これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

頭痛のタネ

2009年07月23日 20時06分30秒 | エッセイ
 夏休み、それは主婦にとって、ありがた迷惑なものである。
 なぜなら、給食がないので、毎日子供のお昼ご飯を用意しなければならないからだ。
 中1の娘のミキは、毎日吹奏楽部の練習があるため、私は出勤前にお弁当を作っていく。
「お母さん、ミキのお弁当には豆を入れないでよ」
 私はふじっ子の「茶福豆」が好きで、毎日のように自分のお弁当に入れていたのだが、ミキはこれが許せないようで、早々に先制パンチをくらってしまった。仕方ない、豆なしのメニューを考えなくては……。

 え~、何にしよう……。

 私は料理が得意ではない。レパートリーが少ないことに加えて、味も彩りもイマイチだ。スーパーをうろうろし、散々迷った挙句、豚スライスとカボチャ、ゴールデンキウイを買った。豚肉は醤油とみりんに漬けてフライパンで焼いて、カボチャは甘辛煮にすればよい。そうそう、洗うだけでOKのプチトマトも買わなくては。
 しかし、その日のプチトマトは大粒で、ちょっとお弁当向きではなかった。どうしようかと悩んでいたら、近くに小ぶりの黄色いプチトマトがあることに気づいた。

 よーし、これでいいや。

 安易に選んだこの組み合わせ、実は失敗だった。カボチャにゴールデンキウイ、黄色いトマトは、どれも同じような色で美味しそうに見えないからだ。
「なんか、今日のおかずは黄色いのばっかりだね……」
 起きてきたばかりのミキが、ひょいとお弁当箱をのぞいてつぶやいた。いや、おかずだけではない。お弁当箱も黄色だった……。

 悔しかったので、翌日は色合い重視のメニューにした。鶏のグリル、トマトオムレツ、小松菜のお浸し、デラウエアだ。オムレツに入れるトマトは、ちゃんと赤い色のものを使った。今度はバッチリ成功だと信じて、私は鼻高々になった。
 しかし、溶き卵に入れる塩が足りなかったらしい。出来上がったオムレツを味見したら、ほとんど味がしないではないか。

 全然美味しくないけど、まあいいや。

 仕事を終えて帰宅すると、ミキが一日の出来事を話してくれた。
「今日はね、加奈とお弁当のおかずを交換したんだよ」
 加奈ちゃんは学童クラブでも一緒だった子で、ご両親とも親しくお付き合いしている。あの家ではどんなメニューのお弁当を作ったのかと興味がわいた。
「へえ、何もらったの?」
「枝豆」
 枝豆か……。ミキは茶福豆を拒否したくせに、よその家の枝豆をもらって食べたらしい。
 ちょっと面白くない……。
「……で、ミキは何をあげたの?」
「オムレツ!」
 ひええ、と叫びたくなった。わざわざ失敗したものを交換しなくたっていいのに!!
 いやいや、母譲りの性格をしているミキのことだから、美味しくないからあげたのかもしれない。
 きっと今頃、加奈ちゃんちでは、「ミキからもらったオムレツが不味かった」と夕食の話題になっているだろう……。

 さて、明日は何にしよう?
 
 ああ、早く、夏休みが終わらないかな……。



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コメント (19)
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