これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

集合は連鎖する

2008年06月28日 18時11分21秒 | エッセイ
 職場の友人に『佐藤ゆき子』という人がいる。
 私よりも8歳下だが、彼女と並ぶと「よく似ている」と言われることがある。彼女にしてみれば迷惑かもしれないけれども、自分でもときどきそう思う。
 私を構成している要素の集合をAとし、ゆきちゃんの要素の集合をBとすれば、顔の要素で円が重なる。たしか、これを和集合といい、AかつBと習ったおぼえがある。一方、顔以外での共通点はほとんどなく、自分第一で大雑把な私に対して、ゆきちゃんは控えめで堅実な慎重派である。
 さて、このゆきちゃんは年に何度かスキルアップの研修を受けている。
「10月は私が発表する順番になるんですけれど、内容で迷っているんです」
 他のメンバーの発表予定が載った資料を見せてもらい、相談に乗った。なるほど、いろいろな学校から見たことも聞いたこともない人たちが集まり、自分の持ち味を生かした授業をしているようだ。よいところは取り入れ、悪いところは指摘しあって、授業力向上に役立てていくらしい。
 資料の真ん中あたりで私の目がとまった。『佐藤行夫』という文字を見つけたからだ。
「なにこれ、佐藤ユキオだって!?」
 最初は誤植かと思ったが、まったくの別人のようだ。
「そうなんです。よく似た名前の方がいるんですよ」
 ゆきちゃんが困ったような顔をして答えた。たしかによくある名前かもしれないが、20名程度の研修に『佐藤ゆき子』と『佐藤行夫』がいるのは面白い。私はすっかりウケてしまった。
 佐藤行夫を構成している要素の集合をCとすれば、名前でゆきちゃんの集合Bと重なる部分があるから、BかつCとなる。
 そして、この行夫さんは、私の夫の弟、つまり義弟と偶然同じ職場である。義弟の集合をDとすると、ここでもCかつDが成立する。そして、義弟と私は、血のつながりこそないけれども親族だから、AかつDなのだ。
 う~ん、何という奇妙な関係であることか。
 俄然、佐藤行夫さんに興味がわいた。一体どんな人なのだろう。私との接点はあるのだろうか。義弟に行夫さんの人柄を聞いてみた。
「まだ若いのに、キチンとしていて真面目ないい人ですよ」
 なんだ、ほとんど私との共通点はないじゃないか。むしろ、ゆきちゃんとの接点がクローズアップされてくる。
 佐藤ゆき子と佐藤行夫のカップルが誕生したら、楽しいだろうなぁ~。
 大きなお世話と叱られてしまいそうだ。



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コメント (2)
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