維新の会・橋下大阪市長は、旧日本軍の従軍慰安婦制度を「当時は必要だった」などと述べた自身の発言について、「私の認識と見解」と題する文書を公表。「私は慰安婦の利用を容認したことはありません」と強調。謝罪と発言撤回をしたのは在日米軍に風俗業活用を進言したことについてのみ。「誤報された」「一連の報道において、発言の一部が文脈から切り離されて、断片のみ伝えられた。極めて遺憾」などとメディア批判を重ね、理屈にも何にもなっていない。「元慰安婦」に対する真摯な謝罪の言葉はなく、来日した「元慰安婦」お二人が面会を拒否して本当によかったと思う。日本外国特派員協会で記者会見したが、海外記者からは失笑が続いたとも聞く。橋下市長は「日本の過ちを正当化するつもりはない」「責任逃れはできない」と繰り返しながら「日本政府が認めているのは施設の管理、戦地への移動に軍が民間業者に女性を集めてほしいとの要請をしたことだ。核心的な部分は日本が国家の意思として組織的に女性を拉致、人身売買した事実を裏付ける証拠はないことだ」とし、日本の「強制連行」を否定した。これは世界の認識とまったく異なる。ニューヨークタイムズの記者は「人身売買(human trafficking)の定義には3つある。だますこと、組織的移送、意に反して働かせること。世界ではすべて人身売買を指すといわれている」と反論。この定義に従えば、橋下市長が少なくとも移送に関わったことを認める日本軍が人身売買に関わったことは疑いの余地がない。橋下市長は河野談話について「河野談話は政治的に妥結した文章だ。(慰安婦証言について)信ぴょう性にはいろいろ議論がある。合理性には疑問があったという(元政府高官の)発言を聞いている」と揶揄し、「肝心な論点を明確にしていない。表現についてもっと付け足さなければいけない。強制性の言葉をもっとていねいに」と言ったというが、では自分の言葉で語るがよい。というか、とうに語るに落ちている。3時間にわたる会見で橋下氏は「日本だけが悪くない。お前たちもやってたじゃないか」「日本は強制連行してない」と「持論を展開することに終始した」とする報道もあり、つまり、「大前提として、日本の責任を否定することはない」と言いながら、その実はただひたすら「日本の責任を否定」していたと取られたわけだ。「国際司法裁判所などでの解決に委ねるべきだ」とも言ったらしいが、通用するはずがない。その場しのぎのお為ごかしである。マスコミが取り合うから増長するのだという意見もあるが、きちんと叩き、責任を取らせねばならないと思う。もちろんそこにはこの間の発言により真の意味で「日本を国際的に孤立させた」ことへの責任も含まれる。……こんな橋下市長のことを、意見はまったく否定する立場の人の中でも「頭がいい」「喋るのがうまい」と評価する人がいることに、驚かされた。表面上の態度に押されて内容が聞こえていないのではないか。……本日は『帰還』劇場入り。早めに上がらせてもらい、高江のギタリストこと石原岳さんが急遽、下北沢に現れることになったというので、打合せ。六月二日の下北沢での「ゆんたく高江」では、「高江の話もして、演奏もして、今日リーディング劇もやるはめになった」とご本人がツイッターでそう言っているのだから、もう逃げられませんぞ。……福島民報社によれば、東京電力福島第一原発事故に伴う福島市発注の同市松川地区の住宅除染で、元請け業者に対し、「除染が適正に行われていない」と指摘した作業員3人が雇用主である2次下請けの業者に解雇されていたことが分かった。作業員は26日までに、「告発者の排除を狙った不当解雇だ」として、福島労基署に労働基準法に基づく是正指導をするよう申告した。3人は解雇予告や労働条件の提示などを雇用主から受けていないと主張しており、同署は同法違反の疑いで調査に着手したという。きっとこんな話はこれから幾らも出てくるだろう。情報を広げることも支援のうちだろう。……写真は三田晴代さんによる『帰還』のためのイチョウの樹のスケッチ。劇中にも登場する。
http://rinkogun.com/
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