これまで野球の女性版と侮って、TVのハイライト以外に観たことがないソフトボールの放送を初めてじっくり観た。もちろん、日本対米国の決勝戦である。
同時刻に放送された女子サッカーのチリ―戦の方がより興味があったにもかかわらず、ソフトボールを選んだわけは、次のパリ大会ではソフトボールは採択されず、これが上野選手(ことによると日本チーム)の最後の晴れ舞台になるからである。
そして、相手の米国とは実力が伯仲しているから、緊迫感を楽しむとともに、あわよくば13年越しの連覇の感激を分かち合わせてもらうことである。
野球の女性版と侮っていた爺の浅はかな認識は、試合開始ともに雲散霧消した。両軍の選手たちの気迫あるプレーに驚嘆したのである。
日本が4回と5回にそれぞれ1点ずつ入れて、結果的に2対0で終わった淡淡としたゲームだったが、見どころは随所にあった。
回は覚えていないが、米国選手を3塁において、キャッチャーがピッチャーの投球を後ろに逸らしたときは背筋が凍る瞬間だった。しかし、本塁に突入した走者を間一髪でアウトにした。これが結果オーライで、ピンチを脱することになった。
これも何回だったか分からないが、米国の攻撃、ランナー1・2塁の場面で、打者が3塁方向にライナー性の球を打った。3塁手はボールに手を触れるのが精一杯で空中に逸らしたが、地上に落ちる前に遊撃手がそれを掴み、すぐさま2塁に送球して、飛び出していたランナーと併殺にした。3塁手が触らなかったら、遊撃手はボールを掴めなかっただろう。日本にとってラッキーなプレーだった。
上野投手は6回に一度降板し、若い後藤選手に後を託したが、7回に再登板した。(そんなルールがあるとは知らなかった。)上野選手のソフトボール人生最後の場面だから、マウンド上で終わるように仕組んだ宇津木監督の温情かと思ったら、そうではなかった。読売新聞によれば、上野選手が「後藤が顔面蒼白で投げているのを見て、逆に『自分がやる』と奮い立たせてもらった」という。
それはどうでもいいが、結果的に完封勝ちで、日本のオリンピック連覇となり、めでたし、めでたし。上野選手も本望だろう。この感激は大観衆とともに味合わせてやりたかった。残念である。
さて、このソフトボールを含めて、今やメダルラッシュである。コロナ禍で意気消沈の日本にとって、またとない元気の素となっている。やはり開催してよかった!
選手たちの一層の活躍を期待するとともに、反政府勢力の中止圧力をものともせず開催に踏み切った菅首相の英断に感謝する。