夏でもレッグウォーマーが手放せない。冷房で足が冷えてしまい、寒いのだ。同僚からは「そんなもの履いて」という目で見られるが、私にとっては必需品である。いや、夏だからこそ、必要なのかもしれない。
先日、たまには文化的な催しに出掛けようと、娘とチケットガイドを見ていた。
「ウイーン・コンチェルト・クラシック・オーケストラの演奏を聴きたい」と娘が言うので、チケットを購入することにしたのだが、そう簡単ではなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/e6/d5dab7bd25f27961d1f63924146320f4.jpg)
午前10時、キョードー東京チケットセンターに電話をかける。チケットぴあも同じだが、話し中の音が虚しく響き、なかなかつながらない。えらく根気のいる作業だ。
もうちょっと経ってからかけよう……。
たちまち弱気になり、すごすごとデスクに引き返してきた。お昼くらいになれば、いくらなんでも大丈夫だろう。
ところが、仕事でトラブルが起こり、チケットどころではなくなった。すっかり忘れてしまい、再び思い出したのは午後3時を回ってからである。
しまったぁ~!
同僚に遠慮し、慌てて廊下から電話をかけた。西日がやや気になるが、長時間いるわけではない。さっさと終わらせ、部屋に戻るつもりでいた。
さすがに、その時間になれば、「ツーツーツー」ではなく、「トゥルルル、トゥルルル」となる。数回のコール音ののち、オペレーターの明るい声が聞こえてきた。
「あの、チケットをお願いしたいのですが」
クラシックのチケットは、あまり需要がないのかもしれない。演目を申し出てから、かなり待たされた。西日が、ジリジリと腕に降りそそぐ。
ふと足元を見ると、黒い小さな虫がフワフワとこちらに向かっている。
蚊だ!
廊下の窓が全開になっており、外には植え込みがある。どうやら場所が悪かったらしい。しかし、ここにはロッカーがあり、上でメモが取れるから便利なのだ。ウロウロしながら、やり過ごそうとした。
「大変お待たせいたしました。こちら何枚でしょうか」
ようやくオペレーターが応答した。「待ってました」と私はせき込んでしゃべる。
「S席2枚でお願いします」
「大変申し訳ございません。S席が1枚しか残っていませんので、A席2枚のご案内となりますが、よろしいでしょうか」
ギャッ!! やはり遅かったか!
「……じゃあ、A席でお願いします」
「少々お待ち下さい」
また待たされるのか。再度、足元を見ると、蚊は2匹に増えていた。「ひー」と心の中でで悲鳴を上げ、足を振って追い払おうと試みる。だが、今度の待ち時間は短かった。
「お待たせいたしました。お支払いの方法を説明いたしますので、メモの用意をお願いいたします」
オペレーターは金額、振込先、振込期限などを読み上げる。私はペンで書き留めながら、チラリと気になる足元に視線を落とした。
なんと、蚊は5~6匹に増えているではないか!
頭の中で、「10人のインディアン」の替え歌ができあがる。
1匹2匹3匹来ました♪
4匹5匹6匹来ました♪
でも、10匹も来てしまったら困るな、と青くなる。
「では、復唱いたしますので、再度ご確認をお願いします」
状況を知らないオペレーターは、極めて事務的に話を進めていく。耳は彼女の声をとらえていたが、目は蚊に釘付けだ。頭の中は、チケットと蚊がごちゃ混ぜになり、混乱していた。
蚊は、レッグウォーマーに阻まれて、私の血を吸えないらしい。近づいては離れ、離れては近づき、を繰り返すばかりだった。
こんな使い方もあるんだな……。
夏のレッグウォーマーは、冷房対策だけでなく、虫除けにもなる。履いててよかったと、心でVサインを出した。
しかし。
指示通り、振り込みをしたのに、まだチケットが届かない。
聞き間違えたかな?
(追記)8月12日、チケットが無事到着しました~! バンザイ!!
![](http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/18/b2b19eb2db2595e3407c99e2498c999f.png)
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
先日、たまには文化的な催しに出掛けようと、娘とチケットガイドを見ていた。
「ウイーン・コンチェルト・クラシック・オーケストラの演奏を聴きたい」と娘が言うので、チケットを購入することにしたのだが、そう簡単ではなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/e6/d5dab7bd25f27961d1f63924146320f4.jpg)
午前10時、キョードー東京チケットセンターに電話をかける。チケットぴあも同じだが、話し中の音が虚しく響き、なかなかつながらない。えらく根気のいる作業だ。
もうちょっと経ってからかけよう……。
たちまち弱気になり、すごすごとデスクに引き返してきた。お昼くらいになれば、いくらなんでも大丈夫だろう。
ところが、仕事でトラブルが起こり、チケットどころではなくなった。すっかり忘れてしまい、再び思い出したのは午後3時を回ってからである。
しまったぁ~!
同僚に遠慮し、慌てて廊下から電話をかけた。西日がやや気になるが、長時間いるわけではない。さっさと終わらせ、部屋に戻るつもりでいた。
さすがに、その時間になれば、「ツーツーツー」ではなく、「トゥルルル、トゥルルル」となる。数回のコール音ののち、オペレーターの明るい声が聞こえてきた。
「あの、チケットをお願いしたいのですが」
クラシックのチケットは、あまり需要がないのかもしれない。演目を申し出てから、かなり待たされた。西日が、ジリジリと腕に降りそそぐ。
ふと足元を見ると、黒い小さな虫がフワフワとこちらに向かっている。
蚊だ!
廊下の窓が全開になっており、外には植え込みがある。どうやら場所が悪かったらしい。しかし、ここにはロッカーがあり、上でメモが取れるから便利なのだ。ウロウロしながら、やり過ごそうとした。
「大変お待たせいたしました。こちら何枚でしょうか」
ようやくオペレーターが応答した。「待ってました」と私はせき込んでしゃべる。
「S席2枚でお願いします」
「大変申し訳ございません。S席が1枚しか残っていませんので、A席2枚のご案内となりますが、よろしいでしょうか」
ギャッ!! やはり遅かったか!
「……じゃあ、A席でお願いします」
「少々お待ち下さい」
また待たされるのか。再度、足元を見ると、蚊は2匹に増えていた。「ひー」と心の中でで悲鳴を上げ、足を振って追い払おうと試みる。だが、今度の待ち時間は短かった。
「お待たせいたしました。お支払いの方法を説明いたしますので、メモの用意をお願いいたします」
オペレーターは金額、振込先、振込期限などを読み上げる。私はペンで書き留めながら、チラリと気になる足元に視線を落とした。
なんと、蚊は5~6匹に増えているではないか!
頭の中で、「10人のインディアン」の替え歌ができあがる。
1匹2匹3匹来ました♪
4匹5匹6匹来ました♪
でも、10匹も来てしまったら困るな、と青くなる。
「では、復唱いたしますので、再度ご確認をお願いします」
状況を知らないオペレーターは、極めて事務的に話を進めていく。耳は彼女の声をとらえていたが、目は蚊に釘付けだ。頭の中は、チケットと蚊がごちゃ混ぜになり、混乱していた。
蚊は、レッグウォーマーに阻まれて、私の血を吸えないらしい。近づいては離れ、離れては近づき、を繰り返すばかりだった。
こんな使い方もあるんだな……。
夏のレッグウォーマーは、冷房対策だけでなく、虫除けにもなる。履いててよかったと、心でVサインを出した。
しかし。
指示通り、振り込みをしたのに、まだチケットが届かない。
聞き間違えたかな?
(追記)8月12日、チケットが無事到着しました~! バンザイ!!
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