先日、昔の同僚から、「干潟の数万匹のカニのダンスを見ましょう」というイベントのお知らせをメールで受け取った。
「ミキ、カニ見に行きたい?」
「えっ、カニ? 行きたい、行きたい!!」
この同僚は、理科の先生をしていた方で、年に数回、化石採集やら地層見学やらのイベントを企画し、私とミキにも声をかけてくれる。早速、「参加します」の返信をした。
カニは自宅でも簡単に飼育できるそうだ。元同僚からは「カニの生態を観察してみては」と勧められたので、乗り気ではなかったが、虫かごを持っていくことにした。
「ミキ、物置から虫かご取ってきて」
「何に使うの?」
「カニを入れて持って帰ってくるんだよ」
「え? あんな小さいのに入らないでしょ?」
私とミキは、無言でしばし見つめあった。何か勘違いしているようだ。
「ミキ、食べられるカニじゃないよ。海岸にいる小さなカニだよ」
「ええっ、タラバガニとか、毛ガニじゃないの?! みんなで茹でて食べるのかと思ったのに~」
「食べられないカニ」を見るイベントは今日だった。京急線「大鳥居駅」に11時に集合し、本羽田干潟へ向かった。
本日の干潮は13:56である。すでに水が引き始めていて、干潟には大小さまざまな穴が開いている。
「これはカニの巣穴です。小さなコメツキガニは穴も小さく、縦に延びています。でも、チゴガニは同じように小さくても、巣穴が途中でJやL字型に曲がります」
ガイドであるカニ博士の吉田さんが、石膏で型を取った巣穴を見せながら比較した。
「次はこちらを見てください。これはカニが脱皮したあとの皮です」
死骸かと思ったら、皮だったのか! ちゃんと目までついているから不思議だ。
一通り話を聞いたあとは、カニをつかまえる作業に入った。干潟の入口は砂浜になっていて、比較的小さなカニが多いが、奥に進むにつれ粘り気の強い泥地に変わり、大きなカニがたくさん生息していた。
ミキも含め、子供たちは夢中になってカニを追いかけていた。
特にヤマトオサガニが多かったようだ。このカニは、体長25mmとやや大きめであり、目と目の間が狭く、細く長い目をピンと立てているのが特徴という。
しかし、人が近づくとサッと巣穴に潜ってしまい、なかなかつかまえられない。
「シャベルよりも、手で巣穴に沿って掘るといいんですよ。こんな風に」
吉田さんが大きな巣穴を掘っていくと、あっという間に逃げたヤマトオサガニがつかまえられた。さすがに、毎日カニを観察しているだけのことはあり、一種の職人芸とも言える。
「わ~、スゴイ!!」
ミキはもらったカニを虫かごにしまい、私に持たせると、次のターゲットを探し始めた。
巣穴を掘り逃げられ、巣穴を掘り逃げられを繰り返したあと、ついに自力でカニをゲットした。
「やった! 初めて自分でつかまえられたよ!!」
吉田さんに見てもらうと、これもまたヤマトオサガニとのことだ。同じ種類のカニはひとつの水槽で飼えるからちょうどいい。
干潟では、たくさんのカニが拍手をするようにハサミを動かし、楽しそうにダンスをしていた。これが、数万匹のカニのダンスというやつなのだ。何のためにするのかということは、正確にわかっていないらしい。
昼食後、3匹目のヤマトオサガニを捕まえたので、次は別の種類を探すことにした。
「ねえ、あのカニ、大きくてやたらと足が長いよ。あれどうかな?」
意外と簡単に捕まえられたのだが、なかなか凶暴なカニだった。軍手の上からミキの指をハサミで攻撃し、何とかして逃げようと頑張っていた。
「いててててて!! お母さん、早く写真撮って~!」
吉田さんに見てもらうと、体長36mmと大きい「アシハラガニ」とのことだった。
「これはメスですね。もうすぐ産卵しそうです」
吉田さんはアシハラガニを裏返し、性別を解説した。メスには幅広い腹部があるそうだ。
「ヤマトオサガニは大人しい性質なので、アシハラガニに攻撃されることがあります。一緒に入れないでください」
えっ、凶暴がカニが増えちゃうの??
私とミキは顔を見合わせた。
ミキが狙っていたのは、爪が赤くて可愛らしいアカテガニである。しかし、それらしいものは見つからず、代わりに体長35mmのクロベンケイガニをつかまえた。
これはオスだったようだ。オスのハサミは大きく攻撃力も高い。ミキはまたもや指をチョキチョキされた。
「痛い痛い痛い!! 早く入れ物ちょうだいっ!」
クロベンケイガニも隔離して飼育しなければならない。基本的に、違う種類のカニは同じ水槽に入れてはいけない。ということは、少なくとも3個の水槽が必要となる。
「なるべくたくさんの泥を持ち帰ってくださいね。同じ環境で飼育することが大切なんです。巣穴を掘りますから、5cmくらいは必要です」
泥が足りなかったので、今週末、また大鳥居駅まで取りに行くことにした。
水は水道水でいいと言われたが、人工的に満潮・干潮を作る必要があるらしい。
水槽でもダンスをするくらい、居心地がよくなるといいのだが。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※姉妹ブログ 「いとをかし」 へは、こちらからどうぞ^^(7/12更新)
「ミキ、カニ見に行きたい?」
「えっ、カニ? 行きたい、行きたい!!」
この同僚は、理科の先生をしていた方で、年に数回、化石採集やら地層見学やらのイベントを企画し、私とミキにも声をかけてくれる。早速、「参加します」の返信をした。
カニは自宅でも簡単に飼育できるそうだ。元同僚からは「カニの生態を観察してみては」と勧められたので、乗り気ではなかったが、虫かごを持っていくことにした。
「ミキ、物置から虫かご取ってきて」
「何に使うの?」
「カニを入れて持って帰ってくるんだよ」
「え? あんな小さいのに入らないでしょ?」
私とミキは、無言でしばし見つめあった。何か勘違いしているようだ。
「ミキ、食べられるカニじゃないよ。海岸にいる小さなカニだよ」
「ええっ、タラバガニとか、毛ガニじゃないの?! みんなで茹でて食べるのかと思ったのに~」
「食べられないカニ」を見るイベントは今日だった。京急線「大鳥居駅」に11時に集合し、本羽田干潟へ向かった。
本日の干潮は13:56である。すでに水が引き始めていて、干潟には大小さまざまな穴が開いている。
「これはカニの巣穴です。小さなコメツキガニは穴も小さく、縦に延びています。でも、チゴガニは同じように小さくても、巣穴が途中でJやL字型に曲がります」
ガイドであるカニ博士の吉田さんが、石膏で型を取った巣穴を見せながら比較した。
「次はこちらを見てください。これはカニが脱皮したあとの皮です」
死骸かと思ったら、皮だったのか! ちゃんと目までついているから不思議だ。
一通り話を聞いたあとは、カニをつかまえる作業に入った。干潟の入口は砂浜になっていて、比較的小さなカニが多いが、奥に進むにつれ粘り気の強い泥地に変わり、大きなカニがたくさん生息していた。
ミキも含め、子供たちは夢中になってカニを追いかけていた。
特にヤマトオサガニが多かったようだ。このカニは、体長25mmとやや大きめであり、目と目の間が狭く、細く長い目をピンと立てているのが特徴という。
しかし、人が近づくとサッと巣穴に潜ってしまい、なかなかつかまえられない。
「シャベルよりも、手で巣穴に沿って掘るといいんですよ。こんな風に」
吉田さんが大きな巣穴を掘っていくと、あっという間に逃げたヤマトオサガニがつかまえられた。さすがに、毎日カニを観察しているだけのことはあり、一種の職人芸とも言える。
「わ~、スゴイ!!」
ミキはもらったカニを虫かごにしまい、私に持たせると、次のターゲットを探し始めた。
巣穴を掘り逃げられ、巣穴を掘り逃げられを繰り返したあと、ついに自力でカニをゲットした。
「やった! 初めて自分でつかまえられたよ!!」
吉田さんに見てもらうと、これもまたヤマトオサガニとのことだ。同じ種類のカニはひとつの水槽で飼えるからちょうどいい。
干潟では、たくさんのカニが拍手をするようにハサミを動かし、楽しそうにダンスをしていた。これが、数万匹のカニのダンスというやつなのだ。何のためにするのかということは、正確にわかっていないらしい。
昼食後、3匹目のヤマトオサガニを捕まえたので、次は別の種類を探すことにした。
「ねえ、あのカニ、大きくてやたらと足が長いよ。あれどうかな?」
意外と簡単に捕まえられたのだが、なかなか凶暴なカニだった。軍手の上からミキの指をハサミで攻撃し、何とかして逃げようと頑張っていた。
「いててててて!! お母さん、早く写真撮って~!」
吉田さんに見てもらうと、体長36mmと大きい「アシハラガニ」とのことだった。
「これはメスですね。もうすぐ産卵しそうです」
吉田さんはアシハラガニを裏返し、性別を解説した。メスには幅広い腹部があるそうだ。
「ヤマトオサガニは大人しい性質なので、アシハラガニに攻撃されることがあります。一緒に入れないでください」
えっ、凶暴がカニが増えちゃうの??
私とミキは顔を見合わせた。
ミキが狙っていたのは、爪が赤くて可愛らしいアカテガニである。しかし、それらしいものは見つからず、代わりに体長35mmのクロベンケイガニをつかまえた。
これはオスだったようだ。オスのハサミは大きく攻撃力も高い。ミキはまたもや指をチョキチョキされた。
「痛い痛い痛い!! 早く入れ物ちょうだいっ!」
クロベンケイガニも隔離して飼育しなければならない。基本的に、違う種類のカニは同じ水槽に入れてはいけない。ということは、少なくとも3個の水槽が必要となる。
「なるべくたくさんの泥を持ち帰ってくださいね。同じ環境で飼育することが大切なんです。巣穴を掘りますから、5cmくらいは必要です」
泥が足りなかったので、今週末、また大鳥居駅まで取りに行くことにした。
水は水道水でいいと言われたが、人工的に満潮・干潮を作る必要があるらしい。
水槽でもダンスをするくらい、居心地がよくなるといいのだが。
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