もう六月になった。
本当に月日の経つのは速いものだ。
これから暑い憂鬱な夏がやって来る。
夏が待ち遠しいというのは、長期休暇のある学生の身なればこそで、そんなもののないこちらとしては、ただ暑いだけだ。
しかし、日本にはそれなりに夏の風物というものがある。
それを楽しみに待っている。
鈴蘭や優し羽虫の経帷子 素閑
うつろいて世をふる身にぞ君影草 素閑
生き抜いてすずらんの目に神信心 素閑
小鈴蘭水の逍遥湖の浦 素閑
鈴蘭を語る絵巻の雨降り月 素閑
けふを過ぎ明日は待たざる君影草 素閑
一隅にすずらん輪どりてそのの態 素閑
すずらんや澄める原への想ひ湧く 素閑
すずらんのみつる息吹やかすかにも 素閑
鈴蘭やもてる果報を捨てにけり 素閑
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