Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

暴言が許されすぎていないか

2013-05-08 | Weblog
午前中は劇作家協会のリーディング部と劇場部・企画事業部の合同会議、といっても、ある作品のリーディングという絞った問題について、二時間。その他にも話すべきことが山積。……午後からは稽古。今日からは夜までの稽古となる。早めに終わりたかったが、そうもいかない。いろいろ打ち合わせることもあり、稽古場を出たのは十一時半過ぎ。……いろいろ読まなければならないもの、考えなければならないことがあるが、なかなか難しい。自分も焦るし、申し訳ないのだが。……そんな最中なのに、ツイッターをやらない私が橋下徹のツイッターのことを教えられ、読んで唖然。ちらっと見ただけでも憲法関係など相当におかしいのだが、沖縄について触れた幾つかがとくにひどい。「沖縄の米軍基地は必要不可欠だ。普天間基地も辺野古移設しかない。日本のために、沖縄県民の皆さんにお願いせざるを得ない。しかしその際、国家を前面に出すと、産経的主張になる。違う。抽象的な国家を出さず、個別具体的の私、僕、子ども、孫を出せば良い。」「私、僕、子ども、孫、隣人の安全のために、沖縄県民の皆さんにお願いする。国家を前面に出すと、国民一人一人の沖縄への感謝の念が薄れる。それで産経のような主張になる。国民一人一人が、自分の安全のために、沖縄が負担を被ってくるていると言うことを意識する。それがひいては日本の安全保障になる」「また沖縄問題を考える上でも、無責任な平和論者は、アメリカに日本の安全保障を全て委ねながら、アメリカに対して沖縄問題を主張しろと言う。仕送りを受けている大学生が親に不満を言うようなもんだ。沖縄問題を真に解決するなら、日本の安全保障について日本自らが責任を負わなければならない。」。ついに狂ったか。「私、僕、子ども、孫、隣人の安全」のために、「沖縄の皆さん」は犠牲になっていただくしかない、と、何のためらいもなく、本気で言っているのだ。「日本の安全保障」のために「沖縄が負担を被ってくるている」(誤字は原本のママ)、それは彼にとっては自明で、覆す可能性は微塵もあり得ないことのようなのだ。そして、「沖縄の米軍基地は必要不可欠だ」という一文には主語がない。その主語を「日本(抽象的な国家)」ではなく「私、僕、子ども、孫(個別具体的?)」とすれば、なぜか正当なものになるそうだ。それにしても、「感謝」というコトバがここまで薄っぺらく響くとは。三つめに関しては、米軍基地問題を真摯に語る者の多くがアメリカにではなく主に日本政府に対して批判を重ねているという事実が、わかっていないようだ。で、論旨はずれるが、「仕送りを受けている大学生」であっても、「親」が誤った行いをするのであれば、不満を言うのではなく、きちんと批判すべきである。筋というものは、相手と境遇によって「通す」ことが難しくなるのでは、おかしいのだ。「筋」は「筋」だろう。それにしても、「私、僕、子ども、孫、隣人の安全」のために「沖縄の皆さん」を犠牲にすることの「正当性」など、どこにもあるわけはない。これこそ「差別」であり、「沖縄の皆さん」に対する侮辱である。私の感覚では、十五年以上前なら、公人はここまでひどい発言をしたら辞任するしかないはずだ。こんな暴言が許されている社会は、異常である。
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「女性手帳」と「召集令状」

2013-05-08 | Weblog
安倍内閣が6月に発表する『骨太の方針』重点政策の一つとして、女性を対象に10代から身体のメカニズムや将来設計について啓発する「女性手帳」(仮称)の導入を検討しているという。妊娠判明時点で女性に配布される「母子健康手帳」よりも、早い段階から渡される。「子宮頸がん予防ワクチンを接種する10代前半時点や、20歳の子宮がん検診受診時点での一斉配布」を想定しており、「医学的に30代前半までの妊娠・出産が望ましいこと」などを周知し、「晩婚・晩産に歯止めをかける狙い」だそうだ。子宮頸がん予防ワクチンに危険性が指摘されていることは記載しないのだろうか? 15歳未満の子どもの数は、去年に比べ15万人少ない1,649万人で、32年連続で減少。総人口に占める子どもの割合も、去年を0.1ポイント下回って12.9%、39年連続して低下している。そうした現状に対して森雅子少子化担当相が議長を勤める内閣府「少子化危機突破タスクフォース」が「晩婚・晩産化対策に乗り出した」という。「医学的に妊娠・出産には適齢期(25~35歳前後)があり、加齢に伴って卵子が老化し、30代後半からは妊娠しにくくなったり、不妊治療の効果が得られにくくなることも明らかになっているが、学校教育で取り上げられていない」「30歳半ばまでの妊娠・出産を推奨し、結婚や出産を人生設計の中に組み込む重要性を指摘する。また、経済事情などを理由になかなか結婚に踏み切れない状況の改善にも取り組む方針で、新婚夫婦への大胆な財政支援に乗り出す」そうだ。……なぜ女性だけに「指導」するのだ。そんなに重要なら、男性にもそうした「問題」を伝え、認識させないのか。30歳半ばを過ぎた夫婦は立場がないのか。女性に対してだけではなく、極めて重大な差別性を持っている。……「格差」や「待機児童」の問題など、日本が子供を育てにくい社会であることは棚上げして、「晩婚、晩産が増えたのは女性のせいだ」というのか。いろいろな事情があって子供を持たない家族も多い。「自覚を促す」のだとしたら、あまりにも傲慢だ。……そもそも、「妊娠・出産」が「国のため」「少子化対策のため」と露骨に言うことに、違和感がないのだろうか。透けて見えるのは、戦時中同様の「お国のために」「産めよ増やせよ」の発想である。そして、国民を監視・管理しようとする全体主義である。……その意味で、「女性手帳」に対応するのが、自民党憲法改正推進本部が打ち出したという「徴兵制」の導入であろう。男性は「男性手帳」をもらえないが、代わりに「召集令状」を受け取ることになるとでもいうのか。
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