいろな数字がでてきた。どの数字も勝敗の決着がついた後のものだが、もっとも得票数が多いのがWikipediaであり、これが最終結果であると判断した。そして、Wikipediaの過去4回の選挙の結果をまとめたのが下の表である。


(注)2016年は共和党(トランプ)の得票数は民主党より少なかったが、獲得選挙人では民主党を上回った。また、“その他” とは、大部分が泡沫候補の得票の合計である。

この表の2020年の得票数を見てまず気づくことは、勝ったバイデンはもとより、負けたトランプさえも過去の選挙のどの候補者よりも得票数が格段に多かったことである。両氏が疑いの眼を向けるのはもっともである。

また、2020年の総投票数1億5千838万人は、2016年の1億3千712万人よりも21,258千人多く、この増加分は2016年の総投票数 137,125千人に対して15.5%である。つまり、2020年は前回より投票数が15.5%増えたことになるが、これは異常である。

では、投票率はどうだったのか。米国には戸籍制度がないため、有権者数はおろか人口さえも5年毎の国勢調査に頼るしかない。直近の国勢調査は2020年に行われ、現在まだ集計中であるため、2020年の大統領選挙の有権者数は未詳であり、したがって投票率も未定である。

前回の国勢調査は2015年に実施され、2016年における有権者数は1億5,760万人と発表されたから、2016年の投票率は(137,125÷157,600=) 87%だったことになる。

ここで話を両氏の対談に戻す。対談に「投票率は80%になる」とあるが、有権者数が未定なので、「投票率が80%」である根拠はないことになる。また。「例年の60%台に比べて多すぎる」とあるが、2016年は87%*だったので、この認識は間違いということになる。

(注)この87%も不自然だが、その理由は、公式発表の有権者数は国内居住者のみであり、Wikipediaの得票数は海外居住者(軍人含む)をカウントしていることだと推測する。

両氏の発言はともかくとして、2020年における総投票数が前回よりも15.5%も高いことについて考えてみる。

2012年は2008年よりも総投票数が減少しているので、2016年と2008年を比較してみると、2016年の137,125千人は2008年の131,313千人よりも4.4%の増加である。つまり、8年間に4.4%しか増加していない。これと較べれば、2020年の2016年対比での、4年間での15.5%増はあり得ないような数字である。

さて、2020年の選挙運動において、共和党の集会はコロナ禍があっても多くの参加者を集め熱気に溢れていたが、民主党の集会は参加者が少なく、ひっそりしていたという記事を読んだ記憶がある。それでもマスコミは“互角の形勢”と報じていたが、日本の保守派論者は“トランプの大勝” と予想していた。

民主党は郵便による投票をしっかり集めたということがあったにせよ、バイデンの8千万を超える得票は、日本の保守派識者でなくても、信じ難い結果である。

不正行為はあったが、トランプがマスコミを敵対視したために不正行為を報道しなかったとか、裁判所が不正行為の確たる証拠を見つけられなかった、と考えればツジツマがあう。しかし、いくらなんでも民主主義の根幹にかかわる行為をするはずがないし、技術的にも千万票単位の操作は難しいのではなかろうか。

この2020年の大統領選挙の謎は、永久に解けることはないだろう。














禍根を残す河野談話

2021-03-05 16:00:53 | メモ帳
去る3月2日、朝日新聞は前日の文在寅大統領の演説を取り上げた「日韓歴史対立、融和へ果断な行動を」という見出しの社説において、<文大統領が日韓関係の改善を表明しているからには、日本もそれなりの宥和的姿勢を示すべきだ>であると主張した。

ここではその趣旨そのものではなく、その社説の一部、<歴史の事実を回避するような態度は、慰安婦問題での日本政府としての考え方を表明した1993年のいわゆる「河野談話」にも逆行する>という部分に焦点を合わせたい。

政府間の日韓慰安婦合意があってもなお、韓国で慰安婦問題がくすぶり続けるのは、その合意が「慰安婦は被害者で、日本が加害者」という構図になっているからで、そしてその構図は1993年に発出された「河野談話」を下敷きにしている。

ついては、「河野談話」はいかにしてつくられたかを考察する。

「河野談話」が作られた経緯は、当時の石原信雄副官房長官が2014年2月20日、国会で説明している。その説明で明らかになったことは、証人として韓国側で提供した16人の自称慰安婦の証言に誤りや疑わしい点がいくつもあったにもかかわらず、日本政府はその証言の裏付けを取らなかったことである。

そして、裏付けを取らなかった理由について、石原氏は「当時はそんな雰囲気ではなかった」と答えている。


では、その当時の“雰囲気”はどのようなものだったのか。

慰安婦拉致を最初に報じたのは、1991年8月の朝日新聞大阪版である。その翌年、朝日新聞は慰安婦強制連行に日本軍が関与していたことを示す資料が見つかったと報じ、当時の加藤紘一官房長官はその報道の真偽を確かめずに謝罪した。その謝罪は韓国でも大々的に報じられ、丁度折悪しく韓国を訪問した宮澤喜一首相は度々謝罪せざるを得なかった。

なお、その半年後、朝日が発見した「日本軍関与」の文書は、“悪質な女性仲介業者がいるから注意せよ”など、強制連行とは関係ないものであることが判明した。朝日は日本政府を攻撃するために、自社に都合のいい部分だけを取り出したのである。

その後来日した盧泰愚大統領は「日本の言論機関がこの問題を提起し、わが国民の反日感情を焚きつけ、国民を憤激させてしまった」(『文藝春秋』1993年3月号)と語っている。

河野談話はこうした時期(1993年―H5年、8月)に発出された。当時、朝日新聞は日本を代表するクオリティーペーパーとして認識されていたから、朝日の記事を疑う人はいなかった。さらに、それまで朝日が流布していた“日本悪者論”により、日本人のほとんどが自虐思想に染まっていたこともある。だから、宮澤喜一、加藤紘一、河野洋平などの諸氏は朝日の“慰安婦拉致キャンペーン”を信じ込んでいたと思われる。

2014年になって朝日は誤報を認め十数件の記事を撤回したが、韓国人はその撤回記事を無視した。朝日の誤報撤回は、燃え盛った山火事をヘリコプターからバケツで水を撒くようなものだったのである。

その後、「河野談話」を見直そうとする動きは自民党内にあったが、逆に2007年に米国下院は、慰安婦を「二十世紀最大の人身売買」とする決議を可決し、その認識は今でも変わっていない。それどころか、日韓関係の改善を望むオバマ政権(バイデンはその時の副大統領)は日本政府に圧力をかけ、日本が全面的に謝罪して10億円を支払う2015年の日韓慰安婦合意が締結された。

ここで、話を3月2日の朝日新聞の社説に戻す。朝日の「歴史の事実を回避するような態度は・・・1993年のいわゆる『河野談話』にも逆行する」という主張は、<慰安婦拉致を認めたままにせよ>と言っているのに等しいが、それでは2014年の誤報撤回と矛盾するのではないのか。

日本政府が韓国に対し「2015年の慰安婦合意を遵守せよ」と主張し、バイデン大統領も韓国に「これ以上関係をこじらせるな」と迫っているから、韓国政府はそれに従わざるを得ないだろう。しかし、“拉致”を信じる韓国人には心理的不満が残るに違いない。

真の日韓の親善には、“拉致”をどこかの時点で修正し、真実の歴史を韓国人に伝えなくてはならない。今となっては16人の自称慰安婦の証言を検証することは困難だと思うが、せめて河野洋平氏が真実を述べることを願う。





ラムザイヤー教授が謝罪

2021-03-02 13:22:59 | メモ帳
ハーバート大学のラムザイヤー教授による慰安婦に関する論文が、韓国と米国で論争になっている。3月1日の中央日報(日本語版)の記事を引用する(赤字)。

「日本軍慰安婦は売春を強要された性的奴隷ではなく、利益のために日本軍と契約を結んで売春をした」と主張したマーク・ラムザイヤー米ハーバード大ロースクール教授が自身のミスを同僚教授に認めた。・・・

ハーバード大ロースクールの韓国系のソク・ジヨン終身教授は26日、米時事週刊誌ニューヨーカーへの「慰安婦の真実を探して」と題した寄稿で、ラムザイヤー教授の主張の問題点を指摘し、彼と交わしたメールと対話の内容を公開した。ソク教授はこの事件について「学問的自由には正しい証拠を提示する責任が伴うべきだという強い世論が形成された」と評価した。ラムザイヤー教授は自身の論文「太平洋戦争の性契約」で、慰安婦問題を「売春業者」と「予備売春婦」の間の契約行為と規定した。

しかし学界では、韓国の慰安婦被害者が作成した契約書を提示できなかったという指摘が提起されてきた。ソク教授は「ラムザイヤー教授の論文の脚注を調べた結果、戦時慰安所の韓国女性に関する契約内容がなかったうえ、該当契約を記述した2次出処もなかった」と指摘した。

これに対しラムザイヤー教授は「韓国人女性の契約書を確保すればよいと考えたが探せなかった」と認めた後、「あなたも探せないのは確実だ」とソク教授に話したという。

要するに、ラムザイヤー教授が「慰安婦は契約に基づく売春行為によって収入を得た」と主張したのに対し、この韓国系の教授は、「契約書が論文中で提示されていないことは、ラ教授のミステークだ」と主張し、ラ教授はそのミステークを認めた、ということになる。

爺が思うに、この論争は馬鹿げている。仲介業者が娘を売り渡す親と契約書を交換したとは思えないからだ。現金を手渡せば、それでおしまいである。また。売春婦が売春宿の主人と労働条件を定めた契約書を交換したとも思えない。

したがって、契約書が見つからなかったことが論文の欠陥ということにはならないし、ラ教授が謝罪する必要もない。この韓国系学者の狙いは、ラムザイヤー論文に契約書が提示されなかったことを理由に、論文そのものを葬り去ることだと推測する。ラ論文は慰安婦の拉致がなかったことを証明しているから、是非ラ教授には踏ん張ってほしいものだ。

と、考えていたら、シンシアリー氏のブログに、「反日種族主義」の共同執筆者であるイ・ウヨン氏の論文「契約はあった」の全文が記載されていたことを知った。韓国の「ペンとマイク」というメディアに掲載された論文をシンシアリー氏が日本語に翻訳したものらしい。

このイ氏の論文の核心部分は次のようである(赤字)。

●合意の内容を文書で残す欧米と違って、当時の韓国では口頭契約に依存していた。・・・たとえ文書による明示的な契約ではないとしても、親は娘がどういう仕事をするか知っていた。これは一般的に言う契約にほかならない。

●慰安婦は「性労働者 (sex worker)」だった。・・・行為者が一定のパターンに基づいて行動したなら、それは当事者が契約に基づいて行動したものであり、契約が存在したことを意味する。

まさに正論である。ラ教授はこのように反論すべきだった。同教授がこの論文の英訳を読んでいることを願う。

また、イ氏の論文には次のような記述もある。

●(慰安婦は拉致されたという)国際機関の報告書は、そのすべてが元慰安婦と吉田清治の証言、日本軍文書、河野談話を論拠として提示した。

●河野談話は、ほとんどの人が「被害者と加害者の証言があり、これを客観的に立証する日本軍の文書があると確信した中、日本政府が窮地に追い込まれたまま作成したものである。しかし、1993年以降はその日本軍文書は「強制連行」とは無関係であることが証明された。

●吉田清治の告白は彼の捏造であり、それを集中的に報道した朝日新聞はその誤りを認め謝罪した。慰安婦拉致に関して、証拠が山のようにあるがごとくに見えるが、実際には元慰安婦の証言だけが残っているのだ。

ここに述べられていることは、われわれが既に知っていることだが、韓国人は知らないから、この記述は価値がある。

さて、在米韓国人団体が、<change.org>という請願サイトで三菱製品の不買運動を呼び掛けているという情報がある。ラ教順は三菱重工がハーバートに提供した基金によって設けられた講座の教授に任命されたことを根拠に、三菱ボイコットを呼びかけているらしい。


このように、ラ教授の論文は米韓両国で多くの話題を呼んでいるが、なぜか日本のマスコミ(産経除く)は沈黙を保っている。

ところで、上述のイ氏の論文には“河野談話は誤りである”という意味の記述がある。次回はこの河野談話について考察する。