無理が通れば道理引っ込む
≪理性を見失ったマンション管理組合Ⅰ、Ⅱ≫をご覧になった読者から数々のご意見を頂いたが、その中から「ごもっとも」と思われる質問にお答えしたい。
(1)「否認された立候補者は黙って引き下がったのか?」
答えは「その通りです」である。このような理不尽な意見が大勢を占める組合に私の家内(立候補者の一人)を無理に理事に送りこんでも、家内が苦労するだけのこと。それでは申し訳ないと考えて私はあえて反論しなかった。それに、お願いして理事にさせてもらうというのもヘンな話である。K氏も同じような考えで、反論しなかったと思う。ちなみに、K氏は否認されたあとの、新たに理事を選任する臨時総会には出席しなかった。
(2)「否認がどうして人格無視、名誉棄損になるのか?」
立候補者を議案通り選任するなら理由はいらない。「ご厚志に感謝します。宜しくお願いします」でお終いである。しかし、理事会決議を経て総会議案になっている案件をひっくり返して否認するなら、それなりの客観的根拠が必要だ。例えば、「貴方は区分所有者ではないはずだ」とか。
しかし、この場合、否認を言いだしたA女史はその根拠を言わなかった。そして大多数の出席者は理由もなくA女史に賛成した。根拠がない否認に大多数が賛成するというのは、どう考えても不自然である。これは小・中学生が集団で「おめぇはウザイんだよ、キモイんだよ、死ねよ」といじめるのとよく似た迫害だ。否認される側に立って、どんな気持ちになるか考えてみてほしい。
ボランティア立候補者の否認が人権蹂躪、名誉棄損になることは、なにも難しい法律に照らさずとも、常識で考えればわかることである。
(3)「I氏は理事長になったのか?」
否認劇があった総会の次に開催された総会(7月20日)の議題は「役員選任の件」で、理事候補者としてI氏・O氏・H氏の名が挙げられていた。前回総会の「否認決議」に法的正当性がないので、この議題は成立しないのだが、そう主張することは現実的ではなかった。なぜならば、否認された二人が理事に就任する意思を失っていたからである。
議決の結果は満場一致の承認だった。つまり、私も承認に賛成した。不本意だが、反対しても代案を出せないからである。否認された立候補者が名誉棄損等で訴えると否認が正当性を失うから次の理事選出も正当性を失うが、否認された二人が泣き寝入りするだろうという希望的観測の上に成立した新理事選任である。
端的に言って、「無理(理がないこと)が通れば道理引っ込む」を実感した次第である。
そして、I氏はシナリオ通り理事長に選任された。しかし、話はこれで終わりではない。次のV完結編をご覧いただきたい。(この1行は8月12日に加筆した)
終