オカブの幼いころは暖房に炭の掘り炬燵が家にあった。
暖房と言えば、それだけだった。
やがて石油ストーブを入れた。
炬燵も、電気炬燵になった。
今では、暖房はエアコンである。
しかし、この今様仕掛けの暖房は全くぬくもりが感じられない。
ぬくもりというのは、ただ室温の高低を言うのではなく、精神的な温暖さをも含めるのである。
それを思うと、昔の炭火の掘り炬燵のほうが、よほど「温かった」と思う。
茶の花に頭を垂れて一礼す 素閑
寒空に毛帽子かぶりて茶の花や 素閑
老松に茶の花妍を競いけり 素閑
京表茶の花寺のけわいなり 素閑
楼蘭といふなる都茶の花や 素閑
野辺の路そぞろ歩きの茶の花や 素閑
茶の花の蘭奢待よりえもかほり 素閑
茶の花を庭の隅こに見つけたり 素閑
茶の花や今日で仕舞いぬ古すだれ 素閑
茶の花にみずうみ沖へ行ける船 素閑
茶の花の露地のゆかしき加減かな 素閑
なにゆえに茶の花下を向きたるや 素閑