報道によれば、南こうせつの、東京・日比谷野外音楽堂でのコンサート中盤、「サプライズゲスト」として「親交のある」安倍晋三首相が登場。「当初はあいさつだけの予定だった」そうだが、2人で「あの素晴しい愛をもう一度」を「熱唱」したという。こうせつが「これ以上すごい人はいない。ご紹介します。内閣総理大臣、安倍晋三!」と紹介。雨の降りしきる中、「バックコーラス代わりにSPを引き連れて」ステージに立った。「フォークソング好きなんですよね」と南に振られ「好きなんです」。夫人が大の南ファンという縁で親交が始まったそうで、カラオケにも一緒に行ったことがあるそうだ。「女房には絶対歌うな、と言われたけど、ここは度胸で」と約5分間、フルコーラスで歌い終わった安倍首相は、「サンキュー!!」と叫んで締めくくったそうだ。……感想はない。最悪の首相を「すごい」と言い、自分のコンサートを「カラオケ」に貶めたこの人は、「終わったな」と思うだけだ。南こうせつという歌手にとくに思い入れがあるわけではないが、私の十代の頃の人気歌手ではある。がっかりというのでもない。この国の感性というか、常識というか、そういうものがどんどん滅んでいるのだということを、改めて感じただけだ。たぶんほとんどの人が「別にいいんじゃない?」と思っているだろうことも、うんざりだ。今の若い人は信じないだろうが、七十年代のフォークというのは、基本「反骨」だったのだ。南こうせつはそういう意味では初めから浮いていたのだが。「四畳半フォーク」でも、なにがしか「存在」を賭けている人はいた。まあ、「アンチTV」だったロック歌手も、今やだいたいテレビCMに出ているし、と思うべきなのか?! それにしても南こうせつは、安倍首相のどこを見て、「これ以上すごい人はいない」と思っているのだろうか。……私は保坂展人世田谷区長と親しいというか、出馬時の推薦人の一人なので、その後もいろいろ親しくさせていただいている。いろいろな課題を共有している。公演のアフタートークに出ていただくことはあるし、ダムを題材にした芝居なので『帰還』でもお願いしているが(下北沢ザ・スズナリ 6月7日夜7時の回)、けっして舞台俳優として出演していただくことはないだろう。ご本人もそのつもりはないだろうけれど!
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