人生とは、などと大上段に語るつもりはない。
そもそも自分の来し方は人様に自慢できるようなものではない。
一切皆苦とは仏教の教えだが、まことに生きるということは苦に満ちている。
しかし、そんな人生でもわずかばかりに良いことがとり混ざっている。
その良い事をよすがに、力にして人は生きているといってもよい。
小さな幸せとよく言うが、このことは本当は偉大な力を持っている。
手を引くも子をおぶいたり酉の市 素閑
二の酉に年の巡りの早きかな 素閑
月よりも明るき酉の市の灯や 素閑
酉の市見上げる空に尾翼灯 素閑
あれあそこ社を指すや酉の市 素閑
白々とメトロのホーム酉の市 素閑
熊手提げ蕎麦屋の酒の福笑ひ 素閑
咳き込みてやっと来たるはおかめ市 素閑
望郷の友を連れたるおかめ市 素閑
亡き友の好み通いぬ酉の市 素閑