維新の会・橋下徹市長は、大阪市役所で「囲み取材」の記者団に対し、旧日本軍の従軍慰安婦制度を「日本だけでなく、世界各国の軍にそういう制度があったのは厳然たる事実」「当時は必要だった」とした自身の発言をめぐる報道について、「世界各国はそういうものを必要としていた。必要だったから(世界各国の軍が)皆やってたんでしょ。(自分が)必要と認めたわけではない」と説明。さらに「でもそれは絶対にダメ。許されない、と言いたかった」というが、まったく論理的ではない。米国務省の報道官が橋下発言に不快感を示したことについては、「慰安婦だけを取り上げて性奴隷だと批判するのなら、米兵が戦地で女性を利用しなかったのか? 沖縄の占領中、(米兵が)沖縄の女性を性のはけ口として活用したのは事実だ。それだけ人権を大切にしているのであれば、アメリカはじめ、世界各国もそういうことを反省して、沖縄で行われているような人権蹂躙行為について現況をもっと直視し、認識を改めてもらいたい」と言う。これは、開き直りというか、沖縄の苦難を自身の言い逃れに使っていて、不当である。さらに「僕は慰安婦を容認したことは一度もない。メディアは一文だけ聞いて、そこだけ取る。(誤解されたのであれば)日本人の読解力不足だ」とし、追及されると「言葉の問答をしたって意味がない」「日本人の国語力で全体の文脈、文章全体を見れば、(発言の真意は)理解する。メディアは一文だけを取る」とマスコミへの不満を述べ、ある記者が「新聞記者は言葉の定義にこだわる。政党の代表も…」と言うと、発言を遮り「一言一句を全部チェックしろと言うのだったら、囲み(取材)、やめましょう。揚げ足をとるのではなく、全体の文脈を捉えて、きちんと報道するのが皆さんの役割でしょう」「あすからやめます。これは任意でやっている。やめましょうじゃあ。いや、もういいです。やめます、もう今日で最後にします」「今回はもう大誤報をやられたんで」などと激高。「それはまずいです」という記者団に背を向け、平日ほぼ毎日行ってきた「囲み取材」をやめ、今後は原則として「記者会見に限定する」意向を明らかにした。まあ、このおしゃべりな人間が、ずっと公式発言以外に沈黙を保てるとは思えないけれど。……同じ維新の会・西村真悟衆院議員は、橋下市長を庇うつもりだったのか、「外電(外国メディア)では橋下氏の報道が捏造(ねつぞう)され始めている。従軍慰安婦がセックス・スレイブ(性奴隷)に転換されている。これが国際的に広がれば、反日暴動、謀略が成功しかねない。反撃に転じた方が良い」とした上で、「売春婦とセックススレイブは違うんだ。われわれは積極的に「売春婦は日本にまだうようよいるぞ、韓国人」(と主張し)、反撃に転じた方がいいと思う。大阪の繁華街で「お前、韓国人。慰安婦やろ」と言ってやったらいい。戦いましょう」と発言した。正気とは思えない。直後に撤回したが、ホームぺージでも「国会近くの赤坂という上品な歓楽街にも、現在も韓国人慰安婦・売春婦は大勢いる。韓国は、慰安婦を輸出しているのかと思うほどだ」などと発言している。彼は「韓国と国名を挙げたのは不穏当だった」「党に迷惑をかけた」として離党届を提出したが、党ではなく韓国の人たちに詫びるべきだろう。同党は離党届を受理せずに除名処分、議員辞職を求める方針というが、どうやらこの人はこういう発言をこれまでにもいっぱいしていて、同党には「容認」されてきている。党は党としての責任を取るべきではないのか。……こんな最中、米ニューヨーク州下院は、旧日本軍の従軍慰安婦問題について、「人道に対する罪」「20世紀最大の人身売買事件」などといった表現を使い、慰安婦制度を非難する決議案を採択している。なんと絶妙なタイミングか。だがこの事態を招いたのは日本側の言動である。……そして安倍首相への米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」のインタビューでの、憲法9条について「自国防衛の組織を軍と呼んでいない世界で唯一の国だ。自衛隊を国防軍と規定すべきだ」という発言が公開された。……こうしたものが同時期に重ねて発表されることで、日本という国がどういう国であると思われているか、考えてみればいい。正しい歴史認識を持たず、侵略と蛮行の過去に背を向け、「謝ったふり」「ごまかし」を重ね、真に誠意のある謝罪と未来展望を表明してこなかったツケである。……一方、福島市では、韓国大使館や韓国の観光公社が主催するK-POPの歌手によるライブや「ナンタ」公演などのイベントがあり、日本との関係が冷え込む中でも、東日本大震災被災者への支援を続ける考えに変わりがないことをアピールした。……ほんとうに、この国が、愚かで、無残である。諸外国からは、日本政府は「政治ごっこ」をやっているだけの愚か者たちに見えているだろう。かつての「オウム真理教」幹部が、それぞれ政治的なセクションごとに大臣や役職を名乗っていたのと、大差なく感じられる。……そしてある時、橋下市長の理不尽、本人の開き直りが、誰かに似ている、と思ってふと気がついたのは、麻原彰晃こと松本智津夫の、憮然とした横顔であった。……それにしても、海外からの批判による外圧、失言による自滅、そうしたことでしか動かないこの国に、自浄能力はない。では、どうすれば自浄ができるかって? それは、憲法を遵守することである。大事なことはみんな憲法に書いてある。守ればいい。最高裁の違憲判決も尊重して、従う。それだけだ。あまりにも守られなくなっているが、これでも憲法は存在するだけで、まだ抑止力になっている。基本的な人権に関わる部分を今この時期に改悪するなど、とんでもない。
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