Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『アジア温泉』

2013-05-11 | Weblog
午前中からすることが多い上に正午前から連絡がいっぱい入ってくる。慌ただしく出かける。……午後からの稽古は、夕方まで、とする。ローソクのシーンはじっさいにローソクの灯だけで稽古。……夜、新国立劇場『アジア温泉』初日に駆けつける。鄭義信最新戯曲を韓国演劇界のリーダーというべきソン・ジンチェク氏の演出で。美術は池田ともゆき、中劇場を大きく張りだし、円く広い「広場」を作っている。演出助手は『カウラの班長会議』に続いてこの現場に入った城田美樹。通訳のミョンファ、字幕のミヘンちゃん、知っている人が多い。『焼肉ドラゴン』に続く日韓合作の大作である。それにしても観客も韓国から多くの人が来ている。翌日に早稲田での講演(写真)を控えるシム先生。いつもお世話になっている木村典子さん。ソウル・アルコ劇場の芸術監督時代に〈坂手洋二フェスティバル〉を開催してくれたチェ・ヨンフン。彼は演出家だが、今は韓国国立劇団の事務局長を勤めている。再会を喜ぶ。サポートに入っているはずの日本滞在研修中のキム・カンボは、結局あまり現場に現れなかったようだ。作品は、ソン・ジンチェク氏が毎年ソウルで十万人を集めているという「マダンノリ」の手法も入っている。生演奏の音楽や「人間力」を中心とした動きの賑やかさは、確かにそうだ。鄭義信作品としては「寓話」シリーズの系譜に入る作品。『青き美しきアジア』を思い出すが、寓話の抽象性は、合作に適しているようで、意外と異文化どうしをリアルに噛み合わせることが難しいはずで、現場の苦労が偲ばれる。しかし舞台はサトウキビがとれる南の島……、いったいどこなんだ?! ともあれソン・ジンチェク・イズムを満喫。……安倍首相の昭恵夫人が韓国ミュージカルを鑑賞したことで、ネトウヨ的な勢力にネット上で非難されていたらしい。批判者たちは国立の劇場がきちんと日韓合作を作っていることも批判するのか? そんなはずはない。「首相夫人として軽はずみな行動は謹むべきだ」といった批判はもちろんくだらないが、じつは首相夫人がFB上で批判に抗して「全ての人や国と仲良くしたいというのが私の思いです」と発言するのを持ち上げるための伏線というか、出来レースとしての批判だったのではないかという疑惑もある。何ごとも自民党に都合の良い流れを作るマスコミ昨今の風潮は、どうにもおかしい。……菅義偉官房長官は、過去の侵略と植民地支配を謝罪した「村山談話」を、「歴代内閣と同じように引き継ぐ」と明言。諸外国から批判された安倍首相の「村山談話をそのまま継承しているわけではない」という発言の火消しのつもりだろうが、安倍首相本人がきちんと訂正しなければ意味がない。うやむやに終わらせようというつもりだろう。……世界文化遺産になりそうな富士山だが、活火山ではあるから、一部の専門家の間で「噴火間近」という情報が出回っている。富士五湖の一つ・河口湖は今年に入り水位が3メートル以上低下、岩盤に亀裂ができているとか、富士山頂から北東5キロの滝沢林道で長さ300メートルにわたる地割れが発見されているとか。それらが噴火の前兆だとすると、おそろしい被害が予想される。きちんと予知と対策をしなければなるまい。……「地震大国」日本は地下にエネルギーを蓄えた「温泉大国」でもあるわけで、温泉を掘り当てようとする人たちが登場する『アジア温泉』も、最後には温泉が噴出して終わっていいような気がするのだが、震災後二年余、まさか「自然災害を連想させるため自粛した」ということではあるまいな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする