我が家は、東京郊外の普通の住宅地に近所とは不釣り合いなあばら家として建っている。
狭いし、汚いし、なんとか、したいのだが、先立つものがなくて、なんともしようがない状態が続いている。
しかし、こんな我が家でも、自慢できるものが、いくつかある。
その一つが南東向きの浴室だ。
朝か昼に、湯にゆったりと漬かっていると、東側の窓から、裏の家の木々が眺められ、季節になると、小鳥がやってくるのも望める。
こういう時は天下泰平だ。
実に気分がいい。
老いらくの極貧生活の中にも、僅かな楽しみはあるものだ。
風申す湯にさす梢百舌鳥いちわ 素閑