これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

末はユングかフロイトか

2009年06月28日 20時14分16秒 | エッセイ
「お母さん、昨夜、浩太の夢見ちゃった……」
 朝食をとっていると、中一の娘ミキが、ニヤニヤしながら話しかけてきた。

 浩太というのは、小学三年生になる妹の息子である。ミキにとっては従弟にあたるわけだが、個性的でなかなか面白い。
 浩太は怖がりである。
 誕生日や新年などのイベントがあると、私の姉がシャンパンやスパークリングワインを用意するのだが、栓を開ける瞬間が恐ろしいらしい。部屋の隅に逃げていき、両手で耳を押さえてブルブル震えている。浩太の2歳下の妹、明奈が平然と食卓についているというのに。
 父である義弟は、そんな浩太が歯がゆいのか、わざと作業中のボトルを持ってそばへ行き、大きな声で脅す。
「わーーーーっっ!!!」
「ひい~~~っ」
 浩太は金切り声を上げてパニックになり、泣きべそをかいてイジケてしまうのだった……。

 浩太は、意外に経済観念が発達している。
 ニンテンドーDSソフトの『ポケットモンスター パール』で遊んでいると、彼は「お金を貯める」行動に出る。バトルに勝つと賞金がもらえるので、せっせとポケモンと戦い、バトルしては稼ぎ、バトルしては稼ぎを繰り返すという。
 増えていく手持ち金を見て、ニンマリする場面を私も見たことがある。
 あるとき、浩太はトイレに行きたくなり、ゲームを中断しようとした。妹の明奈がそれを見て言った。
「DS貸して」
 操作中のゲームを貸し借りするのはよくあることだ。浩太は「いいよ」と返事をして部屋を出た。
 トイレから戻ってくると、明奈がゲームを返してきた。さあ続きを、と液晶を見て驚いた。
「ああっ、お金がなくなってるぅ~!!」
 ほんの何分かの間で、明奈が有り金全部を使って、モンスターボールの一種「スーパーボール」を80個ほど買い漁ったのだった。浩太は一文無しになったショックで打ちのめされ、怒る元気もなくなってしまった。
 ちなみに、この明奈は浪費家なのか、お金があると即使ってしまう。母である妹の『ポケットモンスター ファイアレッド』を借りたときは、勝手に「毒消し」を99個も買ったようだ。……将来は大丈夫だろうか。

 浩太は、食べ物の好き嫌いがハッキリしていて、嫌いなものは「お腹いっぱい」と言って食べない。「じゃあ、デザートも食べられないね」と意地悪を言うと、甘いもの欲しさに急いで平らげる、実にわかりやすい子供でもある。

 玉子サンドをパクつきながら、娘のミキは、昨夜見た夢の話を続けた。
「浩太がね、妊娠する夢を見たの」

 ……なんだそりゃ。

 聞いている私も呆れるような夢だった。
「へ? 小学生の男の子が妊娠?! 変すぎ~!」
「浩太のお腹がどんどん大きくなっていくんだよ。でも、産まれたのは犬だったの」
「犬?!」
「うん、ゴールデンレトリバー」
「盲導犬になれそうだった?」
「ううん、無理そうだった」
「なんだ、バカ犬か」
「あはは、そうそう!」
 
 フロイトの説によれば、夢には潜在意識が表れるという。
 一体、どんな潜在意識があると、こんな夢を見るのやら……。
 ミキには、自分が見た夢の研究をしてほしいものだ。



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コメント (18)
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