まさか、結婚式を挙げた2週間後に、理想の男性にめぐり会うとは思わなかった。
これは、私が24歳だったときの話だ。
私が勤めている学校では、職場結婚をすると、夫か妻のどちらかが異動しなくてはならない。我が家の場合、私が別の職場に替わったわけだが、幸か不幸か、そこには大変好みの男性がいた。
カレは松村雄基似の二枚目なのに、性格は三枚目に徹していて、気の利いたジョークで人を笑わせることが得意だった。何しろ、場を盛り上げることに関しては、右に出るものがいない。そして、笑いのツボが私とほぼ同じだから、私の冗談にカレがうけ、カレのジョークに私が笑い、あっという間に意気投合してしまった。
面白くてカッコよくて気が合う人なんて、そうそう現れるものではない。私は新婚ホヤホヤだったが、3歳上のカレはまだ独身……。カレともっとお近づきになりたかった。
カレのほうも、あれこれと話しかけてくるし、飲み会では私の隣に来てくれたりと、それなりに反応があった。共通点が多かったから、話題には事欠かなかったのだ。
「笹木さん、大学はどこだった?」
「S大です」
「え、まじ!? オレもだよ! じゃあ、オレが4年のとき1年だったんだね」
という具合に話題は増える一方で、決して尽きることはない。一緒にいてこんなに楽しい人は、この先も現れないのではないかと感じた。
しかし……。お近づきになればなるほど、兄と妹のようになっていくのは何故だろう?
仲良くなるにつれ、恋愛感情が薄れていくような気がした。楽しいだけで色気がない。感性が近すぎると、異性は肉親と化すのかもしれない。
そのときは、そう思っていた。
私の恋愛に法則性を見出したのは、それから何年も経ってからだ。
最初につき合った人は『雄一』、次は『修一』。そして夫は『龍一』という。
今までの彼氏は、全員『一』がつく名前だったんだ!
私は一人の人と長くつき合うタイプだから、サンプルが少なくて恐縮だが、友人にはこう言われた。
「3人もいれば十分よ。そんなことがあるなんて、興味深いじゃない」
そのカレは、残念なことに『聡』という名前だった。
そういえば、両想いだと感じたのに、いつもタイミングが悪くて、結局すれ違いで終わった『透』という名の男性もいた。
『雄一』や『修一』よりも、『聡』と『透』のほうが断然よかったのに……。ご縁とは、本当に不思議なものである。
それから数年後、聡は私より先に職場から去った。そして、私の知らない相手と結婚することになった。
「いよいよ、聡くんも年貢の納め時だよ」
式に招待されている男性からそう聞かされ、私は心底面白くなかった。
「結婚式はいつなんですか?」
どす黒く渦巻く心を隠し、平常心を装って聞いてみた。
「3月27日だよ」
なんと、我が家の結婚記念日ではないか!
私が結婚式を挙げた日から、ちょうど6年後の同じ日に、一番好みだった男性が結婚する……。
本当は、ご縁があった人なのではないだろうか。
せめて、『聡一』という名前だったらよかったのに……。
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これは、私が24歳だったときの話だ。
私が勤めている学校では、職場結婚をすると、夫か妻のどちらかが異動しなくてはならない。我が家の場合、私が別の職場に替わったわけだが、幸か不幸か、そこには大変好みの男性がいた。
カレは松村雄基似の二枚目なのに、性格は三枚目に徹していて、気の利いたジョークで人を笑わせることが得意だった。何しろ、場を盛り上げることに関しては、右に出るものがいない。そして、笑いのツボが私とほぼ同じだから、私の冗談にカレがうけ、カレのジョークに私が笑い、あっという間に意気投合してしまった。
面白くてカッコよくて気が合う人なんて、そうそう現れるものではない。私は新婚ホヤホヤだったが、3歳上のカレはまだ独身……。カレともっとお近づきになりたかった。
カレのほうも、あれこれと話しかけてくるし、飲み会では私の隣に来てくれたりと、それなりに反応があった。共通点が多かったから、話題には事欠かなかったのだ。
「笹木さん、大学はどこだった?」
「S大です」
「え、まじ!? オレもだよ! じゃあ、オレが4年のとき1年だったんだね」
という具合に話題は増える一方で、決して尽きることはない。一緒にいてこんなに楽しい人は、この先も現れないのではないかと感じた。
しかし……。お近づきになればなるほど、兄と妹のようになっていくのは何故だろう?
仲良くなるにつれ、恋愛感情が薄れていくような気がした。楽しいだけで色気がない。感性が近すぎると、異性は肉親と化すのかもしれない。
そのときは、そう思っていた。
私の恋愛に法則性を見出したのは、それから何年も経ってからだ。
最初につき合った人は『雄一』、次は『修一』。そして夫は『龍一』という。
今までの彼氏は、全員『一』がつく名前だったんだ!
私は一人の人と長くつき合うタイプだから、サンプルが少なくて恐縮だが、友人にはこう言われた。
「3人もいれば十分よ。そんなことがあるなんて、興味深いじゃない」
そのカレは、残念なことに『聡』という名前だった。
そういえば、両想いだと感じたのに、いつもタイミングが悪くて、結局すれ違いで終わった『透』という名の男性もいた。
『雄一』や『修一』よりも、『聡』と『透』のほうが断然よかったのに……。ご縁とは、本当に不思議なものである。
それから数年後、聡は私より先に職場から去った。そして、私の知らない相手と結婚することになった。
「いよいよ、聡くんも年貢の納め時だよ」
式に招待されている男性からそう聞かされ、私は心底面白くなかった。
「結婚式はいつなんですか?」
どす黒く渦巻く心を隠し、平常心を装って聞いてみた。
「3月27日だよ」
なんと、我が家の結婚記念日ではないか!
私が結婚式を挙げた日から、ちょうど6年後の同じ日に、一番好みだった男性が結婚する……。
本当は、ご縁があった人なのではないだろうか。
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