10年ぶりで連れ合いと箱根に行った。外国人観光客が増えたことは承知していたが、今更ながらその現場を実感し、日本人として感激した。
観光客激増を示すいい例が大涌谷名物の黒玉子。これは地熱で茹でた鶏卵で、確かに美味しい(ような気がする)が、それがバカ売れ。10年前はいつでもすぐ買えたが、今回は「売り切れ。次の茹で上がりは〇時〇分です」という表示があり、その時間に行ってみるとなんと百人ほどの行列が!!
大繁盛であることにはご同慶だが、5個入り500円の袋しかないのはいかがなものか。コレステロールを気にする人もいるだろうし、3個入りも用意いたらどうか。それが“おもてなし”ではなかろうか。
さて、外国人が路線バスの利用の際にトラブルに見舞われている。
(1) 二社ある箱根路線バス
バス料金は下車する時に、車内のパネルに表示される料金を現金で支払えばいいのだが、その時マゴマゴすると後に続いて下車する人を待たせることになる。それでは申し訳ないので、われわれは宿で販売されている乗車券を買った。
その時初めて知ったのだが、箱根一円で運行しているバス会社には伊豆箱根バスと箱根登山バスの二社があり、時刻表を見てどちらのバスにするか決めなくてはならない。われわれにはそれで問題なかったが、箱根町発湯本-小田原行のバスに途中から乗ろうとしていた東洋人のカップルには厄介なことになった。
そのカップルが手にしている乗車券を見て、運転手は乗車を拒否した。多分、そのバスとは違うバス会社の乗車券だったのだろう。あらかじめホテルで乗車券を購入したことが裏目にでたのである。運転手の処置は正しいが、雨の中に取り残されたカップルとしては釈然としなかっただろう。ことによると、なぜ乗車拒否されたのか、わけがわからなかったかもしれぬ。*
そこで提案。
バス会社2社は合同プール勘定を設け、同一乗車券を販売する。2社はそれぞれが回収した乗車券をプール勘定に提出する。それでは乗車区間つまり単価がわからないという難点があるが、過去の統計データに基づく平均単価を算出し、それに基づいて清算すればいいのではないか。
この問題はバス会社に任せず、箱根町の観光課が仲介してプロジェクトをまとめることが必要だろう。
(2) 料金の支払い
箱根町発小田原行のバスでの出来事。途中から大きな荷物を持った白人カップルが乗ってきて、たまたま私の隣に男性が座った。私が英語で話しかけ終点の小田原に着くまで会話が弾んだが、その男性(オーストラリア人)の最大関心事はバス料金の支払い方法だった。
そこで、「下車する時にパネルに表示される丁度の金額を支払えばいいが、それにはコインが必要になる。千円札をマシンに挿入し出てくるコインから料金丁度の金額を用意すればいい」と英語で説明したが、手順が複雑だから多分わからなかっただろう。おまけに、両替されたコインをどう組み合わせればいいのか、外国人がとっさにわかるはずがない。
結局、その男性は終点の小田原で両替したあと運転手にコインを渡して選ばせ事なきをえたが、外国人がみなそれでは運転手に負担がかかる。料金支払いに時間がかかればバスの運行予定時間に影響がでる。
これは箱根だけのことではなく、日本全国共通の問題だ。路線バスに乗ったときの料金支払い方法を説明するビデオを外国語で作り、ネットで見れるようにするとともに、ホテルでそのビデオを見せてよく説明すべきである。とはいっても、日本政府(国土交通省か)に任せておいては、1年ぐらいかかるのではないか。それまでは観光地の各自治体が応急処置を講じる必要がある。
終
(注)バス、登山電車、ケーブルカー、ロープウエイ、遊覧船などどれにでも乗れるフリーパスがあるが、その女性が手にしていたのはこのフリーパスではなかった。